2016/05/11

書評: 話しづらいけれど、話しておかないと後悔する相続と節税のこと (川合宏一 / 武石竜 / 関岡俊介)




まだ自分の親が元気なとき、親が亡くなり財産を自分が相続する具体的なイメージは持ちにくいものです。あるいは、自分が死んで配偶者や子どもが資産を相続することも、同じでしょう。

いつかは必ず起こることなのにもかかわらず、相続や、相続額にかかる相続税のことは、なかなか現実として捉えにくい話です。

私自身もそうでした。親は2016年現在はまだ2人とも現役で働いています。自分が死んでからの相続についても具体的なイメージは持っていませんでした。

その状況で読んだ本が、話しづらいけれど、話しておかないと後悔する相続と節税のこと でした。

著者は、3人の税理士です。相続について、基本的なことをほとんど知らなかったことに気付かされた本でした。

この本は、次の3つの視点で読みました。

  • 親の資産を自分が相続する場合は、どういう準備が必要なのか (相続人の立場から)
  • 相続税を節税する方法として、どんな方法があるのか
  • 自分が死んだときに、自分の資産はどう相続されるのか (被相続人の立場から)

1. 親の資産を自分が相続する場合 (相続人の立場から)

認識としてまず持っておきたいのは、相続は一部のお金持ちの人だけに発生するわけではないことです。本書を読めば、相続のことを自分ごと化できます。

相続とはそもそも何か、どういう状況で発生するのか、相続税は誰にどのくらい発生するのかを具体的にイメージできます。

本書の全般を通じてのテーマは、誰も不幸にならない相続をするためにどうすればよいかです。そのために準備の大切さが強調されています。親がまだ元気なうちに親子や兄弟間で話し合い、どれだけ意思疎通をしておくかです。

資産を相続する相続人同士で、お互いの納得のもとで誰が何を相続するかを決めておけば、いざという時に悩まなくて済みます。

とはいえ、家族であっても相続の話をするのは抵抗があります。むしろ家族だからこそ、誰かが死んだ後の、さらにお金に関係する話を具体的にするのは難しいでしょう。

本書では、相続の話をどういうときに切り出すといいかが書かれています。

  • 税制改正のニュースを話題にする
  • 自分の同僚や友人などの、相続が実際にあった人のことを話題にする
  • 親に老後の話を聞き、相続の話に持っていく (自宅をどうしたいか等)

また、遺言書の書き方や、税理士の選び方のアドバイスもあります。

2. 相続税の節税

相続税の節税対策でよく目にする方法は、マンションを購入するといった不動産投資です。普通の人には現実感のない話が多いです。

著者が指摘するのは、こうした対策は、本来しなくてもいいのにやってしまい結局損をしたり、過度な節税によって親子間の関係に悪影響を及ぼすケースがあることです。

本書で紹介されている相続税の対策は、お金持ちではない普通の人にこそ検討する価値のある方法です。自分の資産をあえて減らし、その分だけ課税される相続税も減ります。

  • 生前贈与
  • 生命保険への加入
  • お墓や仏壇を買ったり自宅のリフォームをする

3. 自分が死に資産が相続される場合 (被相続人の立場から)

自分はいつかは死にます。自分の資産を配偶者や子どもが相続することも想定しておくことが大事です。この本を読み、自分が死んだ後に自分の資産が誰に相続されるかのイメージが持てました。

2016年現在、子どもは2人います。父親である自分が死んだ場合、資産は、配偶者に半分、子ども2人に残りの半分が相続されます (1/4 ずつ) 。これが法律によって目安として定められた割合です (法定相続分と言います)。

★  ★  ★

本書を読み、相続税のことを学びました。あらためて税金のことも考えることができました。

自分が払っている税金は、大きく3つあります。

  • 働いて所得を得たときの所得課税
  • 商品やサービスを購入したときの消費課税
  • 株式等の金融商品や不動産への投資から収益が発生したときの資産課税

相続税について、そもそも、なぜ死亡した時点で財産を残していると課税されるのかという疑問が残ります。

例えば、1億円の財産を持っているとします。死ぬまでに散財し1億円を使い切れば、死亡後の相続税はありません。

しかし、自分の配偶者や子供に1億円の財産を残せば相続税が課せられます。

国民が持つであろう感情として、なるべく相続税を減らしたいと思うでしょう。その結果、素直に大切な家族に財産を渡すよりも、相続税をいかに減らすかの対策をします。

対策に使う手間や時間、知恵を他に使えればと思います。




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