2016/02/20

2016年1月に読んでおもしろかった本




先月の2016年1月に読んだ本で、おもしろかったものをご紹介します。4冊を取り上げます。

この世で一番おもしろい統計学 - 誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α (アラン・ダブニー / 山形浩生 (訳))



この本の特徴は2つあります。マンガで書かれていることと、取り扱う統計の範囲を明確に絞っていることです。

後者については、訳者が「他の統計の本では80ページですむところを、200ページもかける」とあとがきで書いています。それだけじっくりと説明されているのです。

本書全体を通して扱うのは、無作為抽出、標本数、平均、標準偏差、正規分布、信頼区間、仮説検定、p 値。これだけです。それぞれの難しい数式は巻末で説明しています。

平均や標準偏差から一気に正規分布まで説明します。その後に、信頼区間、仮説検定と p 値を重点的に扱います。

統計の基本となる考え方がまんがで書かれているので、イメージとして頭に残るので、わかりやすいです。タイトルにある「データに騙されない」ための統計リテラシーを学べる本です。

以前のエントリーはこちらです。

書評: この世で一番おもしろい統計学 - 誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α (アラン・ダブニー / 山形浩生 (訳))


Excel で経営情報を分析する - ビジネス統計入門 [決定版] (関正行)



これも、データ分析と統計に関する本です。

本書の特徴は、全て2人の会話形式で統計が説明されていることです。会話形式によって、統計のことが難しく書かれていないので読みやすかったです。

読み手にとって参考になるのは、公開されている実際の国のデータや企業データを使った、統計分析の集計プロセスだけで終わらないことです。得られた集計結果を2人で議論し、どう解釈できるかまで踏み込んでいます。

もちろん、本書で示される解釈や結論が絶対に正しいとは言えないでしょう。それでも、集計し分析した結果を解釈する、そこからどんな示唆を得るかを疑似体験できるのは、他の統計本と比べた本書の強みです。

本書が扱う範囲は、平均や分散/標準偏差などの基本から始まり、区間推定、仮説検定、相関分析、回帰分析と続きます。

類似の統計本ではあまり取り上げられない、時系列分析や多変量解析で終わります。最後の章で説明がある多変量解析では、主成分分析、因子分析、判別分析を扱います。

書評エントリーはこちらです。

書評: Excel で経営情報を分析する - ビジネス統計入門 [決定版] (関正行)


「日本史集中講義 - 点と点が線になる」



本書がおもしろいのは、読み進めるうちに副題にある「点と点が線になること」が実感できることです。

時代の前後で点と点が繋がるだけではなく、時代を超えて過去の出来事が現在の日本社会にも影響を与えていることがわかります。つまり、歴史は流れているのです。

その時々の事件が時代を超えてダイナミックにつながっていることが、わかりやすく書かれています。

最も印象に残ったのは、聖徳太子の十七条の憲法でした。第一条と最後の第十七条で謳われた「和を重視すること」は、現代の日本人にも当てはまるものです。話し合いによる意思決定プロセスの重視です。

他にも、興味深い「点と点が線になる歴史」が示されます。

武士社会がなぜ興ったのか。その後、なぜ朝廷 (天皇) と幕府 (武士) の2つの権力が共存できたのか (一般的には国の権力は1つに集中し、どちらかが滅ぼされるのが世界史で見られることです)。

織田信長 - 豊臣秀吉 - 徳川家康 の政策はどうつながっているのか。これは武士の興りとも因果関係としてつながります。

また、家康の江戸幕府は、なぜ260年も続いたのか。そして、開国しなぜ幕府による日本の統治権を朝廷に返したのか (大政奉還)。これらも、先ほどの朝廷と幕府の共存関係 (棲み分け) とも関わってきます。

原因が結果になり、その結果が次の原因になっていく。まさに歴史とは因果関係の束なのです。

歴史を流れで読み解いたとき、こんなにもおもしろいものだとあらためて気づくことができた本でした。

書評エントリーはこちらです。

書評「日本史集中講義 - 点と点が線になる」(井沢元彦)


学校では教えてくれない日本史の授業



著者である井沢元彦氏は、歴史を見る上で大切な視点は2つあると言います。

  • 歴史を大きな流れで捉える
  • 人々の行動原理として影響を与える「宗教」を切り口に歴史を理解/解釈する

後者について、例えば西洋の歴史は、キリスト教やユダヤ教と深く関わっています。国の成り立ちから人々の日々の行動への影響が積み重なり、歴史がつくられました。

キリスト教などの宗教の視点なくして、西洋史は理解できないのです。

日本史では、確かに神道や仏教は日本の歴史において重要な役割を果たしました。本書で興味深い指摘がされているのは、仏教など以上に日本人の行動原理に関与してきた「宗教」があるということです。

本書では宗教という概念を、一般的なそれよりも広く捉えています。

具体的には、客観的には確認することができないもの、信じていない / 感じていない人にとっては存在しないが、信じる人にとっては確かにあるものです。

日本史において人々の思想や行動い深く関与した「宗教」は、本書では3つ紹介されています。

  • 穢れ (けがれ) を忌み嫌う (穢れ忌避信仰)
  • 怨霊信仰
  • 言霊信仰

古代や中世の日本から人々への影響を与えたこれら3つは、今の日本人にも当てはまります。当時とは比べ、科学技術が発達した現代でも見られるのです。

個人的には3つ目の言霊信仰の影響が、現在の日本人においても、最も強く影響が残っていると感じました。

本書には、著者である井沢元彦の歴史解釈、すなわち井沢史観が書かれています。必ずしも全てが真実とは限らないでしょう。

それでも、従来の自分の歴史観を解きほぐし、新しい視座を与えてくれるところに本書の価値があります。

書評エントリーはこちらです。

書評: 学校では教えてくれない日本史の授業 (井沢元彦)



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