2016/02/06

書評: ビジネスで本当に使える超統計学 (村上知也 / 矢本成恒)




ビジネスで本当に使える超統計学 という本をご紹介します。



本書の内容


以下は本書の内容紹介からの引用です。

あなたは傾きかけたラーメン屋を、統計学で救えますか?

本書は、統計学が苦手なビジネスマン向けに、平均値や標準偏差、区間推定、回帰分析、主成分分析、カイ二乗検定など統計学の基礎を、傾きかけたラーメン屋の経営を建て直すストーリーのなかでわかりやすく解説しています。

登場人物は2人です。ラーメン店 「夢楽」 の店主で父親の文吉、その娘で大学で統計学を学ぶ女子大生の統子です。

お店の活気は昔ほどなくなり、統子から見てもお店の雰囲気が良くありません。ラーメン屋店主の文吉は、これまでのお店の経営を自身の経験や勘で行ってきました。

このような状況のラーメン屋を、父と娘の親子が統計を使って、二人三脚でお店の経営状況を改善していくというストーリー設定です。


取り扱っている主な統計


この本の表紙に、吹き出しで 「検定、回帰分析、主成分分析の使いどころがわかる」 とあります。本書で取り扱っている主な統計は次の通りです。

  • 平均値 / 標準偏差 / 信頼区間: 仕入れている麺の一袋あたりの重さを確認。異なる2社の重さの平均値は変わらなかったが、1社はバラツキがあることがわかった (標準偏差と信頼区間が大きい) 。麺の重さを均一にしてもらうよう改善へ
  • 正規分布: 来店客数の分布を確認。日によってどの程度のバラツキがあるかを知る。結果から来店者数の見積りに活かし、ラーメンの材料の在庫ロスを改善へ
  • 仮説検定: アンケート結果に有意な差があるかどうかを検定。以前よりも自分たちの店の評価が下がり (誤差ではなかった)、競合店と比べて美味しさの結果に差がないことがわかった (t 検定)。また、異なるクーポンを配布し、リピート率の違いを仮説検定 (カイ二乗検定)。より効果のあるクーポン施策を発見し、今後のキャンペーン施策に活かす
  • 単回帰 / 重回帰分析: 売上に寄与する要因を知るため回帰分析を実施。重回帰分析から得られた予測式を、競合店ができた前と後で比較し、競合店出現が自分たちの売上にどのくらい影響したかを確認
  • 主成分分析: 近隣の他店 (競合) と自社の違いを知るため、主成分分析を実施。結果をポジショニングマップに落とし込むことで、自分たちの特徴や強みを確認。店舗戦略へ活かす


統計だけではなくマーケティングや経営も


本書でわかりやすく説明されているのは、ラーメン屋の問題に対して、統計を具体的にどう使うかでした。そして、統計からわかった発見を、お店の経営改善にどのように活かすかまで踏み込んでいます。

統計学の知識だけではなく、マーケティングや経営の考え方もセットで学ぶことができます。

もう1つの特徴は、この本の構成にあります。大きくは二部構成になっています。

前半ではストーリー展開に沿って統計と経営の説明が続きます。後半の第二部では 「操作編」 で、前半で取り扱った各種統計の Excel での集計方法が詳しく紹介されています。

具体的な Excel の使い方が後半にまとめて掲載されていることで、前半の統計の考え方がスムーズに読めました。

通常、この類の本は統計の知識と Excel 等の分析方法が同時に説明されます。本書を読んで、この二部構成の良さに気づきました。

というのは、具体的な集計方法が後にまわっていることで、必要なところだけ参照し、そうでない場合は次の統計の説明に進むことができます。全体として、効率の良い構成だと感じました。


ビジネスでは統計はあくまで 「手段」


ビジネスで、解決すべき問題を設定し、どうやって解決するかです。どんなビジネスにも共通することです。データを使って解決の手助けをしてくるのが統計です。

だからこそビジネスにおいては、単に統計の知識だけではなく、どういう問題を解くためにどう統計を使うのかが大事です。こう使えると単に知っているだけではなく、実際に手段として使った経験が貴重な財産になります。

この視点で統計を見たとき、本書が参考になるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。



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多田 翼 (書いた人)