2011/01/21

これからの「シェアと評判」の話をしよう

わたしだけの「所有」からあなたとの「共有」へ。書籍「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」では、消費システムが変わる歴史的なターニングポイントに私たちはいると書かれています。今回は、「シェア」という本を読んで考えたことを中心に書いています。

■3つのコラボ消費

本書では、共有(シェア)される消費システムを「コラボ消費」という、コラボレーション+コンサンプションから作られた言葉で表現しています。そして、コラボ消費には大きく3つのカテゴリーがあるとします。すなわち、1.プロダクト=サービス・システム(PSS)、2.再分配市場、3.コラボ的ライフスタイル(表1)。

出所:「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」

■我慢から便利へ

さて、上記の例を見ると、コラボ消費は特筆すべき概念ではないように思えるかもしれません。確かに、私たちには、日本語特有の「もったいない」という言葉であったり、近所へのおすそ分け、兄弟間でのお下がりなどがあり、昔から普通に見られるものでした。あるいはDVDレンタルや書籍・ゲームなどの中古、またはフリマなど、不特定多数の人との間でも行われています。

このように、すでに私たちの身の回りに存在しているコラボ消費ですが、個人的に思うことに、レンタルや中古品の利用は従来はどちらかというと消費の主流ではなかったという点があります。つまり、中古ではなく新品を買うこと、あるいはレンタルではなく自分の物として所有することがこれまでの主流で、中古品を積極的に利用することはどこか「かっこよくない」というイメージを与えていたのではないでしょうか。レンタルや中古品を「我慢」して利用してきたように感じます。

しかし、本書を読んであらためて思ったのは、こうした潮流に変化が起こってきたのではないかということです。個人的に感じるのが中古品であっても、場合によっては満足度の高い購買ができていることです。私はよくアマゾンで本を買うのですが、少し古い本などを探していると、新品は取り扱っておらず中古品でしか買えないことがよくあります。そして実際に中古の本を買いますが、ほとんどの場合、自分の欲しい本が手に入り読むことができるという満足感が得られます。レンタルの場合も同様で、ずっと所有しているよりも必要な時だけ利用するほうがむしろ便利なのではないかと思います。

■間違った場所から正しい場所へ

本書で印象的だったのは、「世の中にいらないものはなく、使えるものが、ただ間違った場所にあるだけ」という表現です。これは、ある物に対して自分には必要がないけれど、他の誰かにとっては欲しいものだということを言っています。別の表現をすれば、ある物に対して供給と需要がうまくマッチングしていない状況を指しています。

ここにネット、特に人と人のつながりが無数につくられるソーシャルネットワークが介することで、需要と供給のマッチングがこれまで以上に起こってくるのではないかと思います。上記の表現で言い直せば、使えるものが正しい場所に移るということ。個人的に、インターネットの本質は「ネットワーク上の双方向性」と「個の情報発信」だと捉えていますが、このような特徴を持つネットが、人々の物に対する「いらない」と「欲しい」を結びつけます。その結果、こんなふうに考えるかもしれません。「所有するより必要な時だけ利用しその分だけお金を払えばいいのではないか」と。「所有」よりも「共有」にメリットを感じるようになるのです。

いくつかのシェアビジネスを挙げておきます。まずアメリカ。世界最大のカーシェアリングサービス「Zipcar(ジップカー)」。近所の人と貸し借りをサービス化した「Neighborgoods(ネイバーグッズ)」。お下がりを共有するサービス「ThredUP(スレッドアップ)」。そして日本。使っていない時だけ自分の車を貸し出すカーシェアリングの「CaFoRe(カフォレ)」。ツイッターを通じてモノをあげたりもらったりすることができるサービスの「Livlis(リブリス)」などです。

■「お金」からこれからの「評判」を考える

それでは、共有という考え方がもっと一般的になり、人々がよりシェアをするようになるとどうなるのでしょうか。「シェア」という本には、あるおもしろい示唆が書かれていました。それが「評判の口座」というものです。

何かをシェアするためには自分一人ではできなく、シェアをする相手が必要になります。そしてシェアは相手とのお互いの信用のもとで成り立っています。ということは、他人からの信用や評価、評判がある人ほど、ますますシェアすることができるようになると本書では指摘しています。こうして出来上がっていくのが「評判の口座」で、信用の上に成り立っているシェアに参加できるかどうかを判断するカギになるとも書かれています。

ここで思ったのが、お金と似ているなということです。物々交換の時代、人々の間で取り引きがしやすいようにとお金という仕組みが生まれました。それまでは個々人の相対的な評価(価値)で物々交換がされていたのが、お金により物やサービスの価値が定量的に判断できるようになったのです。

これと同じことが、信頼や評判でも起こるのかもしれません。それが、「評判の口座」という考え方だと思いました。相手のことが信頼できるかどうか、あるいはどの程度信頼できるかどうかは、実は人それぞれで判断されているのではないでしょうか。これは、上記の物々交換の時と同じ構図です。もし評判の口座、つまりどれだけ信頼できるかが定量的に判断できるようなものが生まれるなら、もしかしたら、シェアされる世界では評判はお金のような存在になるのかもしれません。

■最後に

去年の後半くらいからよく目にする言葉に、「断捨離」というものがあります。断捨離とは、もともとはヨガの「断業」、「捨行」、「離行」という考え方に由来するようで、その意味は、不要なモノを断ち、そして捨てることで、モノへの執着から離れて身軽で快適な生活を手に入れようというものです。こうしたことからも、無駄なものを所有をしない暮らし方は少しずつ広がってきているように感じます。


シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
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「What's Mine Is Yours」紹介ムービー

http://www.youtube.com

※参考情報
Zipcar(ジップカー)
Neighborgoods(ネイバーグッズ)
ThredUP(スレッドアップ)
CaFoRe(カフォレ)
Livlis(リブリス)

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