投稿日 2016/02/10

2016年1月にブログで注目を集めた本 (月間クリック数ランキング)




このブログでは、書評やエントリーの参考情報として引用することで、本や商品を取り上げています。

2016年1月の1ヶ月で、クリックが多かった本をご紹介します (5冊)。順番はクリック数の多かったものです。


この世で一番おもしろい統計学 - 誰も 「データ」 でダマされなくなるかもしれない16講+α (アラン・ダブニー / 山形浩生 (訳))




クリック数は2位以下より、倍以上多かった本でした。

この本の特徴は2つあります。マンガで書かれていることと、取り扱う統計の範囲を明確に絞っていることです。

後者については、訳者が 「他の統計の本では80ページですむところを、200ページもかける」 と言っています。それだけじっくりと説明されています。

本書全体を通して主に扱うのは、無作為抽出、標本数、平均、標準偏差、正規分布、信頼区間、仮説検定、p 値。これだけです。それぞれの難しい数式は巻末で説明しています。

平均や標準偏差から一気に正規分布まで説明します。その後に、信頼区間、仮説検定と p 値を重点的に扱います。

統計の基本となる考え方がまんがで書かれているので、イメージとして頭に残るので、わかりやすいです。タイトルにある 「データに騙されない」 ための統計リテラシーを学べる本です。以前のエントリーはこちらです。

書評: この世で一番おもしろい統計学 - 誰も 「データ」 でダマされなくなるかもしれない16講+α (アラン・ダブニー / 山形浩生 (訳))


凡人を達人に変える77の心得 (野村克也)




野村克也氏の本です。この本は考えさせられることが多く、時折読み返しています。

本書では、野村氏がヤクルト / 阪神 / 楽天の三球団で監督を務めていた時に、ミーティングで選手によく話していたことがまとめられています。

書かれている内容は野球のことが中心です。本書が考えさせられるのは、野球でこのように言える、同じことは営業などの一般的な仕事に当てはめるとこうではないか、という野球選手 → ビジネスパーソンと横展開されていることです。

具体例 (野球) → 一般化 → 具体例 (ビジネス) となっているのです。

読みながら、自分の状況と照らし合わせながら考えることができます。そのプロセスを踏めることが本書の価値です。

この本を取り上げたエントリーはいくつかあります。



ビジネス統計入門 [決定版] - Excel で経営情報を分析する (関正行)




データ分析と統計に関する本です。

本書の特徴は、全て2人の会話形式で統計が説明されていることです。会話形式によって、統計のことが難しく書かれていないので読みやすい本です。

読み手にとって参考になるのは、公開されている実際の国のデータや企業データを使った、統計分析の集計プロセスだけで終わらないことです。得られた集計結果を2人で議論し解釈するところまで踏み込んでいます。

もちろん、本書で示される解釈や結論が絶対に正しいとは言えないでしょう。それでも、集計し分析した結果を解釈する、そこからどんな示唆を得るかを疑似体験できるのは、他の統計本と比べた本書の強みです。

本書が扱う範囲は、平均や分散/標準偏差などの基本から始まり、区間推定、仮説検定、相関分析、回帰分析と続きます。類似の統計本ではあまり取り上げられない、時系列分析や多変量解析で終わります。最後の章で説明がある多変量解析では、主成分分析、因子分析、判別分析を扱います。

書評エントリーはこちらです。

書評: Excel で経営情報を分析する - ビジネス統計入門 [決定版] (関正行)


なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)




様々な企業のビジネスモデルが紹介されています。

他の類似本と違うのは、単にビジネスモデルを紹介しているだけではないことです。ビジネスモデルの事例紹介 → 仕組みの一般化 → 他業界にある同様のモデル紹介となっています。具体化 → 抽象化 → 具体化、で説明されているのがよかったです。

同じビジネスモデルでも違う業界に適用されていることで、そのモデルの本質的な仕組みを理解しやすいです。書かれている内容がきっかけや刺激になり、そのビジネスモデルを自分の業界や、自分の仕事に活かせないかと考えてみることもできます。

この本の関連エントリーは以下です。本書で取り上げられていたビジネスモデルのうち、最も印象的だったコマツ建機の KOMTRAX (コムトラックス) について取り上げています。

KOMTRAX:コマツ建機の美しいビジネスモデル


ソーシャルゲームはなぜハマるのか - ゲーミフィケーションが変える顧客満足 (深田浩嗣)




2011年や2012年ごろ、ソーシャルゲームが注目されていました。そのときの個人的な関心として、ゲーミフィケーションがありました。

この本は、ソーシャルゲーム、ゲーミフィケーションについて体系的にまとめられています。基本的な内容を理解するために、その頃に読んだ本です。

2016年の現在でも、特にゲーミフィケーションの考え方は、ゲーム以外にも広く応用できるものです。

ゲーミフィケーションとは、時間を忘れてゲームに 「ハマる」 というメカニズムを、様々なものに応用しようという考え方です。ゲームを続けるためのモチベーションをどうつくるか、1回きりではなく動機が続くサイクルを回し続けられるかです。

ゲームだけではなく、自分のやる気であったり、チームや部下のマネジメント、消費者や顧客とのよりよい関係をつくるためにも応用できる考え方だと思います。

関連エントリーはこちらです。

なぜゲームにハマるのかを考えるのがゲーミフィケーション理解のコツだったりする

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。