2015/04/29

価値のあるデータ分析とは意思決定につながること




仕事でのデータ分析で意識したいと思っているのは、今やっているデータ分析が 「意思決定につながるかどうか」 です。


そのデータ分析は意思決定につながるか


やみくもにデータ集計や分析プロセスに入るのではありません。自分はこれからどういう課題に対して、何の目的で分析を始めるのかをまず明らかにすることです。得られるであろう結果や解釈が、意思決定にどう役立つかをまず最初に考えることです。

データ分析をするにあたって大切にしたいと思っているスタンスです。


アウトカムを考えよ


統計学が最強の学問である [実践編] - データ分析のための思想と方法 という本には、次のような記述がされています。

2015/04/25

書評: 統計学が最強の学問である [実践編] - データ分析のための思想と方法 (西内啓)




統計学が最強の学問である [実践編] - データ分析のための思想と方法 という本をご紹介します。



統計学を使う目的


タイトルに実践編とあるように、前作 統計学が最強の学問である に比べると、統計学をどう使うか、特にビジネスにどう活用するかに軸足が移った内容になっています。本書にはタイトルに実践編とあります。

著者は、統計学は使う目的は大きく3つに分けられると言います。

  • 現状の把握のため
  • 将来予測のため
  • 人間を洞察するため因果関係を知ること

2015/04/22

Facebook が動画広告効果調査を発表 (2015年3月) 。興味深い結果と発表スタンスへの疑問




フェイスブックと調査会社ニールセンが共同で、フェイスブック動画広告の効果測定調査を実施しました。結果は以下で発表されています (2015年3月) 。

The Value of Video for Brands | Facebook for Business


調査手法


調査の方法は以下の通りです。

  • 調査対象の動画広告は 173 本
  • 対象の広告を見せる接触者グループ (Exposed group) と、対照群の非接触者グループ (Control group) を比較
  • 広告に効果があったかどうかの評価指標は3つ
    • 広告想起 (Ad recall) 
    • ブランド認知 (Brand awareness) 
    • 購入意向 (Purchase intent)
  • さらに、動画広告の視聴時間長さによって、広告効果の違いを分析
  • 2014年12月 - 2015年2月に実施 (参考: この調査についてのインタビュー記事)

2015/04/18

Google のエイプリルフールに見る郵便受けの不便さ




2015年4月1日 (エイプリルフールです) 、グーグルは Smartbox by Inbox という、全く新しいメールサービスを発表しました。

Smartbox by Inbox: the mailbox of tomorrow, today | Official Google Blog


Google の Smartbox by Inbox とは


Smartbox by Inbox は電子メールではなく、通常の郵便受けです。イメージは、以下のグーグルが作成した紹介映像をご覧ください。




Smartbox by Inbox には様々な機能があります。

2015/04/15

セオドア・レビット 「真のマーケティングに必要なのは知識よりも思考である」




元ハーバード・ビジネススクール名誉教授である故セオドア・レビット (Theodore Levitt: 1925-2006) 。1960年代に近視眼的マーケティングを提唱したことでも有名です。

セオドア・レビットへのインタビュー記事が、Harvard Business Review (2008年11月号) に掲載されていました (記事は再掲としてです) 。2008年11月号は 「マーケティング論の原点」 がテーマです。



真のマーケティングには 「知識」 ではなく 「思考」 が必要である


記事では、聞き手からの 「いかに真のマーケティングを実践するか」 という問いに、セオドア・レビットは次のように語っていました。

「思考」 と 「イノベーション」 がキーワードではないでしょうか。

残念ながら、思考という行為は、多くのマネージャーに歓迎されたり、いちばんに優先されたりすることはありません。

マネジャーやリーダーを選ぶ際、いちばんに重視されるのは経験であり、それも 「成功の経験」 です。その証左が、あらゆる公式の場で珍重されるのが 「経験で語る人物」 であり、「理屈はそのとおりですが、しかし ―― 」 という、一種傲慢であり、侮辱的な響きが感じられる発言です。蛇足になりますが、理論も思考と同様、あまり尊重されませんね。

ここで申し上げている思考という概念には、過去の経験や事実だけに頼らないという意味も含んでいます。

トップ・マネジメントのみならず、ライン・マネジャーですら、過去に拠りどころを求めるマネジメントに傾きがちです。はたして、これでよいのでしょうか。

2015/04/11

4つの Moment of Truth (真実の瞬間) は、古くて新しいマーケティング理論




今回のエントリーでは、マーケティングでの消費者行動の概念である Moment of Truth (真実の瞬間) をご紹介します。


P&G が提唱した店頭マーケティング概念 FMOT


商品やサービスを提供する企業側と、それらを買う消費者との間には、商品とサービスについての情報量に非対称性が存在します。情報や知識は、企業のほうが消費者よりも多いのです。

企業が商品やサービスを売る際に提示する情報やイメージに対して、消費者は本当にそれが自分の満足につながるかどうか、自分が期待する利用価値を持っているかどうかを、商品購入前にできるだけ知ろうとします。

例えば、店頭で商品を手に取り、表のパッケージ情報だけではなく、裏面の商品紹介を見て価値があるかどうかを判断する、提示価格と天秤にかける、などの消費者行動です。

マーケティングにおいて、この考え方を積極的に取り入れたのが、P&G でした。

2015/04/08

イチロー 「特別なことをするために、特別なことはしない。普段通りの当たり前のことをする」




2015年、イチロー選手はメジャー15年目のシーズンを迎えます。


並みの選手が1年365日続けられないことを、イチローは1日も欠かさない


PRESIDENT Online にイチローの記事が掲載されていました。 「鉄人」 イチロー・世界記録への挑戦|PRESIDENT Online から引用します。

41歳ながら、怪我もなく、動きに衰えは見えない。まさに鉄人、まさに 「無事是名馬也」 である。

「からだの準備がすごいですよね」 。先日、懇親会の際、ラグビー界の“レジェンド”、43歳の元日本代表、まだ現役の伊藤剛臣 (釜石シーウェイブス) はそう漏らした。「ぼくがストレッチを必死でやりはじめたのは40を越えてから。でも彼は、それをずっとやっているわけですから」

2015/04/04

Googleの特許から考える「自分自身をロボットにダウンロードするとどうなる?」

Google が取得した特許が話題になっています。出願は2012年4月で、2015年3月31日に登録されたとのことです。

有名人や故人の人格をロボットにダウンロードする時代が来る?Googleが特許取得|ITmedia ニュース
人格データをクラウドからダウンロードしてロボットに吹き込む──米Googleがこんなシステムの米国特許を取得したことが分かった。有名人や故人の人格をロボットに演じさせるといった使い方も想定しているようだ。
特許は2012年4月に出願され、今年3月31日に登録された。人のさまざまな特徴に基づく人格データを蓄積するデータベースやデータを配信するクラウドベースのシステムで、ネットを介してロボットやモバイルデバイスが人格データを受信し、人格を再現する。

■人格をどうやってデータ化するのか

このニュースで最初に思ったことは、人格はどうやってデータ化されるのかでした。予想するに、例えば、明るさ / 協調性 / 責任感、といった性格診断に使われるような各種項目を点数化した情報なのかもしれません。

性格に加え、思考力や記憶力などの能力についてもデータ化され、人格を構成する1つの要素となり得ます。

自分自身のこともわかっているようで、実はわかっていないものだと思うので、人格をどうやってデータ化するのか。それが実際にどの程度その人を反映しているのかは興味深いテーマです。

■自分自身の性格や能力をロボットにダウンロードするとどうなるか

上記のニュース記事では、この特許の利用想定として、有名人や故人の人格をロボットにダウンロードすることが言及されています。

これをもし、自分自身の人格をロボットに入れればどうなるのでしょうか?



仮に、自分の性格や思考能力がほぼ完璧にデータ化でき、さらには運動能力もデータ化できダウンロードする。ロボットの見た目や声色も人間を自在に再現できるとします。これらが実現できれば、そこにはもう1人の自分が存在することを意味します。

中身が自分の人格そのものだとしても、それはあくまで自分ではない他人なのか(この世に自分とは1人しか存在しない)、物理的にはロボットなのでそもそも人間ではなくロボットである、といった哲学的な議論も呼びそうですが。

話を戻して、自分の人格をロボットに入れれば、分身として自分をつくることができます。使い方の想定としては、離れた家族のもとに分身ロボットを置いておくようなイメージでしょうか。

さらに仮定として、自分の性格や思考能力が再現されたロボットに、高度な機械学習の機能を追加できるとします。ここで言う「高度」とは、一般的な人間の学習能力程度、あるいはそれ以上をイメージしています。

この場合、自分の人格を入れたロボットに、日常生活を送らせたり仕事をさせるなどの経験を積ませればどうなるのでしょうか?

機械学習の能力があるので、自分を再現させた時点よりも経験を積むことで、賢くなっていくはずです。機械学習の能力が人間以上(自分よりも学習能力が高い)であるとすれば、自分よりもロボットのほうが優れていく。つまり、自分と自分を再現したロボットとの能力格差は開いていくことになります。

経験を積むことで、当初ロボットにダウンロードした人格にも影響し変わっていくと考えられます。そうなると、中身はもはや自分と同じではない存在になっていきそうです。

ロボットに自分をダウンロードした時点では自分のコピーにしかすぎなかった存在が、お互いが同じではない経験を積むことで別々の道を歩み、違った存在になっていくのでしょう。

ロボットは人間と違い半永久的に存在できるので、究極的には、寿命のある人間のほうが死んだ後は、自分を再現したロボットを「自分として」この世に存在させ続けることも、(技術的には)可能になっていくのかもしれません。


2015/04/01

Yahoo! JAPANのアンケートと検索ログデータを比較した調査

Yahoo! Japan が検索データを使ったおもしろい研究をしています。検索データとアンケート回答で、商品購入検討開始のタイミングに違いがあるかの調査です(2014年10月実施)。

Yahoo! JAPANの検索ログデータで見る「購買プロセスにおける購入検討開始のタイミング」|Yahoo! JAPAN マーケティングソリューション

検索データという「行動データ」と、アンケートからの「意識データ」の両方を使って調査し、検証している興味深い取り組みです。




■どんな調査をしたのか

検索データにおいて、商品購入検討開始の定義を Yahoo! では以下のように定義したようです。
「購入の検討を始める」という行為を「商品に関する情報収集を始める」と再定義し、「商品の関連キーワードの検索を始めた時期」と明確に位置づけました。
こうすることにより、実際に「検索」という行動に表れる商品購入の検討開始時期を知ることができると考えたからです。

より厳密な表現をすれば、ここでいう検索データの位置づけは「商品の関連キーワードの検索を始めた時期」です。

「商品関連キーワード検索の開始時期(赤色グラフ)」とアンケートからの「購入検討の開始時期(黒色グラフ)」の違いを、自動車で見た結果は以下の通りです。x 軸は何ヶ月前に開始されたか、y 軸は回答者数です。


引用:Yahoo! JAPANの検索ログデータで見る「購買プロセスにおける購入検討開始のタイミング」|Yahoo! JAPAN マーケティングソリューション
  • アンケートデータでは、約7割の人が購入前の直前 ~ 4カ月以内に購入を検討開始すると回答
  • 検索ログデータでは、購入前の4カ月よりも前の時期から検索を開始している人が多くいる
Yahoo! のこの調査のポイントは、同じ調査対象者について、アンケートと検索の両方をデータとして入手し、検証していることです。同じ人のアンケート回答と検索データを見られるのは、検索ローデータを持っている Yahoo! だからこそできる調査なのです。

■意識データと行動データの「購入検討開始タイミング」定義は同じか?

この調査結果を見た時にまず思ったのは、アンケート回答による購入検討開始タイミングと検索データから定義した購入検討開始タイミングを、同列に比較してよいかどうかでした。

すなわち、2つは同じ定義として扱ってよいかという問題です。

検索データからの定義について、ヤフーでは「購入の検討を始める = 商品に関する情報収集を始める」と再定義したと説明しています。

個人的には、関連商品の検索時点で、まだ購入するかどうかを考えていないケースもあり得ると思います。

ある商品やサービスについて検索をする場合、例えば「XX とは」と検索すれば、これは検索対象のことを知りたいという行動で、本人としてはまだ買うかどうかまで至っていないことも考えられます。

「商品関連キーワードを初めて検索したタイミング = 購入検討を開始」とは全てで当てはまらないと思います。検索データの定義については、表現はあくまで「商品関連キーワード検索の開始時期」とすべきではないでしょうか。

もちろん、定義なのでどちらが間違いという問題ではなく、ある意味で決めの問題です。

一方で、アンケート回答からの「購入検討開始のタイミング」をどう定義したかは、ヤフーのリリースでは詳しくは書かれていませんでした。

アンケート上でどういう質問のしかた(表現)をしたのかがわからないので、意識データのほうは厳密な定義自体がここでは不明です。

なので、今回の検証結果を見る際に、そもそもとして行動データと意識データの定義は本当に同じであるかが知りたいところです。

■意識データと行動データをどう活用するか

意識と行動の乖離を、データから検証するという取り組みは興味深いものです。

意識についての調査は、アンケートから知る方法が一般的です。ただし、今回のヤフーが実施したような最大で12ヶ月前までを対象期間にするようなアンケートでは、回答者の記憶もあいまいになっていたり、記憶違い(誤認)の可能性もあるでしょう。

アンケート自体を否定するわけではありませんが、アンケート結果を見る際にはそうした前提情報を持った上で集計/分析する必要があります。

検索ログデータなどの行動データについては、集計結果からどう解釈し、何を読み取るか。集計結果というファクトから、どんなインサイトを得られるか。ここが分析者にとって腕の見せどころになります。

アンケート結果は正しいという前提に立った場合、今回の調査が教えてくれたのは、意識上の購入検討開始のタイミングよりも、初めて関連ワードを検索するのはもっと前であったという事実です。

つまり、重要なのは、「アンケートと検索データで購入検討開始が一致しない」というよりも、「関連検索を初めてするのは、本人が購入を検討し始めたと意識しているよりも前のタイミングですでに起こっている」ということです。

例えば、このずれ(検索行動は意識よりも事前に発生)を活かしたマーケティングが望ましいでしょう。こうした生活者の真実を知るために、アンケートという意識データと、検索データなどの行動データをどううまく活用するか。

そして、より生活者を知った上で、どういうアクションを取るかがポイントです。


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多田 翼 (書いた人)