投稿日 2013/08/31

書評「会社を変える分析の力 」:データ分析をする時の4つの自問自答

「会社を変える分析の力」という本が、ここ最近考えていたこととドンピシャという感じで、示唆に富む内容でした。

本書は、データ分析をする際の「心得」が書かれています。データ分析の心得は、高度な分析モデルやツールを使うケースから、Excelで関数を使って集計しグラフを作るという場合にもいずれにも当てはまります。本書で言われていることはどれも至極当然のこと。でも、実際に自分はできているか。全てにYesとは言えない自分がいました。

■このデータ分析は、問題解決のための意思決定にどれだけ使えるのか?

本書のスタンスで明確にしているのは、ビジネスにおけるデータ分析は問題解決につながってなんぼ、というもの。

データ分析とはデータで問題を解決すること。問題解明につなげる意図がないデータ収集や数値計算は、その方法がどれだけ高度であっても単なる「数字遊び」と著者は言います。

データ分析から得られた結果/示唆を、問題解決のための意思決定にどれだけ使えるか。ここが肝であり、「データ分析=意思決定の重要性×意思決定の寄与度」で決まると。2つ目の意思決定の寄与度とは、意思決定のための判断材料が数多くある中で、どれだけ重要な材料になれるかです。

■データ分析をする時の4つの問い

本書を読み始める前に目次を見て、まず始めに読んだ箇所が「データ分析をする時の4つの問い」でした。一番に目を通したこともあってか、読後においても最も印象に残っている問いかけでした。

著者は、データ分析の際には4つを自問自答するようにしていると言います。4つはデータ分析でビジネスを変える力の鉄則を問うものだから。若手を育成する際にもこの4つを繰り返し、繰り返し問いかけるそうです。

1.その数字にどこまで責任を取れるか?

データ分析者の役割とは端的に言うと数字を作ることです。であるならば作った数字に自分が責任を持てるかどうか。分析結果を出すと、それが大変なプロセスほど満足感も高まります。でも、その数字が本当に正しいのか、計算ミスや分析ミスをしていないか。疑いの目を向ける。自分自身がその数字に違和感がなく納得のいくものかどうか。

なお、「数字が正しいか?」と「予測結果が正しいか?」は少し別の話です。データ分析結果というのはあくまでもっともらしい答えであり、その予測通りになるとは限らないです。責任を持たなければいけないのは、あくまで分析が正確にされているかどうかです。

2.その数字から何がわかったか?

データ分析をした結果、前年比で30%増えた、みたいなことがわかります。ここで注意しないといけないのは、この段階では計算結果に過ぎないということ。本当に必要なのは、この結果から何がわかったかという「解釈」です。解釈は示唆・インサイトなどと表現してもいいですが、数字の意味を具体的に言えるかどうかです。

数字の解釈をするためには、分析の発端である分析課題、仮説、データや分析の前提/制約まで立ち返り、トータルで考える必要があります。数字を数字で終わらせないためにも「その数字から何がわかったか?」と問いかけるのです。

3.意思決定にどのように使えるのか?

データ分析の価値は意思決定のためにどう使えるかです。それなのに、「意思決定にどのように使えるか?」にちゃんと答えられないようなら、それは単なる分析遊びをやっていたにすぎないかもしれません。

著者は、多くの分析者はこの問いに「予測ができるようになった」などと答えると言います。でもこれは答えになっていない。どのように使えるか?の答えとしては、予測ができるようになり何の意思決定にどう使えるようになったかまでを具体的に言える必要があります。

がんばって分析を進め解釈もした、でもそれが意思決定には使えない時ほど無駄なことはありません。これを防ぐためには、いきなり計算や分析プロセスに入るのではなく、自分はこれからどういう問題に対して分析を始めるのか、得られるであろう結果/解釈が意思決定に役立つかどうかをまず最初に考える。そのための問いが「意思決定にどのように使えるのか?」。

4.ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

データ分析の価値は意思決定にどれだけ役立ったかですが、ビジネスにおいてはこれだけでは十分ではありません。データ分析からわかったことが実際のビジネスに貢献できたかどうかです。ビジネスへの貢献度を具体的な数字で答えられるのが理想です。単に売上に貢献できましたとかではなく。

データ分析でビジネスに役立つところまで持っていくには、分析をして終わりではなくその結果を役に立てたい、もっと貢献したいという強い気持ちが求められます。意思決定者の立場になり、当事者意識を持つ。意思決定にどう使い、それが実際のビジネスにどう活かされるのか。より具体的にイメージしてみる。この問いかけに対して答えられる時、データ分析者として初めて達成感に浸れるのです。

■その深掘りは、単なる知的好奇心を満たすためにやろうとしていないか?

読んでいる中であらためて自分が問われていると思った1つが、「そのデータ分析は自分の知的欲求を満たすだけのためにやろうとしていないか」でした。

データ分析のプロセスで一般的なのは、大きなところからデータで明らかにし、徐々に詳細や深掘りをしていく流れです。どこを細かく見ていくかを決める際に、その深掘りはデータ分析の目的(設定した課題)と仮説に沿ったものになっているかが本来です。そうではなく、単に自分の好奇心だけのWhy?を知るだけの深掘りになっていないか。課題解決・仮説検証・意思決定につなげる分析は頭ではわかってはいるのですが、いざデータ分析にどっぷり入ってしまうと、ついつい視野が狭くなってしまいがちです。目的やゴールを見失わないようにしなければ、と。あらためて。

★  ★  ★

本書で書かれているのは、データ分析をする際の心得や姿勢と、著者の経験や事例の具体例が中心です。逆に言うと書かれていないのは具体的な分析モデルであったり解析手法です。この本を読んですぐに分析力が向上することは望めないかもしれません。

ただし、本書の心得を理解し、そもそもデータ分析とは何なのか。何のために、どう活用するのか。実際のビジネス課題は千差万別で、分析からわかることも様々。意思決定にどう使い、それがビジネスにどう貢献できるか。このあたりを常に意識しながらデータ分析を進めるのか、それとも単に「数字あそび」をやっているだけなのか。以下のデータ分析での4つの問いは、意識し続けたいと思っています。
  • その数字にどこまで責任を取れるか?
  • その数字から何がわかったか?
  • 意思決定にどのように使えるのか?
  • ビジネスにどれぐらい役に立ったか?




投稿日 2013/08/25

なぜイチローは日米通算4000本安打を打てたのか

イチロー選手が日米通算4,000本安打を達成しました。以下の動画は記録達成の瞬間です。


Toronto Blue Jays vs New York Yankees-Ichiro 4,000 Hit - YouTube

ヒットを打った後にチームメイトがダッグアウトから出てきて、観客からも祝福されるシーンは感動でした。実況アナウンサーが「ヨンセン!」「オメデトウ!」と、ちょくちょく日本語を入れているのもうれしいですね。

■成功の裏には2倍以上の失敗や悔しさがある

4000本安打達成後のインタビューが、イチローの考え方/哲学が色々出ていておもしろかったです。例えば、以下のコメントです。
投稿日 2013/08/25

オーディオブックを献本いただき、初めて聴いてみた所感

以前のエントリー記事で、「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」という本の書評を書いていました。
「MAKERS」書評:Web世界で起こった革命がモノづくりでも起こる未来は明るいのか?

「MAKERS」のオーディオブック版が8月23日より配信開始とのことで、このエントリー読んでいただいた株式会社オトバンク様からいただきました(いわゆる献本のような形です)。同社はオーディオブックなどの音声コンテンツを配信するFeBe(フィービー)を運営しています。

オーディオブックとは、本を耳から聴くものです。例えば、以下のサンプル音声を聞いてみるとイメージしやすいと思います。どちらも、クリックすると再生ページに飛び再生が自動で始まります。
  • 「もしドラ」のオーディオブックサンプルはこちら 
  • 今回いただいた「MAKERS」のサンプルはこちら 

■オーディオブックを聴いてみた

オーディオブックをちゃんと聞いたのは今回が初めてでした。まず思ったのは、同じ本でも文字を目で読むのと音で耳から入れるのでは、感覚として全く違うことでした。脳の異なる場所が刺激される感じで、新鮮な体験です。

記憶への残り方も目と耳では同じ内容でも違うように思いました。今回はMAKERSというビジネス書でオーディオブックを経験させていただきましたが、小説だともっと違った体験になるように思います。

その一方で、オーディオブックは自分には合わないなとも感じました。合わないというのは私自身が本に求めるニーズを満たしてくれないという意味です。簡単に書いておくと、
  • インプットの速さが耳と目では、目のほうが早い。速読と速聴では速読のほうが効率がよい(速聴のトレーニングをすれば変わるかもしれませんが)。オーディオブックにもFeBeには2倍速コンテンツが用意されていますが、それでも目で文字を読むほうが早い。本をパラパラとページをめくってざっと全体観をつかむのもオーディオブックではできない
  • メモが取りにくい。本であればメモを取る時にはただ次のページに進まず立ち止まれますが、オーディオブックの場合は気になったフェーズを聴いてメモを取るためにはデバイスを一時停止する必要があり、この作業が面倒に思いました
  • 付箋や電子書籍のハイライトができないので、後からオーディオブックを聞き返したい箇所にダイレクトに行くのが困難。よって、再読(再聴)で必要な箇所だけ聴くことや、読後のまとめがやりづらい。【8/26追記】FeBeのオーディオブック再生用アプリ“KikuPlayer”では付箋機能がある

思うに、紙や電子書籍の目で読む本と、オーディオブックでは読者層が異なってくるのではないかなと。目で読むのも音で聴くのも両方好む重なるユーザーは存在はすると思いますが、読書のヘビー層はオーディオブックとは相性があまりよくないのかもしれません(少なくとも私がそうでした)。

それよりも、あまり読書をしない人であったり、読みたくても読書をする時間が取れない人が、隙間時間や何かをしながら聴くというイメージがあります(家事とか)。通勤中に聴くのもありかもしれません。満員電車で本を手にできない状況でも再生ボタンさえ押せれば聴くことができそうです。

■FeBeを見てみると

ここからはFeBeを見ての所感です。FeBeはオーディオブックなどの音声コンテンツを配信するサービスサイトです。

正直な感想として、もったいないと思いました。オーディオブックなどの音声コンテンツがあるのに、仕組みとして使いやすいようには思えなかったからです。
  • 購入(音声ファイルダウンロード)できるのがデスクトップPCのFeBeサイトのみ(?)。iPad/iPodやAndroidスマホでもやってみましたが、うまくダウンロードできませんでした
  • Mobileでのダウンロードページには「iPhoneやiPodをご利用の方は、ストリーミング再生となり、音声の保存はできません」。この方法は使いやすいとは言えない・・
  • iPhoneに音声ファイルを入れる場合は、デスクトップでダウンロード→iTunesへインポート→iPhoneと同期という流れ。厳しい言い方をすればこのやり方は5年くらい古い印象です。初期のiPodとiTunesを同期させて音楽を取り込んでいた時代のやり方。専用アプリで購入/ダウンロード、ファイル保存、再生、を全てMobile内で完結させる仕組みを用意すべきと思いました。聴くまでのハードルをなるべく下げないと。【8/26追記】FeBeのオーディオブック再生用アプリ“KikuPlayer”では、付箋機能やリピート再生、倍速再生などの利用が可能。スマホからのダウンロード再生もアプリより行うことができる
  • 理想を言えば、Amazonのページには同じ本が紙でもKindle版(電子書籍)のどちらも買えるので、そこにオーディオブックが買えるとよいと思いました。オーディオブックはKindleアプリから聞ける仕組みに

オーディオブックの価格設定も気になりました。基本的には紙の本と同じ値段です。日替わりの値下げや、有料会員になると安く購入できる仕組みもあるようですが、それを考慮しても割高感があります。例えば、今回のMAKERSオーディオ版は1995円。紙と同じというのは高い印象です。

価格に対する個人的な感覚としては、紙の本>電子書籍>オーディオブックの順番。この理由を考えてみると、コンテンツ内容は同じですが、目に見えるリアリティみたいなものがあるほど、価格の価値としては高く感じてしまうからだと思います。

紙の本に比べると電子書籍はモノとしてのリアリティは下がりますが、電子書籍デバイスの中に画面内で存在はしています。ぎりぎりモノとして認識できるレベル。

オーディオブックは電子ファイル化された音声なので、電子書籍に比べてさらに実態としての存在感が低く感じるんですよね。だから実態感が、紙の本>電子書籍>オーディオブックとなり、価格許容度もこの順番になってしまう。AmazonではKindle版が同じ紙の本より安いことが多いので、紙の本>電子書籍が普通になっている一方で、「オーディオブック=紙の本」がなおさら高いように感じてしまいます。

オーディオブックについては、まずは認知を広げ、ユーザーを増やせるかどうかだと思うので、潜在ニーズのある層でも価格がボトルネックとなってしまうのではないか。戦略的な値付けも大胆にやってみてもいいかもと思いました。

★  ★  ★

色々と書いてしまいましたが、オーディオブックはコンテンツとしては紙の本や電子書籍とはまた違って、故に紙/電子書籍では応えられなかったニーズを満たせる可能性があると思います。

詳細の数字は割愛しますが、海外に比べて日本でのオーディオブック市場は小さいようなので、これからの国内でのオーディオブック市場の拡大はどこまでいくのか。今回いただいたMAKERSを機に関心領域の1つとなりそうです。


投稿日 2013/08/24

マネーフォワード:お金への 「虫の目・鳥の目」 両方がある便利なサービスをご紹介


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毎月の資産運用チェック


毎月の始めに、資産運用をする時間を少し取っています。前月までの資産運用の状況をチェックしています。

  • 1ヶ月あたりの収入と収支を見る。収支については食費にいくらのレベル
  • 資産配分 (アセットアロケーション) を確認。アロケーション項目は現金や預金、日本株、海外株、外国債券の4つ
  • 毎月の投資は基本的には投資信託への自動積立で、特にやることは無し

以上を15~30分でやっています。3ヶ月に1度の頻度で、資産配分の調整をしています。


重宝している Money Forward


毎月の収入と収支を管理するのに使っているのは Money Forward (マネーフォワード) です。使うようになって毎月の資産管理が効率的にできるようになりました。


Money Forward が便利な3つの理由


マネーフォワードを使い続けている理由は次の通りです。
投稿日 2013/08/18

書評: 満員電車がなくなる日 - 鉄道イノベーションが日本を救う (阿部等)




今回は、満員電車についてです。エントリー内容は以下です。

  • そもそもの満員電車の問題
  • 書籍 「満員電車がなくなる日」
  • どうすれば満員電車をなくせるか
投稿日 2013/08/17

ブログのアクセス数減少が教えてくれた大切な2つのこと




Google Analytics というサイトのアクセス解析ツールがあります。自分のブログへのアクセス状況が、これだけで十分に分析できる便利なツールです。

Analytics を見ていて気づいたのが、8月に入ってからブログへのアクセス数が減少したことでした。ページビュー数 (PV) のトレンドグラフを見ると、それまでに比べ明らかに減ってしまっています。

これまでは PV の傾向としては少しずつ増えていたこともあり、いきなり PV が減ってしまいその水準が一時的ではなく続いているので、正直に言うと知った時はちょっとショックでした。

PV 数の減少要因を分析してみると …


とはいえ、気にしていても仕方ないのでもう少し Google Analytics で分析してみることに。PV 数は、訪問者数 × 訪問者あたり PV 数に分けられて、減少要因はそもそもの訪問者数が減っていたことでした (ユニークユーザー数も減少) 。
投稿日 2013/08/11

YouTubeで音楽をヘビーに聞くようになっての雑感

ふと気づけば、最近は音楽を聞くのがYouTubeが多くなっています。

自分の日常で音楽を聞くのは、通勤などの電車の中、自宅、仕事で集中したい時。このうち、自宅と仕事時はYouTube(YT)を使っています。

YTには音楽コンテンツがかなり充実していると思っていて、その中でもよく利用しているのは60分くらいのDJの人がミックスしたコンテンツです。YTにはSubscription(登録)の機能があり、気に入ったDJさんは何人かは登録しています。(例えば、 Soulful Evolution JaBigMike WhitfieldHeiera Mark MelloTrevor NygaarddarkocorazzoErwin Westerborg)

YTで音楽を聞く時は作業用BGMとしてです。音楽を聞く時間も増えました。一日あたり3,4時間は聞いています。YT利用者全体でみた場合、たぶんヘビーユーザーの1人になっているように思います。以下は、YTで音楽を聞くようになり、ここ最近思っていることです。

■音楽の保有意識の低下

以前であればiPhoneの中に入っている曲を聞いていました。今でもなくなったわけではないですが、YTの音楽を聞くことで音楽の保有意識がなくなりつつあることを実感しています。

YTで音楽を聞くことに関しては、曲を持っている実感はなくて、ただYT上にある音楽を「再生」するだけという感覚です。保有もダウンロードもしている認識もなく、ただそこにある音楽を聞いているだけです。

音楽再生はCDというメディアだった頃に比べ、iTunesからiPodなどにダウンロードして聞くスタイルに変わった時、音楽の保有意識も変わりました。CDという物理的なメディアに入っていたものが、MP3形式になり音楽に対してモノの感覚が薄れた記憶があります。

それでもiTunesの中(PCの中)だったり、iPod/iPhoneの中には入っているという意識はあったので、保有の実感はありました。それがYTでストリーミングで聞くことが多くなり、音楽はもはや保有ではなく、その時だけ利用し聞くものになりました。

保有意識の低下によって、今のところ、だからどうというわけではないのですが、あらためて思うとこの感覚の変化は大きいと思っています。

■YTが使えない環境で顕在化した不便

通勤での電車内でも音楽を聞いていることが多いのですが、今のところこの時間はYTは使わずに、iPod touch内に保存してある音楽を聞いています。

電車内でもYTは使えないこともないのですが、通信が弱いので途切れてしまうことがあります。デバイスも常に通信をするので、バッテリーの消費も激しくなります。なので、通信をせずに音楽を聞くとなると、デバイス内の音楽を聞いています。

従来はこのモバイルデバイス内のローカル保存の音楽を聞くという視聴スタイルに特に不便は感じなかったのですが、自宅等の屋内でYTで聞くことが多くなると、YTを使いにくい環境下での不便が顕在化してきています。

デバイス内で保存してある曲数は、YT上にある音楽の多さに比べると少ないので、曲に飽きてきてしまいます。それに比べるとYTで聞ける音楽は感覚としてほぼ無限にある感じなので、選曲に迷うこともないんですよね。iPodから曲をいちいち選ばないといけないのが、意外に不便に感じてしまうようになってきています。これはYTを音楽用として利用する前には全くなかった不便です。

■コンテンツプロバイダーにプロもアマもない。ただ自分が気に入った音楽を聞くだけ

上記で自分がYTで登録しているDJさんのいくつかをご紹介しました。昔の、CDでミックスを買っていた頃を思い出すと、CDを出せるようなDJはその世界でのかなりのトップクラスだったはずです。

一方、YT上にはプロのDJもいれば、セミプロ、アマなど様々なクラスが混在しています(プロやセミプロの定義はここではあまり厳密に考えていません。要はトップ級だけではないということを言っています)。あらためて思うのは、自分にとって大事なのは音楽というコンテンツプロバイダーがブロorアマではなく、自分の好きな曲を提供してくれるか、自分の音楽嗜好/センスに合っているかどうかです。

YTというプラットフォームに音楽だけでも多種多様なコンテンツがあり、その中で自分が気に入った音楽を聞くだけなんですよね。すごくフラットな世界という感覚です。

■音楽接触時間は増えた。ただしお金は払っていない

YTで音楽を聞くことが多くなり、結果として音楽視聴時間は以前よりも増えました。特に作業用BGMとして、PCで何かを集中してやりたい時はだいたい聞いています。

一個人として音楽利用時間が増えたのに対し、音楽に対して支払うお金は減りました。ことYTに関してはフリーです。厳密に言えば、YT内で見る広告のうちいくつかは課金が発生していますが(TrueViewで広告スキップをしない、スキップ機能がないIn-Stream)、これも自分のお金が支払われるわけではないので感覚としてはYTに一銭もお金を払っていないのです。

音楽視聴時間は増えているのに、支払うお金は増えていない、むしろYTを利用すればするほど減っています。今後、マーケットとして成り立つのかがとても気になります。

コンテンツプロバイダーにとっては、音楽視聴者から直接ではなく広告からお金を稼ぐことは可能です。CDやiTunesでのダウンロードでは、音楽を買う、つまり音楽視聴者から直接お金がまわってきていました。YTでは、お金の流れとしては視聴者からではなく、広告主からYT経由(Google経由)で支払われます。

このエコシステムが良いのか悪いのかはなんとも言えないのですが、気になるのはお金という視点で見た時にマーケットとして、今後も成り立つのかどうか。利用者にとってYTでタダでいくらでも音楽を聞けるうれしい環境ですが、音楽提供者にとって金銭的な旨みがなくなれば、プラットフォームとしては成立しなくなる?というのがここ最近の感心事です。

■YTでの音楽視聴は、YT本来の使い方?

YTで音楽を視聴すると言っても、作業用BGMとして利用する場合には「視」はありません。ユーチューブなのに、映像は全くと言っていいほど見ていなく。ただ音を聞いているだけです。

動画のほうも、1時間とかある音楽コンテンツはもともと映像はないようなもので、1時間ずっと同じ静止画が表示され、音楽だけ流れるというパターンも結構あります。コンテンツ提供者側も利用者側もはじめから動画を見ることは想定していないということ。

YTはもともとは動画サイトなのに、映像が作られていない/ニーズがないというのはよく考えるとおもしろい現象です。YTがもともと想定していた使い方ではないように思いますが、動画サイトなのに映像ではなく音だけに一定のニーズがあり、需要と供給が成り立っているのは興味深いです。


投稿日 2013/08/10

決断とは最善を尽くすこと:落合博満の采配論から学ぶ意思決定の心構え




中日ドラゴンズの前監督である落合博満氏は自らの著書 采配 で、次のように書いています。

どんな局面でも、采配というものは結果論で語られる事が多い。

(中略)

責任ある立場の人間が下す決断ーーー采配の是非は、それがもたらした結果とともに、歴史が評価してくれるのではないか。ならばその場面に立ち会った者は、この瞬間に最善と思える決断をするしかない。そこがブレてはいけないのだと思う。
投稿日 2013/08/04

子どもは親の鏡:出産予定日がちょうど1ヶ月後なので忘れないように

今日は8月4日。9月に子どもが生まれるのですが、予定日が9月4日(水)です。

あと1ヶ月なんですよね。1ヶ月ってすぐに時間が経つ感覚なので、待ち遠しい限りです。そういえば今朝、初めて夢に自分の子どもが出てきました。

自分の子どもが生まれるということで、子育て系の本も読むようになりました。今回のエントリーでご紹介したいのは「子どもが育つ魔法の言葉」

本書のキーメッセージは「子どもは親の鏡である」。子どもは常に親から学んでいて、親の姿を見ている。親のありのままの姿を子どもはよく覚えている、というもの。親の考え方、言動、行動が子どもに与える影響は大きいのは、実感としても理解できます。

本書で印象的だったのは、以下のフレーズです。
  • 認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
  • 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
  • 叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう

■認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる

親のスタンスとして、子どものことを認めてあげられるようにしたいと思っています。子どもとはいえ、1人の存在として認めることであったり、子どもがやること、言うことに対しても受け入れるようにしたい。食事をこぼして床にぶちまけたりとか、時には怒りたくなるようなことでも、まずは受け入れる。認める。そのすぐ後にきっと怒ってしまうような気もしますが、認めることなしに叱ることは避けたいなと。

子どもの立場で考えると、一番の身近な存在で信頼できる大人が親です。そんな親から自分は認められていると感じられるか。認めてもらえないのであればその影響は大きいように思います。本書に書かれている「認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる」というのはわかるんですよね。自分のことが親に認められたと実感できると、そんな自分のことを誇らしく思え、好きになるというか。

■誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ

子どもの何を誉めるとよいか。親として大切にしたいのは、プロセスをまずは誉めることです。自分で考えたこと。行動を起こしたことに対して。やる気とかモチベーション。時には失敗もするかもしれませんが、まずは結果に至るまでのプロセスにおいて誉めるようにしたいと思ってます。

意識したい褒め方としては、具体的に誉める、その場ですぐに伝える、時にはさらに良くなるような助言もセットで誉める。

親から見て、子の長所についても触れて、子ども自身が自分の良い面をわかるようにもしてあげたいです。2つあって、自分が長所と思っていることを親に認めてもらえること、自分が気づいていないことでも長所と指摘され意識することで、新しい自分が見つかる。ポジティブに捉えられるようになり、自己肯定感を持てるようになってほしいですね。

子育てに関する本を何冊か読みましたが、よく出てきてたのが「自己肯定感」でした。自分を認めること、何が起こっても「大丈夫」と思えること、自信を持つこと。自己肯定があることで、考え方が前向きになれます。

自分の長所や努力を誉めることで、子どもはそれが正しいアプローチと理解できる。それが次のプロセスにつながっていく。こうした良い循環ができることで明るく前向きな子になってほしいと願っています。

■叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう

子どもを誉めることは大事だとわかっていても、怒ったり叱るケースもあります。どういうふうに叱るかは結構難しいなと感じています。

叱る時に意識するようにしたいのは、その場で叱ること、具体的に叱る、公平であること。その場でというのは、後から叱っても効果は低いように感じるので、具体性も併せて、次につながる叱り方をしたい。決して自分のストレスやイライラの解消のために怒ったり叱ることはないように(公平に叱る)。

「怒ったり叱ったり」と書いて思ったのが、怒ることと叱ることの2つを分けて考えたほうがいいなということ。必ずしも2つはセットである必要はなくて、怒る要素は減らし叱ることにフォーカスしたいです。

怒る行為は、親にとって自分本位なこと。感情的になることは仕方ないですが、自分の気持ちを子どもに向けてぶつけているイメージです。でもそれは果たして子どもにとって良いことなのか。子どもにとってプラスになるからこそ叱る。子どもにとっても長い目で見ると怒られるのでなく、叱られたほうが得るものも多くなる。そんな親子関係を目指したいもの。

叱る回数が多くなり過ぎないようにも気をつけたいです。目指したいのは誉めると叱るの割合が1:1くらいになること。理想は誉めるほうを多くすることですが、果たしてそんなうまくいくのかな。

★  ★  ★

こうして考えると、親の役目もなんとなく見えてきます。子どものことを受けとめ、肯定し、認めてあげること。励まし、誉めてあげる。叱る時には公平におもいやりをもって。

こうした子どもへの直接の触れ合いだけではなく、普段からの親の立ち振舞を子どもはきっと見ているはず。子どもは親から学ぶ、子は親の鏡であるという本書の指摘は、忘れないようにしたいと思っています。

最後に、本書からの引用です。
けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもはみじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう

励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世はいいところだと思えるようになる

※関連記事
父親になるということ
父として子に何を語るか
親子で楽しむ「子どもの才能をグングン引き出す脳の鍛え方/育て方」
「男の子の子育ては楽しい」と思えるようになるためのしつけ方




投稿日 2013/08/03

転職して3ヶ月を振り返る


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転職して3ヶ月が経ちました (2015年8月現在) 。

感覚的に、3ヶ月が1年くらいの時間のようです。いや、もっと長い時間かもしれません。それだけ密度が濃かったし、早く時間が過ぎました。転職を通じて様々なことが変わりました。

今回のエントリーでは、あらためて転職後の3ヶ月を振り返ります。仕事で意識していた3つです。

  • 自分がいることによって、価値を出せているか
  • 行動し一歩でも中に入り込む
  • 楽しく働く

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。