2013/03/24

どれだけタフな交渉でも大切にしたい5つの原則

今の仕事は、あるプロジェクトのマネジメントをしています。この役割になった当初、痛感したのがもっと交渉力をつけないと、ということでした。

プロジェクトを管理するにあたり、社内外の関係者との調整はプロジェクト全体の進捗にも関係します。うまく合意できればスケジュール通りに進み、予算も想定通りでいけます。調整ができないと、スケジュールにひびくだけではなく、プロジェクトそのものにも影響することもあります。

そのために大事だとあらためて感じたのが交渉でした。こちらが考えていることをどう伝えるか、相手の言い分を理解しどこまで組み込むか。

表面的な交渉スキルではなく、そもそもの交渉とは何かから本格的に学ぼうと思ったのをきっかけに、交渉に関する本を何冊か読んでみました。ハーバード流交渉術などの古典的なものから、弁護士等の交渉のプロが書いた本まで、それなりに網羅的に読めたと思っています。今回のエントリーでは、交渉において原則としたい考え方を整理しています。

自分の中で、交渉の原則として大切にしたいポイントは次の5つです。
  • 交渉で大切なのは良い人間関係を築けるか。どれだけ相手とWin-Win・相互満足を目指せるか
  • 交渉相手を尊重し、相手の立場で考える
  • 人と問題を分ける。フォーカスするのは問題点とお互いの利害
  • 自分の感情をコントロールすること
  • 交渉は準備が8割

1.交渉で大切なのは良い人間関係を築けるか。どれだけ相手とWin-Win・相互満足を目指せるか

交渉は相手があってのものです。

複数の交渉に関連する本や実際の仕事を通じて思うのは、交渉相手との協力が不可欠であるということ。「交渉相手=敵」と位置づけるのではなく、あくまで「問題解決のパートナー」とみなす。お互いの立場は正反対でも、交渉を通じてどれだけ良い人間関係が築けるか、信頼し合えるか。この意識がまずは重要だと思います。

交渉では相手がいるということは、目指すべきはどれだけWin-Winが満たせるか。相互満足をいかに高めるかです。

こちらだけの要求が満たされ、相手の要望は叶わないような交渉および結果は、自分サイドだけを見れば成功かもしれませんが、相手と自分の両方で考えると交渉成功とは言えない。あくまでお互いの満足をいかに最大化できるかを目指す。

そのためのベースになるのが信頼に基づく交渉相手との人間関係だと思っています。交渉の本質は人間関係と言ってもいいくらい、交渉プロセスを通じて信頼関係を築いていく。

2.交渉相手を尊重し、相手の立場で考える

交渉でいかに信頼関係を築くか、相手との良い人間関係をつくれるか。そのために大切だと思っているのが交渉相手を尊重することです。お互いに異なる立場、利害を持っているので、交渉では時に相手への不満や納得できないケースも起こります。それでも相手をリスペクトする気持ちだけは忘れないようにする。

尊重するためには、相手の立場でどれだけ考えられるかがポイントになります。どういう立場で交渉に臨んでいるのか、利害は何か。相手の動機。なるべく向こうの立場を具体的に想像すること。

そのためにも相手の言い分や要求はしっかりと聴く姿勢が重要です。スタンスとして、こちらが話すよりも傾聴する・質問をするほうにウェイトを置いたほうがいい。経験からもそう思います。場合によっては向こうの要求は合理的でないと思っても、まずは聴く。とにかく聞く。そして言い分や相手のことを理解しようとする。納得する必要は必ずしもないですが、相手に理解していることを示すことが大事。

聴く姿勢から入ることで、相手の情報を引き出す効果もあります。要求の背景や理由も見えてくるし、話を聞くこと自体で相手に満足してもらうことにもつながると思っています。

リスペクトする気持ちを忘れず、相手の立場で考える、話を聴いて質問を投げかける。コミュニケーションを通じて信頼関係を少しずつ築いていく。一見遠回りかもしれませんが、こうした人間関係が交渉を通じてつくれるかが、結局は満足のいく交渉結果につながると思っています。

3.人と問題を分ける。フォーカスするのは問題点とお互いの利害

交渉において解決しなければいけないのは「問題」です。ついやってしまいがちなのが、問題ではなく相手を攻めてしまうこと。そうではなく、交渉相手と一緒に問題にフォーカスし、解決すべきお互いの共通の問題と位置づけるようにします。問題に対しては厳しい姿勢を取るのに対し、交渉相手には礼儀も含めて丁寧に対応する。

問題について、相手と共通点は何か・相違点はどこにあるのか。問題や利害への相違点については相手と話し、お互いの認識を確認すること。その際に相手の言い分にも耳を傾け、真摯に受け止める、理解を示すことの重要性はさっき書いた通りです。

問題について厳しい姿勢を取るということは、こちらも主張すべきことはきっちりと言うべきです。意見や考えは言わないと伝わらないし、どんなに気まずい雰囲気だろうが伝えるべきことはしっかりと言う。あくまで問題を解決するため、解決できるという前向きな姿勢で臨むことが大切です。

4.自分の感情をコントロールすること

言うが易し行うが難しなのが、交渉中の自分のコントロール。いかに感情や態度を自分で管理できるかです。

交渉とは信頼・良い人間関係を築くこと、相手を尊重する、話を聞いて理解する。これはわかっていても、実際の交渉の場では頭に血が登ることもあるし、利害や意見の隔たりが大きい時は、投げ出したくなることさえあります。その時に、立ち止まって、もしくは一歩下がって、冷静な自分を取り戻せるかどうか。一時の感情に流されずに理性を保てるか。こうした人間力も問われるのが交渉だと思っています。

自分の感情コントロールのためにどうすればよいか。まずは交渉目的に立ち返ることだと思います。交渉で何を決めようとしているのか、どんな結果が望ましいのか。

ハーバード流交渉術の本では「バルコニーに上がる」と表現されていますが、気持ちをその場から離し、あたかもバルコニーから庭を見ているように、交渉から距離を取り客観視してみるのも有効です。イメージとしては、自分が交渉している部屋や状況を、部屋全体が映るカメラで状況を眺めている感じ。その絵を自分の頭の中で思い描いていると、結構冷静になれたりします。

感情をコントロールするために、感情的な意見からは良い結果が生まれないと言い聞かせるのも大切。あとは、休憩を取ってその場から実際に離れることも有効です。トイレに行くだけでも、ちょっとコーヒーを飲むだけでも。

5.交渉は準備が8割

交渉の良し悪しは準備で決まると言ってもいいくらいです。交渉が困難であるほど準備に時間をかけるべき。交渉準備のポイントとしては、
  • 交渉の目的を明確にする
  • 獲得目標を設定する:①理想的なケース、②これ以上は譲歩できない最低ラインの設定、③理想と最低ラインの間の落とし所。落とし所は可能なら複数用意しておくとよい。何が譲れないのか、妥協点は何かを明確にすること。譲れない場合については、最悪、交渉決裂も視野に入れておく
  • 自分と相手の状況を整理:強みと弱みは何か。相手の立場、交渉で求めてくると考えられる主張・要望、相手の利害は何か
  • 代替案や他の選択肢はあるか。代替案はどのタイミングで出すか。すぐに出してもよい案、なるべく出さずに取っておくのか。多くの選択肢を用意して交渉できるとベター
  • 交渉に使える時間を確認する。いつまでに交渉を終え合意する必要があるのか。

★  ★  ★

今回のエントリーでは交渉について、これからも大切にした自分の中での原則を書いています。交渉は相手があってのことだし、当然ながらこの通りにうまくいかないケースもあります。むしろ経験上、すんなりと交渉プロセスが進むほうが少ないです。

交渉って、上司への提案・メンバーへの仕事の依頼・クライアントとの折衝など、いろんなパターンがあると思っています。いずれにも共通していることとして、交渉とは結局のところ自分の人間としての器が試されているということ。あらためて、大切にしたいと思っている交渉の原則は、
  • 交渉で大切なのは良い人間関係を築けるか。どれだけ相手とWin-Win・相互満足を目指せるか
  • 交渉相手を尊重し、相手の立場で考える
  • 人と問題を分ける。フォーカスするのは問題点とお互いの利害
  • 自分の感情をコントロールすること
  • 交渉は準備が8割
このうち、1~4までをできるようにすることは、自分の生き方や価値観が問われるし、人としての成長につながるのではと思っています。交渉については、テクニック的な話からそもそも論まで幅広いですが、これからも5つは大切にしたい考え方です。


最後に、当時、交渉を勉強するために参考にしていた本をいくつかご紹介しておきます。あまり載せすぎてもくどいので5冊ほど。












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