投稿日 2016/04/04

新卒で入社した方に伝えたい自分の頭で考えるために大切なこと




2016年の4月になりました。


新卒の新入社員に伝えたいこと


今回のエントリーでは、もし自分のチームに新卒の新入社員が入ってきたとして、これからの仕事人生を歩んでいくにあたり、自分ならどんなことを伝えていきたいかを考えてみます。

まずはビジネスパーソンになってもらうこと、その次は会社内だけではなくて外の世界でも市場価値のあるプロフェッショナルになってほしいと思います。

そうなるためには 「自分の頭で考える」 ことが大事です。自分の頭で考えるために、日頃から意識しておくとよいのは以下の3つです。

  • 問いと仮説を考える
  • 全体像から考える
  • 主体的に考え、行動する


1. 問いと仮説を考える


自分の頭で考えるための第一歩は、疑問を持つことです。


 「問い」 を持つ


疑問を持つだけで終わらずに、疑問を 「問い」 にすることが大切です。疑問を質問の形にし、いかに具体的かつ本質的な質問を自分の中でつくれるかがポイントです。

問いを考えるためには物ごとに対して、why? と So what? の2つを繰り返します。よく why を5回繰り返すことが言われますが、「なぜ?」 と問うことから深掘りをします。

So what? は 「要するにどういうことか?」 「一言で表現するとどうなるか?」 を考えるための問いです。Why が深掘りの問いに対して、So what は考えを1つ上のレベルに上げることができます。


仮説を持つ


問いを考えることと同時にやってほしいのが、問いに対する自分の答え (仮説) を併せて持っておくことです。

「問い」 と 「仮説」 をセットにして考えるクセをつけ、Why? → 仮説 → Why? → と問いと仮説をまわします。

仮説については、あくまで仮の答えなので、それが正しいかどうかはまだわかりません。

仮説を考えると同時に、それを検証するためには何がわかればよいかも意識しておくとよいです。仮説検証のためには、どんな情報が足りないのか、その情報はどうやったら手に入るかや、そもそも手に入る情報なのかを考えます。


2. 全体像から考える


全体像を考える時に、よく引き合いに出す話があります。


象の足だけで判断しない


「群盲像を評す」 という寓話です。6人の盲人が象に触れた時の各自の答えが全く違ったという話です。

  • 象の鼻を触った者は 「蛇」 
  • 耳を触った者は 「扇」 
  • 牙を触った者は 「槍」 
  • 足を触った者は 「木」 
  • 体を触った者は 「壁」 
  • 尻尾を触った者は 「ロープ」 

同じ像を各自が全く違った説明をしました。



各部分の特徴説明自体は、必ずしも間違ってはいません (例: 鼻を蛇と例える) 。しかし、像という全体の説明にはなっていません。


本質を掴むためには全体像を把握せよ


この寓話の教えは、物事を正確に、そして本質をつかむためには、全体像を把握することが大事である、だから決して全体像を見ることなく一部分だけで終わってはいけないことです。

普段の仕事では、どうしても自分が見えている、捉えやすい部分だけを見てしまいがちです。結果、部分最適しかできておらず、部分最適はされるものの、全体最適にはなっていない状況になります。

全体像を捉えるためには、複数の視点でものごとを考えることが有効です。自分だけの見方や切り口だと自ずと限界があり、複眼で考えるために有効なのが常に相手視点を意識することです。


相手視点で考える


具体的には、上司や別の部署やチームの人、あるいは社外のクライアント視点、ユーザーや消費者、生活者視点で見ることでもあります。

人は立場が違えば、ものの見方や考え方も異なります。会社にいる時の自社の視点と、1人の消費者としての自分の視点は必ずしも同じはありません。どちらか一方ではなく、両方の視点で考えることが重要です。

相手視点とは自分ではないあらゆる人からの視点です。他人のことをいかに想像できるかです。


3. 主体的に考え、行動する


前職の会社で、ある後輩が自分の好きな言葉を教えてくれたことがあります。今も印象的に残っています。


帆の向きは変えられる


You can't control the wind but you can adjust your sails.
(風向きは変えることはできなくても、帆の向きは変えられる)

意味は、自分がコントロールできないことと (風向き) 、できること (帆の向き) を区別すること、そして自分のコントロールできることに集中することが大切という教えです。

この考え方は、故スティーブン・コビーの著書 「7つの習慣」 の中の第一の習慣である主体性を発揮することと同じです。

この本には、刺激に対して自分の反応は選択できる、と書かれています。何かが自分に起こった時に、それに対する自分の感情反応は1つではない、つまり選べるという考え方です。

例えば、発車間際の電車に乗ろうとして目の前でドアが閉まり、目の前の電車に乗り損ねたとします。この出来事に対してどう思うかです。例えば、「今日はついてないな」 とマイナスの反応で考えてしまうことです。

一方、「次の電車はすぐ来るし、1本くらい次の電車でも全体の移動時間に大した影響はない。せっかくなのでホームでの待ち時間も有効に使おう」 と考えてみるとどうでしょうか。起こってしまったことに対して、ポジティブな反応になっています。


刺激と反応の間に選択の自由がある


電車の到着時刻は、風向きと同じように自分にはコントロールできないことです。それに対してどういう反応をするかは、あくまでこちら側の問題で、自分でコントロールできます。

刺激に対して自分の反応は選択できること、選ぶならプラスの反応をしてみましょう。仕事も同じで、新人の頃の仕事は地味だったり、雑用のような内容もありおもしろみに欠けるかもしれません。

仕事は選べなくても、自分の反応は選択できます。嫌々受け身でやるか、能動的に主体的に取り組めるかの違いは大きいです。

そう言えば、自分が入社してすぐの新人の頃、面倒だと思ってしまったり、困難な仕事を引き受けたとき、いつも 「ちょうどいい」 と頭の中で言うようにしていました。

無理矢理にポジティブなセリフを自分の頭で出るよう癖をつけることで、精神的に少し楽になった覚えがあります。そこから、前向きに取り組めました。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。