2015/03/28

書評: Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない (泉田良輔)




競争ルールとイノベーションについて考えさせてくれたのが、Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない という本でした。興味深く読め、一気に読み終わりました。



いま自分たちが競っている市場の競争のルールは何か


この本で印象的だったのは、イノベーションは 「既存の競争ルールの無効化」 という考え方でした。以下、本書からの引用です。

2015/03/25

書評: 戦争プロパガンダ10の法則 (アンヌ・モレリ)




プロパガンダについてあらためて考えさせられたのが、戦争プロパガンダ10の法則 という本でした。



本書の内容


内容紹介の一部を引用します。

第一次大戦からアフガン空爆まで、われわれは政府発表やメディアにいかに騙されたか。気鋭の歴史家が戦争当事国による世論操作・正義捏造の過程を浮き彫りにする。
第一次大戦から冷戦、湾岸戦争、ユーゴ空爆、アフガン空爆まで、あらゆる戦争において共通する法則がある。それは、自国の戦闘を正当化し、世論を操作するプロパガンダの法則だ。
「今回の報復はやむをえない」
「ビンラディンは悪魔のようなやつだ」
「われわれは自由と平和を守るために戦う」
正義はこうして作られる。
これまでに戦争当事国がメディアと結託して流した 「嘘」 を分析、歴史のなかでくり返されてきた情報操作の手口、正義が捏造される過程を浮き彫りにする。ブリュッセル大学で教鞭をとる気鋭の歴史学者が読み解く、戦争プロパガンダの真実。


戦争プロパガンダの10の法則


本書で提示される戦争プロパガンダのための 「10の法則」 は、次の通りです。

2015/03/21

書評: 都市は人類最高の発明である (エドワード・グレイザー)




都市は人類最高の発明である という本がおもしろかったのでご紹介します。



本書の内容


このタイトルは邦題で、原題は Triumph of the City: How Our Greatest Invention Makes Us Richer, Smarter, Greener, Healthier, and Happier です。Triumph of the City を直訳すると 「都市の勝利」 です。

内容紹介から引用です。

無秩序に広がる都市こそが、人類にとって最も必要なものなのだ!

都市が人類の進歩に果たしてきた役割を分析し、その重要性を明快に指摘する新しい都市論。

著者は、「健康面でも文化面でもインフラの効率面でも環境面でもきわめて優れていて、都市こそは人類最高の発明である」 、「都市を高層化・高密化させて発展させることが人類の進歩につながるのであり、その足を引っ張るような現在の各種政策はやめるべきである」 と主張する。


都市は人類の強みを最大限に活かせる


なぜ都市は 「人類最高の発明」 なのでしょうか。

本書の主題を一言で言うと 「都市は人類の強みを最大限に活かせる場所」 だからです。

都市の特徴は、人や企業の間に物理的な距離が小さいことだと著者は言います。都市の緊密性や密度であることです。

都市では人と人との距離が近いので、人同士のつながりが生み出されます。

これにより、人々は協力し、お互いから学び合います。著者は、お互いから学び合うことこそが、人類の本質的な特徴だと言います。人類の協力があるからこそ、都市は文明の成功に寄与し、人々が協力しあう状況が、都市が存在する最大の理由であると言います。


都市での密集性と多様性


都市では、人々が密集しているので相互作用の機会が生まれます。各自のアイデアやお互いの技術が組み合わされやすい状況です。そこから、新しいアイデアやイノベーションが生じるのです。

アイデアは何もないゼロからではなく、多くは既存のアイデアや技術などの組み合わせで生まれます。この考え方は、名著 アイデアのつくり方 で述べられています。

ポイントは多様性です。

アイデアが組み合わさるとき、似たようなアイデア同士では新しいアイデアが生まれにくいでしょう。だからこそ、重要になるのが多様なアイデアがあることです。本書の文脈で言えば、多様な産業や文化が都市にあることが大切なのです。

都市にはお互いが接触し、混ざる機会が数多くあります。そのための条件が 「密集性」 と 「多様性」 の2つであり、都市が発展していくために必要な2つの要素だと著者は言います。


多様性を失い都市が衰退した事例 (デトロイト市)


本書では、古今東西の様々な都市が各テーマの事例として紹介されています。

その中に、都市の多様性という視点で興味深い事例が書かれていました。アメリカのデトロイト市です。

20世紀、デトロイトは世界有数の自動車産業が中心の工業都市でした。自動車という単一の産業に強く依存し、労働者の多くも自動車産業で働く人々でした。一方で、自動車以外の産業が育成されませんでした。

多様性を失ったデトロイトは、自動車産業が傾くと、それとともに衰退していきます。

かつてデトロイトが発展できたのは、フォードが開発した自動車大量生産方式があったからでした。興味深い指摘だったのが、大量生産方式が開発できたのは、その当時のデトロイトには自動車以外の多様性のある都市だったからという点でした。

多様性があったから生み出されたのが自動車大量生産方式でした。しかし、その方式のみで自動車産業という単一産業の都市となってしまいました。多様性が失われ、デトロイト市は衰退していったのです。


最後に


本書のタイトルは 「都市は人類最高の発明」 です。

なぜ都市が最高なのかを通して示唆するのは、人間は、共に考え、共に働き、そして共に生きる存在であることです。これこそが、都市は最高の発明であるためのベースとなっている要素です。



2015/03/17

Google グローバルマーケティング担当 上級副社長が語る 「マーケターは仲人たれ」




グーグルのグローバル マーケティング担当責任者と、マッキンゼーとのインタビュー対談が示唆に富む内容だったのでご紹介します。

参考:How Google breaks through | McKinsey & Company (インタビューは2015年2月)


グーグルのグローバルマーケティング担当責任者は、上級副社長の一人でもある Lorraine Twohill 氏 (ロレイン・トゥーヒル  ※ 役職は2015年現在) です。ロレイン氏は、2003年にグーグルへ入社、2009年からグローバルマーケティングの責任者となり、2014年から上級副社長に就いています。


マーケターはどうあるべきか


マッキンゼーとのインタビュー対談で、印象深いコメントがありました。

マーケターはどうあるべきかについてです。マーケティングとは、「knowing the user と knowing the magic の2つをつなげるものである」 という指摘でした。

以下は、インタビューから該当箇所の引用です。

2015/03/14

書評: 本当は憲法より大切な 「日米地位協定入門」 (前泊博盛)




現在の日本のことを 「日本は他国に支配された占領下にある」 と思う人は、まずいないでしょう。そして、多くの人はこう反論するでしょう。「日本は独立した主権国家である」 と。

今回のエントリーでご紹介する本は、この認識が本当にそうなのかに一石を投じるものです。本当は憲法より大切な 「日米地位協定入門」 という本です。



読み進めると、日本の国としての状況に向かい合わざるを得ないことに気づきます。以下は本書からの引用です。

日本は本当に独立した主権国家なのか。

もしかすると、日本はまだアメリカの占領下にあると言えるのではないか。

この本には、日米地位協定とは何か、その歴史的な経緯、何が問題で、それによりどういった不都合が日本に起こっているかが書かれています。後に述べるように日本の根本に関わることです。

2015/03/10

三越伊勢丹の 「優秀な販売員 vs 一般的な販売員」 の比較分析調査がおもしろい




三越伊勢丹ホールディングスと富士通が、協働で行なった取り組みが興味深かったのでご紹介します。2011年のもので、店頭販売やサービス力をどう強化するかの事例です。

接客力を科学的に分析することで、お客様へのサービスの質を向上 (株式会社三越伊勢丹ホールディングス様)|富士通


取り組みの背景


取り組み背景の問題意識です。該当箇所を引用します。

百貨店も商品力だけでは生き残れない時代。将来にわたって安定的な収益をあげていける構造に転換する必要があり、そのためには従業員一人ひとりが夢とほこりをもって働ける企業風土を醸成していかなければならない。接客販売力を強化することで、販売力を競争力に変えていく必要がある。

三越伊勢丹ホールディングスの課題は、どうやって接客販売力を強化するのでした。

2015/03/07

書評: 振り込め犯罪結社 - 200億円詐欺市場に生きる人々 (鈴木大介)




2000年代の前半頃より社会問題として続くのが、振り込め詐欺です。


被害規模が増え続ける振り込め詐欺


当初はオレオレ詐欺と呼ばれ、その後 2004年に振り込め詐欺と名称が変わりました。

認知の徹底、警察や金融機関での対策がなされるものの、被害は減るどころかむしろ依然として増え続けている状況です。

2015/03/01

Facebook のクロスメディア広告効果調査に、あえてツッコんでみる




Facebook Japan が、自社広告を含むクロスメディア広告効果調査を発表しました (2015年2月22日) 。

参考:花王エッセンシャルで Facebook 広告が驚きの効果! | Facebook for Business


花王のシャンプーブランド 「エッセンシャル」 が、2014年8月に行なったキャンペーンの広告効果調査とのことです。広告はフェイスブックを含む、TV / 店頭 POP / Web / 雑誌 / OOH に展開した大規模なキャンペーンだったようです。

上記の発表タイトルで 「Facebook 広告が驚きの効果」 とあるように、いくつか紹介されている結果自体は興味深いものでした。

一方で、Facebook からの発表のスタンスそのものに疑問点がありました。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。