2011/12/27

複雑な社会変化をシンプルに見せるとっておきのS字波モデル

2011年もいろんなことがありました。つくづく変化の激しい世の中だと思います。一方で変化が早いからこそ、一歩引いて大局的にものごとを見ることも時には必要です。私たちの社会を俯瞰的な視点で捉えるのに、おもしろいモデルがあるので紹介します。「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」(公文俊平 NTT出版)という本で提示されているS字波モデルです。

■社会の変化を見るためのレンズ:「S字波モデル」とは

引用:書籍「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」(公文俊平 NTT出版)


横軸は時間、縦軸には社会や技術の発展などの指標と置いた場合、出現・突破・成熟・定着の4つの局面があるというものです。発展の仕方として、1.遅い成長(出現)、2.急速な成長(突破)、3.成熟を経て発展が横ばいに(成熟~定着)、という3つの段階と考えてもいいかもしれません。

本書ではもう1歩踏み込んだモデルが登場します。S字波は小さなS字波に分解できるという考え方。冒頭でS字波モデルは社会を俯瞰的に見るために有用と書きましたが、その心はS字波の分解にあります。本書に出てきた表現で言うと、S字波は社会の流れを観察するための「レンズ」であり、レンズで拡大・縮小することで局所的にも大局的にも捉えることができるのです。

引用:書籍「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」(公文俊平 NTT出版)


■現在は異なる変化が同時に起こっている

それではS字波モデルを使って、まずは大きな視点で見てみます。本書では主に先進国での近代化過程という大きな流れを軍事化・産業化・情報化の3つに分けています。下図のように大きなS字波として近代化過程が、そして、小さなS字波として3つに分解された軍事化・産業化・情報化です。現在はどういった状態かと言うと、図の縦の点線が示す通り、軍事化の定着・産業化の成熟・情報化の出現という3つの局面が同時に起こっていると著者である公文氏は指摘します。

引用:書籍「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」(公文俊平 NTT出版)


本書では、軍事化・産業化・情報化というそれぞれのS字波をさらに分解して詳しく説明されています。少しだけ紹介しておくと、先ほど書いた現在は「産業化の成熟」であり「情報化の出現」という状態がそれで、前者の産業化の成熟局面で見られる現在社会の特徴としては、スマートフォンに代表されるようなちょっと昔では考えられないような高度な出力処理が可能なコンピュータを持ち、クラウド、高速な光/無線通信網、等々が当たり前となりつつある社会です。後者の情報化の出現の特徴としては、ソーシャルメディアに代表されるような新しいコミュニケーション・情報の共有です。ウィキリークスやYouTubeなどへの投稿により、あるいはソーシャルメディアを積極的に活用した政治・市民活動など、社会を変えていくケースは数多く見られます。もっと身近な個人レベルで見ても、自分の行動や気持ち、考え・意見などをツイッターやフェイスブック、ブログ等で積極的にシェアする流れです。このような情報化という新しい変化が「出現」しつつあるという指摘は、これまでの社会とは異質なものだと私自身も感じます。

■「産業の情報化」と「情報の産業化」

本書での産業化の成熟と情報化の出現についての説明でなるほどと思ったのは、「産業の情報化」と「情報の産業化」は異なるという指摘でした。産業の情報化というのは、家電や個人のデバイスなどの様々なものがIT化・ネットにつながると理解しました。すなわち、工業製品などの成熟段階として情報技術を持ち情報通信機械となる変化です。一方の情報の産業化とは、情報それ自体が商品やサービスとして生産・販売される状態です。情報の産業化が出現するということは、これまでは無料であった情報がお金と交換できる価値を持つことなのです。ちなみに、日本語で情報化社会というのは産業の情報化を表すことが多いように思います。別にこれが間違っているわけではないのですが、今回のエントリーでは情報化社会という言葉は使わず、「産業の情報化」と「情報の産業化」は区別しています。

もちろん、産業の情報化と情報の産業化には相互関係があります。具体的にはネットにアクセスする手段が自宅PCだけではなく、タブレットやスマホでより自由になったことで(産業の情報化)、私たちは各個人で情報発信をするようになりました。その結果、ネット上ではそうした情報に基づいて広告が表示されたりしています(情報の産業化)。

著者の主張で印象的だったのは、変化の激しい世の中を俯瞰するためには、産業化の成熟と情報化の出現という異なる2つの変化が同時並行で起こっているという認識が必要というものでした。起こっている出来事がどちらに該当するのか、あるいはどのように相互作用しているのか、という視点です。公文氏は、大切なのは近代化の大きな流れが「情報化の出現」に向かっているという歴史的な意味を捉え、その方向に沿った政策採用や制度設計をすべきであるという意見です。例えば企業のビジネス戦略もソーシャルメディアの普及などの情報化の進展と共存したり、それを支援する方向を目指すべきという考え方です。(参照:本書 p.187)

■情報の産業化という方向性

「情報の産業化」というのは、個人的にもとても興味のある変化です。なので、本書で書かれていた収集される個人情報に対して何らかの謝礼支払いを義務付けてみてはどうか、という著者の主張にも関心があります。著者は、収集する個人情報の有償化により、「情報化の出現」時代に入っても市場規模の拡大が実現できる可能性を指摘します。

個人情報が有償化し、そこから発展するデータを買いたい・売りたいという動きが出るということは、そこには取引の市場ができることも考えられます。データ取引市場なるもので、であれば買い手と売り手をつなげて取りまとめる中間業者のような存在も生まれるかもしれません。やや突拍子もないことかもしれませんが、ゆくゆくはデータ自体があたかも貨幣のように流通する世界になるかもしれない。データをお金を通して売買するのではなく、データそのものの貨幣化、すなわち価値として広く「信用」を得ている存在です。以前にGoogleがデータ取引所の創設する記事があり、そこから考えたことをエントリーしましたが、情報化がますます進展する社会ではこうしたプレイヤーの存在も当たり前のようになるのかもしれません。
Googleが計画する「ウェブデータ取引所」は、あなたと広告のミスマッチを解消してくれるのか|思考の整理日記
Google Readies Ambitious Plan for Web-Data Exchange|Ad Age DIGITAL

情報の産業化に興味があると書きましたが、自分自身の仕事もこの方向です。そして、自分がやりたい、世の中を変えたいのもこの領域だったりします。冒頭で変化の激しい世の中と書きましたが、だからこそ、自分の仕事とやりたいことの軸がブレることなく、時には俯瞰的に見るという複合的な視点も大切にしたいです。本書「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」は非常に示唆に富む良書でした。


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2011/12/23

「我が事化」がカギだったソーシャルメディア進化論

昨日はJMRX勉強会に参加してきました(11年12月22日)。講師として招かれたのは「ソーシャルメディア進化論」の著者である武田隆氏(エイベック研究所代表取締役)。この本は今年読んだ中でもベスト5には間違いなく入るもので、最初に読んだ時にブログに書こうとしたものの下書き状態で残ったままでした。JMRX勉強会に参加し著書本人から直接話を聞いたこともあり、あらためて「ソーシャルメディア進化論」から考えたことをエントリーとしてまとめておきます。

■「心あたたまる関係」と「お金もうけ」を両立させる企業コミュニティモデル

本書の主題を一言で表現すると、「ソーシャルメディアでの心あたたまる関係」と「お金もうけ」をどうやって両立させるか。すなわち、ソーシャルメディアのマネタイズ(収益化)です。そして、著者が提示する解は、企業サイトでコミュニティをつくり企業と消費者の絆をつくること。エイベック研究所の知見が凝縮された企業コミュニティを活用したマーケティングモデルで、大きくは2つの柱があります。プロモーションとマーケティングリサーチ。各プロセスを簡単に書いておくと以下の通りです(詳細が気になる方はぜひ本書をご覧ください。一読の価値あると思います)。

引用:書籍「ソーシャルメディア進化論」
  1. 参加者の意識の向上:企業サイト上のコミュニティで参加者の発言が投稿され、参加者同士のコミュニケーションが活性化してくると、参加者の我が事化とコミュニティへの帰属意識が向上
  2. 企業サイトへの掲載:コミュニティの発言内容を企業サイトの他のページにも掲載することで、企業サイト訪問者の態度変容を促す
  3. 広告・PRへの転用:他のPRや店頭施策と組み合わせ、ファンの声を外部にも広く表出
  4. 外部の検索サイトからの閲覧者増加:発言内のワードが検索サイトで引っかかるようになり、閲覧者が増加
  5. ユーザーを把握:コミュニティ参加者を趣味や発言、影響力などで細かく把握する。特徴で参加者をグループ化
  6. オンライブループインタビューへ:特に深く知りたいグループに対してオンライン上でグループインタビューを実施
※実はこのモデルには7があるのですが、それは後述します

プロモーションとマーケリサーチの2つと書きましたが、1~4までがプロモーション、5と6がリサーチに該当します。このモデルは、プロモーションという企業から消費者に伝えることと、リサーチという消費者が企業に伝えるというコミュニケーションのキャッチボールであり、本質的には市場との会話であると武田氏は言います。1~6をPDCAサイクルでまわし、企業と消費者(参加者からファンへ)のコミュニケーション履歴が蓄積することで、お互いがお互いのことを理解するようになる。最終的にはロイヤリティの高いファンを獲得し、結果として自社商品・サービスやブランドの売上や利益が得られる。これが本書で提示された「企業と消費者の心温まる関係」と「お金儲け」の両立なのです。

■なぜFacebookではないのか

ここまでで、なぜ場が企業コミュニティなのか、あるいはフェイスブックではないのか、という疑問が出てくるのではないでしょうか。武田氏は自らの知見も踏まえた上で、フェイスブックを企業が使う場合の位置づけは「メールマガジン」がいいのでは、と昨日のJMRX勉強会でおっしゃっていたのが印象的でした。

フェイスブックは実名での参加が基本です。実名であるが故に、知人を越えたコミュニケーションが発生しづらく、お互いに実名や背後に自分の人間関係を背負っていることで、知人以外とのいきなりのコミュニケーションに不安やリスクを感じるそう。もちろん、コメントを投稿する人やいいねを残す人もいると思いますが、コミュニケーションのハードルが高いことで活性化しにくい。武田氏曰く、フェイスブックでのコメントは1~2行くらいの「言い切り」のコメントで終わるケースが多く、一方の活性化している企業コミュニティではコメントは「質問」や「呼びかけ」で終わっている。つまり、コミュニケーションが活性化しやすいコメントが続くそうです。

ただし、企業にとってフェイスブックが使えないかというとそうではなく、有効な使い方もあり、例えばANAのフェイスブックページでは、キャビンアテンダントや航空整備士など色々な立場の人がウォールに書き込んでいて、そこにユーザーがいいねやコメントを付けています。このように「人が出る」ようなコンテンツは有効だそうです。とはいえ、企業のフェイスブックページではユーザー同士の横のつながりが起こりにくく、どうしても企業と消費者の1to1のコミュニケーションになりがちで、これは企業担当者の負担も大きく、コストがペイできなくなる側面もあるようです。おそらくこれはツイッターも同様なのではないでしょうか。

■企業コミュニティを活性化させる「我が事化」

昨日のJMRX勉強会の武田氏の講演では、ポイントとなるキーワードは「我が事化」でした。ちなみに武田さんは我が事化のことを「レリバンシー」という言葉で表現されていて、これはrelevancy:関連性、つまり自分に関連があること=我が事化という使い方だと理解しました。我が事化は企業コミュニティをいかに活性化させるかに直結し、ここがそもそも非常に難しいというお話でした。あらためて冒頭のモデル図を見ると、①参加者意識の向上がきますが、コミュニティが活性化してこないと、①で止まってしまいとてもマネタイズどころではなくなります。

当然のことながら、始めから我が事化している参加者は多くありません。企業サイドから無理やり関与を求めても引かれるだけでしょう。ここは時間をかけてじっくりと関係性を醸成することが大事だそうで、例えば、共感するコメントに拍手をするような仕組みを設けておくなど、軽い行動から始めるよう促す。拍手をすれば、その後も気になるので返信コメントを付けたり、自ら投稿するようになる。このように関与レベルを段階的に上げていき、参加者の我が事化を育んでいくそうです。

我が事化を持ってもらう施策で大切なのは2つ。参加者にあるテーマを投げかけ投稿してもらいそれに拍手するなどのコミュニティ内での「役割の設定」(ご自由にどうぞ、だと逆に行動しづらくなる)、誰かのコメントに拍手したり投稿することにポイントを上げるなどの「報酬の設定」(インセンティブになるとともに参加する「言い訳」を与える意味もある)。思ったのは、役割や報酬の設定とともに、コミュニティ参加者同士での共感、そこで生まれる信頼関係をいかに構築するかなど、企業コミュニティとはいえ非常にリアルな人間味あふれる空気をいかにつくるか、ここが大事だということでした。

「我が事化」に関してなるほどと思ったのは、コミュニティ参加者が「私がいないと成り立たない」と思ってもらうところまで持って行けるか、つまり、そのコミュニティの中で自分が大事な一員だとみんなが思えている状況、そう自覚できるかということ。参加メンバーがこう思う状況になると、場が最も活性化されるのだそうです。

参加者がコミュニティを我が事化し、帰属意識を高める、それが企業へのロイヤリティを向上させるというのは、言うが易し行うは難しだと思います。ちなみに、エイベック研究所はソーシャルメディア(企業運営型BtoCコミュニティサイト)構築市場における売上トップシェア(10年。矢野経済研究所調べ)だそうですが、ここがきっちりとできるからこそだと思います。このノウハウを持っていることが強みだと感じました。「ソーシャルメディア進化論」という本では、企業コミュニティで同研究所が収益を上げるまでの紆余曲折も書かれており、武田氏は最も苦しい頃の1日の食事がみたらし団子1本だったというベンチャーならでは(?)のエピソードもありましたが、そんな状況からトップになった方の説明には説得力がありました。以前のエントリーで我が事化を取り上げた記事も書きましたが、あらためて我が事化って大事だなと。
相手も自分も動かす「自分ごと化」のススメ|思考の整理日記

■企業コミュニティモデルの可能性

心暖まる関係とお金もうけの両立は企業コミュニティを活用したプロモーションとマーケティングリサーチでした。このモデルの可能性として、企業だけではなく他の組織にも活用できるのではと思いました。武田氏が企業コミュニティで企業と消費者をつなげることを思い付いたのは、企業の自社商品やサービスに対する思いが消費者に全くと言っていいほど届いていないと気付いたからでした。実際に当時のお客さんから自社商品への思いを聞けば聞くほど、それって消費者はほとんど知らない現実。そこで、企業と消費者をインターネットらしく結びつけることが一番初めにできたコンセプト。これを具現化したのが企業コミュニティモデルです。ここで思うのが、組織の思いが消費者/生活者に届いていないのは何も企業だけではなく、NPOやNGOなどの組織、自治体や地方団体、政党、病院など、あらゆる組織と生活者に当てはまるのではということ。企業コミュニティで実現されていること、双方向のコミュニケーションが他でも実現されれば私たちの社会はもっと豊かになっていくのではないでしょうか。

ただ、昨日の武田氏の話では、例えば企業コミュニティのモデルを活用した地域の活性化は現時点ではとても難しいとのことでした。このモデルを導入するためには、組織との二人三脚が不可欠です。企業コミュニティの場合は企業サイト運営と連携し、プロモーションやリサーチなどのマーケティングに関わることになります。実際にある市の行政に提案したこともあるようですが、結局担当者に受け入れてもらえなかったエピソードも語っていただきました。

冒頭で紹介した企業コミュニティモデルは6つのプロセスがありましたが、実は7つ目まであり、1~6を繰り返すことで企業と消費者の距離は縮まっていくとしています。

引用:書籍「ソーシャルメディア進化論」

昨日のJMRX勉強会での武田氏の講演では、始めに紹介されたのは「見える人」と「見えない人」の違いでした。見える人とはネットワークを味方にする人で、「スモールワールド」を感じている人という話。武田さん曰く、コミュニティで成功する企業はスモールワールドを肌感覚で理解しているとのこと。

書籍「ソーシャルメディア進化論」で最後のほうに書かれていたのが、スモールワールドへのパスポートは「ありがとう」。昨日の話を聞くと、「心あたたまる関係」と「社会の豊かさ」の両立には期待したいですし、ありがとうという感謝の気持ちがキーワードなのかもしれません。


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2011/12/17

落合監督の采配論に教えられた後悔しない生き方のヒント

野球でごく稀に「完全試合」と呼ばれるゲームがあります。

これは一人の投手が相手チームの誰一人として塁に出さずに勝つ試合です。ヒットを打たれず、四球や味方のエラーもゼロ。野球は3アウトで回が変わりゲームは9回までなので、相手バッターを 3 × 9 = 27人で終わらせて勝つ試合のことです。

■ 幻の完全試合

2007年のプロ野球日本シリーズ第5戦。中日と日本ハムの対戦カードにおいて、中日ドラゴンズにある大記録が生まれようとしていました。

2011/12/15

Google Mapのビッグデータ活用事例と2つの課題

Googleマップに新しいサービスが追加されました。「交通状況」という地図上で渋滞状況がわかる新しい機能です。今回のエントリーでは、グーグルマップの新機能と、ビッグデータ活用という観点から2つの課題について書いています。
交通状況がGoogle マップで見られるようになりました|Google Japan Blog

■Google Mapの「交通状況」機能とビッグデータ


このイメージは上記のGoogleブログからの引用した東京の地図ですが、交通状況により混雑している道路が赤や黄色で表示されます。このように現在の交通状況が表示されるだけではなく、曜日や時刻を設定変更すれば、その時間帯の「典型的な交通状況」もわかるとのこと。モバイルにも対応しており、Googleマップナビでは、この交通状況も考慮され、目的地までの到着時間を計算されるようです。

仕組みは、スマートフォンからGoogleに送られる位置情報と速度データを活用することで、通行状況を計算し表示しています(プライバシー観点から、スマートフォンでユーザーがMy Location(現在地)の機能を有効にしている場合にのみグーグルに送られる)。位置情報はもちろん匿名化されますが、スマートフォンからの大量の匿名データを時々刻々と蓄積・処理し、結果をグーグルマップに返すことで実現しているのです。今後、より多くのユーザーからの情報が得られれば、より精度の高い交通状況の情報をフィードバックでき、さらに便利になるという好循環が期待できます。前回のエントリーで「ビッグデータ」について書きましたが、このGoogleマップのケースもまさに位置と速度情報というビッグデータをうまく活用した事例です。
ビッグデータに付加価値を与えた企業が次世代の覇者となる|思考の整理日記

■課題1:「過去の事実」から「未来の解釈」まで

実際にグーグルマップの「交通状況」を見てみると、主要な道路や高速だけですが、見る時間によって混雑状況が変わっていることがわかります。地図左下の変更から、曜日や時間帯を指定すれば、同じ時間帯でも平日と休日で状況が違っていたりと、なかなかおもしろいサービスです。ただ、個人的な印象で言うと、機能としてはもう1段階ブラッシュアップしてほしいという期待があります。

それは、結局のところ、現在の混雑状況からどの道路を選ぶかは、自分で判断する必要がある点です。曜日や時間帯を変更できると言っても表示されるのはあくまで「典型的な交通状況」なので、慢性的な渋滞には対応できても、突発的な渋滞を把握するのには使いにくい印象です。現時点でのグーグルマップでの「交通状況」機能はあくまでリアルタイムの今という瞬間の混雑状況はわかりますが、将来、すなわち自分がその道路を通る時間には渋滞がどうなっているかは正確にはわからないのです。

前回のエントリーで取り上げた書籍「ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略」(鈴木良介 翔泳社)には、以下のようなマトリクスが提示されていました。横軸は「事実」を把握するのか、事実から「解釈」まで捉えるのか。縦軸は過去(現在も含めてよいはず)なのか、未来のことなのか、というマトリクスです。

引用:「ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略」(鈴木良介 翔泳社)

このマトリクスで言うと、「交通状況」機能はあくまで現在の事実を提示しているにすぎず(これはこれですごいのですが)、自分が乗車中に使うとすれば便利であろう「未来の事実」:自分がその道路を通る時の渋滞予測、「未来の解釈」:どの道路を選ぶのが最適なのか、まで瞬時に提示してくれる機能です。自分がなぜこのサービスを使うかを考えると、要するに、どれだけ渋滞を避けて快適な運転・移動ができるかなんですよね。これをあらためて図にすると以下のイメージ。

先ほども書いたように、今の状況は「未来の事実」「未来の解釈」を人が予測し、決める必要があります。これを人ではなく機械で実現するためには、各車の走行状況からその地域全体の走行車を最適に配置するという、1台だけ渋滞を避ける部分最適ではなく各車を全体最適化する必要があるわけですが、グーグルにはついついそこまでの期待値を持ってしまいます。ちなみに、グーグルはフォードと共同でこのあたりの研究に取り組んでいるようなので、今後の展開が楽しみなところです。
GoogleとFordが開発する「スマート・カー」(WIRED VISION)|ITpro
Ford Developers Look to Use Google Prediction API to Optimize Energy Efficiency; Research Presented at Google I/O|Ford Motor Company Newsroom

■課題2:そもそものデータの偏り・データ量不十分

別の課題をもう1つ。そもそも渋滞情報に使っているデータは正しいのか、という視点です。グーグルマップの交通情報に使われているデータは、スマートフォンの位置情報と速度情報です。逆に言うと、スマートフォンではないモバイルのデータは使われていない。だから、グーグルマップの交通状況はスマホ保有者のみの状況で、もっと言うと、My Location機能を有効の人のみの渋滞情報なのです。仮にフィーチャーフォン所有者が乗る車で渋滞していると、マップ上には表示されません。このようなデータの偏り(今回で言うとスマホで現在情報を有効にしている人だけという偏り)を前提に考慮しておく必要があると思います。専門的な表現をすると、データバイアスの問題です。

スマホを持っている人が運転する車とフィーチャーフォンの車とで走る道路が大きく異なる、ということはあまり考えにくいですが、現時点でのグーグルの交通状況機能は、データ量としてはまだまだ十分ではない印象です。高速や主要道路以外は、データが少なすぎて渋滞情報が表示されていません。スウェーデンのストックホルムで導入された事例のように、理想を言うと車そのものから直接走行データを集めたほうが、より精緻な渋滞情報になります。
ストックホルムで起きた“ビッグデータ革命”|日経ビジネスオンライン

■情報提供者にフィードバックをすることでWin-Winに

色々と書いてきましたが、Googleマップの「交通状況」は興味深い事例です。これまではカーナビや有料サービスでしか提供されなかった情報が無料で私たちにもたらされる。そのベースにはスマホからのデータの活用がある。グーグルがすでに持つグーグルマップという資産をうまく活用していて、この点はグーグルだからこそ実現できるサービスと言えます。また、位置情報と速度情報から渋滞情報を出しているとさらっと書いてありますが、例えば車と車道を走っている自転車とをどうやって判別しているのかなどの詳細ロジックも気になるところ(これは企業秘密だと思いますが)。何より個人的におもしろいと思うのは、ユーザーにとって位置情報を取られる対価として渋滞情報という価値をフィードバックしている点で、グーグルとユーザーのWin-Winが成り立っているのではないでしょうか。

もっとも、ユーザーにとってのWinはまだ大きくなることを期待したいです。すなわち、より精度の高い渋滞情報がフィードバックされ、さらには現在の渋滞情報だけではなく、自分はどの道を通るのが渋滞に会わずに目的地へ快適に行けるのかまで手元で簡単にわかること。今回はGoogleマップを例にビッグデータの活用事例を取り上げたわけですが、今回のような今まではうまく活用されていなかったデータをこんな使い方をするともっと便利になる、という事例はこれからも増えていきそうです。


※参考情報

交通状況がGoogle マップで見られるようになりました|Google Japan Blog
Googleマップでどの道がどれぐらい混んでいるか交通状況の確認が可能に|GIGAZINE
ビッグデータに付加価値を与えた企業が次世代の覇者となる|思考の整理日記
GoogleとFordが開発する「スマート・カー」(WIRED VISION)|ITpro
Ford Developers Look to Use Google Prediction API to Optimize Energy Efficiency; Research Presented at Google I/O|Ford Motor Company Newsroom
May 10, 2011: FORD USING GOOGLE API TO OPTIMIZE VEHICLE PERFORMANCE (PDF)
ストックホルムで起きた“ビッグデータ革命”|日経ビジネスオンライン




2011/12/10

ビッグデータに付加価値を与えた企業が次世代の覇者となる

ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略「ビッグデータ」という言葉は、少し前であれば、ネット記事やブログなのでよく見かけましたが、ここ最近ではクライアントとのミーティングの場でもよく出てくるようになってきました。特に部長職や役員クラスの方の口から出るようになるとかなり浸透してきているなと感じます。そんなビッグデータについてまとめられており、体系的に理解するのに役立ったのが、「ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略」(鈴木良介 翔泳社)という本でした。

■ビッグデータ事例:Amazonのレコメンド機能

本書ではビッグデータの定義を「事業に役立つ知見を導出するための、『高解像』『高頻度生成』『多様』なデータ」としています。これだけだと、何やら難解な印象を持ってしまいそうですが、身近な例でイメージを理解したほうがいいかもしれません。

例えばアマゾンのレコメンド機能。これは、アマゾンではユーザーそれぞれの過去の購買情報や商品閲覧情報、あるいは、自分と同じ商品を買った他のユーザーの情報など、うまく活用することで、私たちに「おすすめ」を提示してくれる機能です。必ずしも、おすすめと自分の好きそうな(買いたくなるような)商品とは一致するわけではありませんが、これはアマゾンが集めている膨大なデータの活用事例です。

■ビッグデータ活用の3つの壁

本書でうまく整理されていたことの1つが、ビッグデータ活用の時代の流れの説明でした。著者である鈴木氏は、ビッグデータ活用に至るにはいくつかのステップを経る必要があると言います。そのために越えなければいけないのが3つの壁。第一の壁は「データの電子化・自動化ができているか」。これは多くの事業者ですでに越えていると思いますが、IT活用がされる前の時代は、例えば顧客情報は紙ベースで保管されていたりなど、蓄積はするものの活用がしにくかったはずです。しかし、ネットやモバイルなどのインフラ・デバイスが進化・普及することで、データの生成・取得が格段にしやすくなりました。これが第一の壁を越えた状態です。

一方で、データを取得したものの、じゃそれをどう活用すればいいのか、データを電子化したけども、結局はサーバーに保存されているだけ、というのが「第二の壁」を越えられていない状態です。つまりビッグデータが事業に活用・寄与していない。第二の壁とは、一言で言えばビッグデータを活用できているかどうか。活用レベルも分解すれば、データ整備、データハンドリング(スキル・システム)、データに価値を見い出す(活用イメージ)、価値を享受できる仕組み・システム、そして事業に寄与し、かつ継続的な収益化まで、などとステップが分けられると思います。本書では、多くの事業者が第一の壁を越えているが、第二の壁を越えていないと書かれていました。先のアマゾンのレコメンド機能は、アマゾンが第二の壁も越えている事例ですね。

第三の壁がデータの価値認識変化です(本書での著者の表現は「データ流通の壁」でした)。より広いデータの活用がされる状態で、例えばSaaS(ソフトウェアのサービス利用)は一般的になっていますが、同じような概念としてのDaaS(Data as a Service)、具体的には、データがサービスとして有償で提供される可能性です。必要データや情報があり、自分たちで一から集めなくても、どこかから買ってきたらいいんじゃないかという認識です。こうなると、データを集めている側も、今までは活用されず塩漬けのようになっていた膨大なデータ売ることができ、新たなビジネスになる可能性を秘めています。

■第三の壁を越えた世界への期待

データを買いたい者と売りたい者がいるとうことは、そこには取引の市場ができることも考えられます。データ取引市場なるもので、であれば買い手と売り手をつなげて取りまとめる中間業者のような存在も生まれるかもしれません。そうなれば、やや突拍子もないことかもしれませんが、ゆくゆくはデータ自体があたかも貨幣のように流通する世界になるかもしれない。データをお金を通して売買するのではなく、データそのものの貨幣化、すなわち価値として広く「信用」を得ている存在です。ここで思い出しましたが、そういえば以前にGoogleがデータ取引所の創設する記事があり、そこから考えたことをエントリーしていました。
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これまでは利用されていなかった膨大なデータが広く社会に流通し、世の中をよくするように活用される。あるビッグデータはイノベーションと呼べる画期的なことに、また別のデータは目立たないけど社会を後ろで支えるような領域で活かされる。そんな世界を期待したくなります。

■ビッグデータの3つの阻害要因

もちろんビッグデータのビジネスにはバラ色の世界が待っているとは言えず、課題もあります。ビッグデータがあっても中身に価値がなければどれだけ膨大に集まってきても、それは何の価値もないゴミをせっせと集めているようなものです。あるいは活用の見込みが立ってもその通りにデータを扱える人がいなければ宝の持ち腐れです。

著者である鈴木氏が指摘する阻害要因は3つ。(1)ビッグデータの取得・活用ができる統計学や情報技術のプロフェッショナルの人材不足、(2)プライバシー問題、(3)データの誤りと誤用に起因するものです。

■ビッグデータとプライバシー

個人的に今後の最大の阻害要因になると思うのはプライバシー問題。消費者やユーザー関連のビッグデータを集める際には必ずと言っていいほど、この問題がついてまわります。意図的であろうがなかろうが、データにはその人からすると他人には知られたくないような情報も入ってきてしまいます。人材不足や誤用はデータを取得し活用する側のこちら側の問題です。だから取り組みや技術次第ではまだなんとかなるのではないかなと。それに対してプライバシーというのは「データ収集される側」の、感情や生理的な反応・問題です。さらに、個人情報保護法など、法律面でも制約がでてくると思います。

ビッグデータとプライバシーに関連して最近気になった話題は、AndroidやiPhoneなどのスマートフォンに組み込まれていたCarrier IQのソフト問題(参考:AndroidとiOS、プライバシーを丸裸にするソフトが仕込まれていたことが発覚|INTERNET Watch)。キャリアIDのこのソフトは端末で発生するほぼすべての動作を記録し、携帯キャリアや端末メーカーに送信していて、記録される情報は多岐にわたり、押されたキーとその種類、ブラウザで閲覧したURL、使用アプリ、電話やメールの送受信、GPSなどの位置情報、カメラや音楽プレーヤーの動作状況などが含まれると言われています。今回のキャリアIQの問題点は、ソフトがユーザーの知らない(了承なし)見えないところで動いていた、ユーザーがソフトを無効にすることが非常に難しい点にあります。ユーザーからすれば自分の知らないところで、モバイルの使用状況がまるわかりになっていたとすれば、不信感とともに強い不安を抱くのではないでしょうか。

ただ、キャリアIQの仕組みはビッグデータを集めるという視点で見ると優れていると言えると思います。データを集める場合には、なるべく偏りがないほうがデータの質は高くなります。キャリアIQの件はユーザーの知り得ないところで起こっていたことで問題が大きくなっていますが、一方でユーザーが知らない(意識していない)ということは、より自然な端末使用データが得られることになります。もし「今から端末の使用状況を記録するので」と言われて使ってもどうしてもそれを意識してしまい、普段の使用とは異なるデータになります。これが偏りとなり、結局そのデータを見ても本当の使用状況はわからないのです。

今回起こったキャリアIQ騒動は、ビッグデータ収集技術・方法論としては正しいが、倫理的・個人情報やプライバシーでは大きな問題になる。日本ではあまり大きく報道されていないような気がしますが、この事例はビッグデータに対する大きな一石を投じたように感じます。

■最後に

本書の著者である鈴木氏は、ビッグデータの可能性を「顧客のニーズを見極めることにつながる」と言います。というのも、消費者本人に聞くよりも、集まって蓄積された消費者に関する膨大なデータをのほうが、実は本人自身よりも、その人のことを雄弁に語る可能性があるからです。

もう少し期待を書いておくと、例えばジョブズのようなカリスマ経営者の判断・意思決定で数多くのイノベーションが実現されましたが、どの会社にもカリスマ経営者がいるわけではなく、そのような状況でもイノベーションの武器となり得るのがビッグデータであると鈴木氏は指摘します。上記のアマゾンの例では、ユーザーに「あなたの好きな本のジャンル、好きな音楽は何ですが?」と調査するのではなく、ユーザーがアマゾンを利用する過程で集まってくるデータを活用するこで、顧客のニーズにうまく対応しているのです。

これまでは記録できなかった色々な行動がデータとして蓄積され、ビッグデータとして活用されル流れは今後も変わらないと思います。課題はビッグデータの活用、特にマネタイズでしょう。それも継続的に収益を生み出す源にできるかどうか。一方で、上記のプライバシー問題等をどう解決するか。データを集める側と提供する側でいかにWin-Winを築くか。そんなことをあらためて考えさせられる本でした。なお、本エントリータイトルは、本書の帯にあった佐々木俊尚氏の言葉です。


※参考情報

Googleが計画する「ウェブデータ取引所」は、あなたと広告のミスマッチを解消してくれるのか|思考の整理日記
Google Readies Ambitious Plan for Web-Data Exchange|Ad Age DIGITAL
AndroidとiOS、プライバシーを丸裸にするソフトが仕込まれていたことが発覚|INTERNET Watch
キャリアIQのプライバシー侵害騒動と「ビッグ・データ」の脅威|@シリコンバレーJournal ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト




2011/12/03

iPhone4Sを歴史的な製品にするiCloudとSiri

アメリカの調査会社ChangeWave Researchの調査によると、iPhone4Sの顧客満足度が96%と、iPhone4の93%よりもさらに高かったという結果がでています。(96%の内訳は「非常に満足」:77%と「やや満足」:19%)
「iPhone 4S」の顧客満足度、iPhone史上最高の96%に――ChangeWave調べ|ITmedia ニュース

iPhone4Sと、そして同じタイミングでリリースされたiOS5で追加された機能は多くありますが、そのうちiCloudとSiriは画期的なものです。大げさかもしれませんが、iPhoneだけではなく、アップルを次のステージに上げるくらいのインパクトがあると思っています。以下、そう思う理由を書いています。

■iCloudはアップルの次のデジタルハブ戦略の主役

iCloudはアップルのデジタルハブ戦略の主役を担います。iCloud登場前は、PC内のiTunesがハブの中心にいました。iPhoneやiPadなどはPCにつなげ、iTunesと同期させるという形をとっていました。これは2001年のiPod登場から続く関係性で、例えば曲のプレイリスト作成などの機能はiTunesのみで可能とし、それをiPodには同期させる。iPodでできることをあえて制限し、あくまで衛星的な存在でした。iPhoneやiPadでも基本的には同じです。

それがiCloudの登場で、PCを中心としたエコシステムに変化が生じました。デジタルハブと置いたPCを他のデバイス同様のレベルに降格させ、替わりにデジタルハブとして位置付けたのがiCloudです。iPod登場は2001年なので、2000年代はPCであり、次の2010年代はクラウドがハブとなるのではないでしょうか。アップルのあるものを中心に置くというデジタルハブ戦略はぶれることはありませんが、技術や時代に合わせてPCからiCloudへ移行しているのです。iCloudを使っていてすごいと思うのは、一度設定しさえすれば「勝手に同期される」ことです。これまでのようにPCとデバイスとつなげるという手動での同期をする必要がなく、ほんと便利です。

とは言うものの、ハブをPCからiCouldにするという変化はまだまだ移行期にあると感じます。iOS5へのアップデート後に実際にiCloudを使っていますが、アプリの取り込みやバックアップの実行は依然としてPC経由でやることもあります。つまり、今のところハブはPCとクラウドの2つが併存している。ハブがiCloudに切り替わるのはまだ少し時間がかかりそうです。

■アンサーエンジンとなるSiri

iPhone4Sから追加された目玉機能のSiri。Siriは音声アシスト機能で、iPhoneに向かって話しかけることで、いろんなことを実行してくれます。行きたい場所へのナビゲートだったり、かけたい人に電話をつなげてくれたり、天気も教えてくれます。このように、単に人の音声を認識するだけではなく、実際にデバイスが動き、ユーザーが求めている答えを返してくれるのです。

Siriの登場で音声アシストの世界が活性化してくるように思います。例えば、「iris. (alpha)」というAndroidアプリ。これもSiriと似たようなアプリです(実際に使ったことはないのですが)。ちなみに、名前がSiriを逆さに読んだものになっており、Siriを意識したアプリだと感じます。
『iris. (alpha)』~iPhone 4Sの「Siri」機能がAndroidに登場!?音声アシスタント機能を体験~|andronavi

(特殊な機能や技術を除いて)普通の人がPCや携帯電話を操作するにはキーボードや画面に触れることで実行していました。TVやラジオなどほとんど全ての家電も含め、リモコンやボタンを押すのは指です。それがSiriでは声により動かすことになる。音声でユーザーの意図を伝え、コンピュータがそれを認識し意図を解釈する。そして、ユーザーが求めている答えを返す。Siriは検索エンジンならぬ、アンサーエンジンとなっていく可能性を持っており、ここに未来を感じます。

また、SiriにはiPhone以外にも色々と活用できる可能性があります。例えば、現在開発中と言われるアップルのテレビであるiTV。ここでは、Siriをリモコンの代わりに操作するために使われるのではという噂もあります。

■最後に

以上を整理すると、iCloudはアップルの次のデジタルハブ戦略の主役を担う存在であり、Siriはデバイスに話しかけ必要な情報を得るというアンサーエンジンです。iCloudとSiriという新しい機能が2つ追加されたiPhone4Sは、後から振り返った時にアップルの転換点だったと言われる製品になるように思っています。


※参考情報

「iPhone 4S」の顧客満足度、iPhone史上最高の96%に――ChangeWave調べ|ITmedia ニュース
Survey Finds 96% of Customers Satisfied with iPhone 4S|MacRumors
New Owners Survey Shows iPhone 4S More Popular than its Apple Predecessor|ChangeWave Research
iCloudで携帯電話以来の大変化が起こる...それは未来のコンピューティング|ギズモード・ジャパン
『iris. (alpha)』~iPhone 4Sの「Siri」機能がAndroidに登場!?音声アシスタント機能を体験~|andronavi

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多田 翼 (書いた人)