2011/06/11

福沢諭吉から考える会議設計の3つのポイント

最近読んだ本で、「福澤諭吉に学ぶ 思考の技術」(岩田規久男 東洋経済新報社)というものがあります。

■福沢諭吉と議論の本位

本書では福沢諭吉の著書「学問のすゝめ」「文明論之概略」から学べる論理的思考の技術が紹介されており、その中の1つに「議論の本位を定めること」が取り上げられています。今回のエントリーでは議論の本位を定めることについてと、議論する場の代表例として会議についてどうすれば生産的なものにできるかを書いています。

福沢諭吉は「文明論之概略」の第1章で、議論の本位を定めることは「何を話そうとしているかをはっきりさせること」だと言っています。議論をするためには、何を話すかを明確にしろというのは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、話している当事者で話していることがずれているために、意図的に論点をはずすことで相手の質問や追求を交わすという技術も含め、議論がかみ合わないというのは誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

■会議設計とは

それでは、何を話すかをはっきりさせること、すなわち議論の本位を定めるためにはどうすればいいのでしょうか。以下では、会議を例にとり、自分の考えることを整理しています。これらは自分自身への戒めというか、備忘録としても書いています。

会議をいかに生産的なものにするかは、事前準備と会議後のアフターフォローがカギだと思っています。これらを会議設計と表現すると、会議設計の要素は次の3つのポイントがあると考えています。

1.目的
2.位置づけと会議スタイル
3.インプットとアウトプット

1.目的

時としてあまり意識されていないように感じる時もありますが、会議目的は重要です。なぜその会議を開催するかという目的が明確でないということは、その会議を設定する意義が小さいからです。逆に言えば会議で集まってもらう目的・理由がない限りは時間の無駄ということになります。

目的の観点でもう1つ大事だと思うのは、会議をすることで何を得るのかという獲得目標です。これを関係者で明確にするために会議をすると言ってもいいかもしれません。獲得目標の例としては、上司の承認を得ることや関係者での合意(意思決定)、関係他部署での進捗状況を確認する(情報共有)、ブレストなどのでアイデア・可能性を探る(論点整理)といった感じでしょうか。

会議目的と獲得目標がちゃんと整理されていること、そして出席者の中で認識にずれがないこと、これらが明確になているほど、会議は生産的なものになると思っています。

2.位置づけ

目的や獲得目標が整理できると、自ずと会議の位置づけもはっきりしてきます。ここで言う位置づけは、案件やプロジェクトにおいて、どの段階かによるでしょう。具体的には、関係者が初めて集う顔合わせやキックオフ、ブレストや作業をするワークショップ、互いの状況を確認・共有する進捗報告会や定例会、意思決定の会議、プロジェクトを締めくくる報告会など。位置づけは会議のスタイルと言ってもいいかもしれません。

こうした位置づけをはっきりしておかないと、キックオフなのに各論の議論で時間を取られたり、意思決定の場なのに議論が発散してしまい合意が取れずに次のステップ・工程・作業に進めないといった事態になってしまいます。会議当日の進め方は議長やファシリテーターの腕によるところが大きいですが、一方で会議前の準備段階で、位置づけがはっきりしており、関係者で共有されていることが望ましいと思います。

3.インプットとアウトプット

3つ目が会議のインプットとアウトプットです。インプットは議論の本位、すなわち会議で何を話すかための事前情報を指していますが、当たり前のところでいうと自分の発表内容の資料準備や手持ちの情報を整理しておく必要がありますし、発表者でなくても、上記の目的や位置づけは把握しておきたいところです。このためには会議を取り仕切る役目の人は、事前に会議の目的や議題・論点について共有しておくことが望ましいのではないでしょうか。

アウトプットとは、その会議で何を得たのか・決めたのかで、事前の獲得目標通りのものが得られればその会議は生産的であったと言えます。アウトプットで重要になるのが議事録です。これはほんとに大事だと思っています。会議での意思決定が関係者の頭の中に入ったとして、時としてその認識がずれていたり、あるいは時間がたつと人間の記憶はあやふやになりがちです。だからこそ、議事録に会議でのアウトプットを紙に落としておく、そしてそれを関係者間で共有し、認識に齟齬がないようにしておくこと、ここが議事録というものの存在価値だと思っています。

議事録についてもう少し書いておくと、有益な議事録というのは、その会議で何が決まったか、次に進めるためのタスクについて「誰が」「いつまでに」というWhat・Who・Whenが責任が明確化されているものだと思っています。あとはタスクまでに落とし切れていない項目も継続検討事項として書いておくと、今後のタスクと成り得るものに漏れがなくなると思います。

議事録については、おそらく会社ごとの企業文化や社風により扱いが変わるかもしれませんが、自分自身の経験によると、全体的な外資企業や欧米企業などはわりときっちりとしており、簡単なメモのような場合も含めて、会議後に関係者で共有する文化を持っているように思います。(もちろん、そうでない場合もあると思いますが)

■最後にまとめ

会議というのは半歩でもいいので、プロジェクトや仕事を前に進めるものだと思っています。そのためには、会議設計をどれだけ詰めておけられるか。具体的には、目的・獲得目標を明確にする、会議の位置づけを設定し、事前のインプットと会議から得られるアウトプットを意識する、アウトプットは議事録として紙に落とし関係者で認識や責任の所在に齟齬がないよう共有すること、これらで構成される会議設計です。会議設計とは会議における予習と復習だと思っていますが、自分への戒めとしても意識し心がけたいと思っています。


※参考情報

書き方の基本から時間短縮のコツまで、使える「議事録」の書き方|はてなブックマークニュース



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多田 翼 (書いた人)