投稿日 2016/05/07

2016年4月にブログで注目を集めた本 (月間クリック数ランキング)




このブログでは、読んだ本の書評を書いたり、エントリーの参考情報として本の内容を引用しています。どの本も、ブログに訪問いただいた方に役に立つと思ってもらえる本を紹介しています。

このエントリーでは、2016年4月の1ヶ月で、クリックが多かった本をご紹介します (5冊)。順番はクリック数の多かったものです。


21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由 (佐宗邦威)



本書で紹介されているデザイン思考は、デザイナーのやり方をビジネスパーソンのためにアレンジしたものです。デザイナーが 0 から 1 を創るために無意識に実践している考え方や仕事の進め方は、ビジネスパーソンが新たな価値を生み出すために参考になるのです。

この本の特徴は、著者のイリノイ工科大学デザインスクールで実際に行われた授業がもとになり、具体的に説明されていることです。図や写真も随所に挿まれていてイメージしやすいです。筆者が携わった事例以外にも、IDEO などの世界的なデザインファームの事例が紹介されています。

章ごとの最後に、デザイナーの常識とビジネスパーソンの常識が比較されています。対照的な考え方やものごとの進め方が見られ、興味深かったです。私自身の考え方はビジネスパーソンのほうに多く当てはまり、自分の発想に刺激を与えてくれる本でした。

手元に置いておき、時間が経過したらまた読みたい本です。

書評エントリーはこちらです。

書評: 21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由 (佐宗邦威)


究極の身体 (高岡英夫)



運動や体の本で、今まで読んだ中で最もおすすめの一冊です。人の身体構造や運動のメカニズムについて独自理論が、興味深く読めます。

本書の究極の身体の定義は 「人体の中で眠っている四足動物、あるいは魚類の構造までをも見事に利用しきって生まれる身体」 です。

人間の進化は、魚類 → 爬虫類 → 哺乳類 → 人間と経てきており、人間の身体には、魚類、爬虫類や哺乳類などの四足動物の構造を受け継いでいると著者の高岡英夫氏は言います。

究極の身体は 「魚類運動=脊椎を使った動作」 「四足動物の運動=脊椎の体幹主導動作+4本足主導の動作」 の両方を使えます。

著者の問題意識は、究極の身体を持っているにもかかわらず、現在の人類の多くはその身体資源を使いきれていないことです。究極の身体を実現するために印象的だったことは、

  • 究極の身体に不可欠なことは重心の意識。そのために筋肉の脱力が必要
  • 身体の中にセンター (軸) を構築する。センターは、身体の重力線とほぼ一致するところを通る身体意識
  • 究極の身体の立ち方は、吊り人形のように頭部の糸で身体を吊り上げ、そこからゆっくり下ろして足を接地させたような立ち方 (緩重垂立)。体重を支えるギリギリのところまで力を抜いたプラプラの状態

身体動作や運動構造に興味のある方は、おもしろく読める本です。

書評エントリーはこちらです。

書籍 「究極の身体」 がおもしろい


なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)


様々な企業のビジネスモデルが紹介され、興味深く読めます。

他の類似本と違い、単にビジネスモデルを紹介しているだけで終わりません。ビジネスモデルの事例紹介 → 仕組みの一般化 → 他業界にある同様のモデル紹介となっています。具体化 → 抽象化と縦に考え、抽象化 → (他の) 具体化と横展開されているのです。

同じビジネスモデルでも違う業界に適用されているので、そのモデルの本質的な仕組みを理解できます。書かれている内容がきっかけや刺激になり、そのビジネスモデルを自分の業界や、自分の仕事に活かせないかと考えてみると発想が広がるでしょう。

この本の関連エントリーです。本書で取り上げられていたビジネスモデルのうち、最も印象的だったコマツ建機の KOMTRAX (コムトラックス) について取り上げています。

KOMTRAX:コマツ建機の美しいビジネスモデル


幼稚園では遅すぎる (井深大)



ソニー創業者の井深大が書いた幼児教育の本です。

この本は、0歳-3歳までと、3歳以降では脳の成長に違いがあると書いています。

0歳-3歳まではコンピュータでいうハードウェアがつくられ、3歳以降はソフトウェアがつくられるようです。3歳までは 「機械の本体」 、3歳以後は 「機械の使い方」 です。技術者の井深ならではの説明です。

本書には、0歳児の赤ちゃんでも周囲の環境や親が話す言葉、さらには夫婦げんかなどの雰囲気も敏感に感じ取っていると書かれていました。だからこそ、大切なのは 「仲の良い夫婦、明るくなごやかな家庭以上の幼児教育はない」 という指摘は印象に残っています。

この本では具体的な教育方法が示されています。子育ての参考になる一冊です。

書評エントリーはこちらです。

「幼稚園では遅すぎる」 : ソニー創業者の井深大が書いた幼児教育の本


日産で学んだ世界で活躍するためのデータ分析の教科書 (柏木吉基)



この本は、自動車メーカーにおける具体的な課題例という物語設定で書かれています。過去1年において、自分が担当している地域での自動車売上高が悪化しているという設定です。

データを使った課題解決ストーリーは、以下の流れです。

  • 目的 / 課題の明確化
  • おおまかな現状把握
  • 課題ポイントの特定
  • 要因の特定
  • 方針とアクションおよび KPI (と必要リソース) の設定

本書の特徴は、データを使っていかに 「ストーリーをつくるか」 に力点が置かれていることです。

XX 分析の具体的なやり方も紹介されていますが、それはあくまでストーリーのための手段です。分析手法そのものの説明は、最低限に抑えられています。

具体的な個別の分析方法よりも、データや分析から目的であるビジネス上のゴールに対してどう持っていくかが、丁寧に書かれています。

書評エントリーはこちらです。

書評: 日産で学んだ世界で活躍するためのデータ分析の教科書 (柏木吉基)

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。