2014/06/28

データ分析のプロになるための4つの視点

「会社を変える分析の力」という本は、ふと思い出した時に読み返すことが多く、自分にとっては大切な本の一つです。



必ずと言ってよいほど目を通すのは、「データ分析をする時の4つの問い」です。
  1. その数字にどこまで責任を取れるか?
  2. その数字から何がわかったか?
  3. 意思決定にどのように使えるのか?
  4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

自分の仕事とデータ分析は切っても切り離せないのですが、この4つができているかは意識するようにしています。今自分がやっている分析案件について、1, 2, 3, 4は全て満たしているのかと。

1. その数字にどこまで責任を取れるか?

データ分析者の最低限の役割は、数字という集計結果を出すこと。まず問われるのは、出した数字に自分が責任を持てるかどうかです。

分析結果を出すと、それが大変なプロセスほど達成感も高まるもの。しかし、その数字が本当に正しいのか、計算ミスや分析ミスをしていないか。自分自身がその数字に違和感がなく納得のいくものかどうか。

なお、「数字が正しいか?」と「分析予測結果が正しいか?」は別の話です。データ分析結果というのはあくまでもっともらしい答えであり、その予測通りになるとは限らないです。責任を持たなければいけないのは、あくまで分析が正確にされているかどうかです。

2. その数字から何がわかったか?

データ分析をした結果、Bに比べてAの効果は有意に10%高かった、みたいなことがわかります。ここで注意しないといけないのは、この時点では計算結果に過ぎないということ。本当に必要なのは、この結果から何がわかったかという「解釈」や「知識」。

数字の解釈をするためには、分析の発端である分析目的、課題(分析視点)、仮説、時にはデータや分析の前提/制約まで立ち返って考える必要があります。

先ほどの「Bに比べてAの効果は有意に10%高かった」については、例えば、この条件ではAを推奨するが、違う条件下ではこういう理由でBが望ましい、という感じです。分析結果を知識にできることで、3つ目の「意思決定」につながります。

3. 意思決定にどのように使えるのか?

データ分析の価値は意思決定のためにどう使えるかです。もっと言えば、そもそものデータ分析に取り掛かるかどうかの始めの時点で、こういう意思決定のためにデータ分析をする、という明確な設定がないといけないのです。

例えば、マーケティングのAとBの2つの案について、どちらが適切なのかが決めかねている状況で、分析結果から A or B のどちらがよいかの示唆を与える。あるいは、AとBを使い分ける判断材料にしてもらう。

いきなり計算や分析プロセスに入るのではなく、自分はこれからどういう問題に対してなんのために分析を始めるのか、得られるであろう結果/解釈が意思決定に役立つかどうかをまず最初に考えることが重要です。

4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

データ分析の価値は意思決定にどれだけ役立ったかです。ビジネスで分析をする以上は、データ分析からわかったことが実際のビジネスに貢献できたかどうかが問われます。理想は、ビジネスへの貢献度を具体的な数字(売上や受注件数など)で答えられること。

データ分析でビジネスに役立つところまで持っていくには、分析をして終わりではなくその結果を役に立てたい、もっと貢献したいという強い気持ちが求められます。意思決定者の立場になり、当事者意識を持つ。意思決定にどう使い、それが実際のビジネスにどう活かされるのか。より具体的にイメージしてみる。

★  ★  ★

自分の経験から考えると、4つとも満たせた案件というのは、残念ながら多くはないのが現状です。

感覚的には、「1. 分析結果は正しいか」「2. 分析結果から何がわかったか」まではいけるものの、その先の「3. 意思決定にどう役だったか」、さらには「4. ビジネスにどう貢献したか」までちゃんと答えられるケースは少ないです。

だからこそ、データ分析の企画をする時、集計/分析の段階、結果から考察に仕上げる時など、常に4つの問いを側に置いておきたいと思っています。




2014/06/22

「答え」を出すのは自分!という姿勢

マーケティングリサーチには大きく分けると定量調査と定性調査があります。定量調査は、生活者の行動や意識を「数」で理解する、定性調査は、生活者の行動や態度の奥にある気持ちを理解することが目的です。

例えば、自社の商品がどれくらいマーケットで知られているかを把握したい場合、200人にアンケートをかけて何%の人が認知しているかを確認するのが定量調査。その商品を使っている人にインタビューをしたり、自宅に伺って利用シーンや普段の生活も含めて調査するのが定性調査となります。

■インタビュー対象者に「答え」を求めない

ちょっと前に、定性調査(インタビュー)に関わる機会がありました。



その時にあらためて思ったのが、インタビュー対象者に「答え」を求めないことの大切さ。自分たちが抱える課題に対して答えを出すのは、あくまで自分たちという意識です。

インタビュー対象者に求めるのは、生活者の立場としての素直な意見や声であり、そこから課題解決に結びつくヒントを発見し、あるいは情報を解釈をするのはマーケターやリサーチャーの役割です。

例えば、インタビューで、「どういう機能があればよいと思いますか?」と聞くのは、生活者に直接答えを求めすぎていると思います。

答えを求めるのではなく、現状において困っていることや、対象者本人ですら意識していないようなちょっとした不便を見つける。「◯◯はいいと思うんですけど…」と言われた時に、「けど…」を見逃さずに、奥の気持ちをどれだけ掘っていけるかです。

そこから、マーケターやリサーチャーは何に気付き、どんな解釈をするか。発見や得られた示唆から、自分たちのマーケティング課題に対して答えを出すのは、あくまで自分たちという姿勢です。

■「答え」を出すのはあくまで自分

「答え」をインタビュー対象者に求めないというのは、一般化して捉えてもよいのではと思います。

自分の中で決めきれないことを人に相談する時も同じと考えています。相談をしてヒントはもらうけど、最後に決めるのは自分であるというスタンスです。

あるいは、ビッグデータを使えば、(これまでは得られなかった)答えがわかるとは考えずに、データがビッグでも、そこから読み取って解釈し、どんなインサイトを出すかは自分たちであるという意識。データ自体がそこまでやってはくれないと思うわけで。

もちろん、求めている答えがずばり得られることもあります。ただ、始めからそれを期待するのか、「答えは自分で出す」という意識でいるかの違いは大きいと思います。自分でというところに強い意志を持っておきたいなと。


2014/06/14

ネット広告の効果指標の近未来(2014年現在)

「広告ビジネス次の10年」という本には、近未来予測(第七章)がいくつか書かれています。

■態度変容がネット広告効果の指標になる

その1つが、ネット広告の効果指標に「認知」「態度変容」が加わる、というもの。以下、本書からの引用です。
動画広告の普及にともない「認知」「態度変容」といった指標がネット広告の効果指標として浸透していくことだ。ウェブ上で直接購入を促すことだけがゴールではない商品を扱う広告主が、広告の認知、ブランドの認知、そして購入意向などの態度変容効果に着目して、動画広告を本格的に活用していく。
(中略)
ECサイトなどのビジネスゴールがネット上にある場合はよいが、実店舗での販売が主力の広告主にとって、ネット広告活用における効果指標をどう定義するのかは大きな課題であったが、今年からネット広告による「認知」「態度変容」の効果を測る流れが加速するだろう。

ネット広告に限らず、広告を出すことの目的はその商品/サービスが売れることです。ただ、広告出稿 → 売上アップの間のプロセスについても、広告の効果があったかどうかをネット広告でも見ないといけない、ということです。

具体的には、広告によって、その商品を知ってもらう(認知)、興味を持ってもらう、商品/サービスの特徴を理解してもらう、商品/サービスのことを好きになってもらう(好感度)、などです。


認知 - 興味 - 商品理解 - 好感 - 購入意向 という人の気持ちや意識の変化を、広告によって引き起こせたかを指標として見ていく。

ネット広告の世界では、これまで、(バナー広告とかを)いかにクリックしてもらえるか、クリックした人が次のページで資料請求や加入申込みをしてくれるか(業界用語でコンバージョンと言う)を、広告の効果があるかないかの判断基準としてきました。これが変わりつつあって、クリック重視から態度変容へ、という流れです。

■態度変容をどうやって測るのか

態度変容が広告効果測定指標になっていく、という本書での説明は2ページにわたって書かれています。個人的にやや物足りなかったのは、「認知」「態度変容」をどうやって測っていくのか、(仮に測れたとして)これらの効果指標をどう活用するかが、具体的には書いていなかったことでした。

前者の「認知」「態度変容」をどうやって測るかについて。

態度変容などはその人の気持ち/意識の内面の変化などで、これを知るためにはその人に直接聞き出す必要があります。広告のクリック数であれば、ウェブ上にクリックというログが残るのでログを集計すればいいのですが、態度変容などの意識面についてはそう単純ではないのです。

方法としては、広告を見た人にアンケートをかけて直接聞くやり方でしょう。考えるに、広告に関するアンケートとして、商品/サービスを知っているか(認知)から、購入意向までを教えてもらう。比較対象として、広告を見ない人にも同じ内容を聞いておき、見た人 vs 見せなかった人で比較分析をする。

あるいは、同じ人に対して、広告を見る前と見た後の2回アンケートで聞いておき、見た前後で比較するやり方もあります。

ちょっと専門的な話になりますが、前者の「見た人 vs 見せなかった人」について、見せなかった人には注意が必要です。というのは、正確に比較するためには、本来その広告を見るであろう人に対して、何かしらの方法であえて見せないことによって(あえて別の広告を見せるとか)、「見せなかった人」とします。

つまり、広告配信のターゲットは全く同じ条件にし、見た人と見せない人で広告接触以外は極力同質なグループをつくる。ランダムに見せる人/見せない人に振り分けることで、A/Bテストのように理論的にはつくることができます。

同じ人に2回アンケートをし、広告接触前後で比較するやり方も注意が必要です。1回目と2回目のアンケート間隔が短すぎると、1回目のアンケートが記憶に残っていて、それが2回目のアンケート回答に影響を及ぼしてしまう可能性があります。(専門的には調査バイアスと言います)

例えば、1回目のアンケートで、◯◯を知っているかを回答することで、アンケートからその商品を知ってしまう可能性があります。2回目アンケートで「知っている」と回答されても、広告を見て商品認知をしたのか、単に1回目のアンケートで知っただけなのかがわからなくなるのです。

■広告による態度変容をどう活用するか

広告による認知や態度変容が測れたとしても、その結果をどう活用するかも大事になってきます。

例えば、コスト換算して活用するやり方。認知者1人を獲得するのに必要なコストを出して、判断基準とする。認知だけではなく、興味や商品理解、買いたいと思わせる人を1人獲得するためのコストを比較する考え方です。

ネット広告でも静止画と動画広告で比較や、動画広告でも動画再生前に流す形式と、ウェブページの右上のバナー内で流す形式では、見る人にとってのインパクトも違うはずなので、費用対効果が異なるのか、という視点です。認知を効果的に獲得するのはこのやり方、好感度を上げる方法はこっち、みたいな判断ができるようになるかもしれません。

ネット広告でも、PC用広告とスマホ用広告では効果も違うかもしれませんし、ネット以外にも視野を広げ、テレビ広告とネット広告の比較なんてこともできるようになるかもしれません。

『ネット広告の効果指標に「認知」「態度変容」が加わる』の先がどうなっていくのか、興味がある世界です。




2014/06/08

かつて情熱的に愛しあった夫婦ほど、ある意味で相性はサイアクらしい




話を聞かない男、地図が読めない女。男女でこんなに違うという話は、誰しもが一度は聞いたり、実感したことがあります。

夫婦脳 - 夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか という本が興味深く読めました。一般的な男女間の違いではなく、夫婦という切り口で、一歩踏み込んだ男女間の違いをわかりやすく説明されています。



女性は、右脳で感じたことがそのまま言葉に出る


女性脳の特徴は、男性と比べて右脳と左脳の連携が良いことだそうです。

女性のほうが、右脳と左脳をつなく脳梁 (神経線の束) が20%太いためです。女性は右脳で感じたことがそのまま言葉として出します。例えば本書で紹介されていたのは、以下の女性同士の会話です。

2014/06/07

書評: 「10年先の自分」をつくる (工藤公康)

工藤公康。プロ野球の投手として224勝を上げました。それ以上に特筆すべきなのが、現役生活が29年。平均期間が10年弱と言われ、多くの選手が6-7年でユニフォームを脱ぐ厳しい世界にもかかわらずです。

そんな工藤氏の著書が『「10年先の自分」をつくる』です。

■10年先のための「いま」

本を読む前、タイトルから想像したのは、10年先の自分をイメージしそこから逆算して何をするかを明確にすべき、みたいなことが書かれているのではということでした。それをプロ野球の世界でどう実現したか、みたいな話だと思っていました。ただ、読み始めてみると、良い意味でその期待は裏切られました。

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