2016/07/23

書評: 実戦 BtoB マーケティング (佐藤義典)




実戦 BtoB マーケティングという本をご紹介します。


本書の冒頭で、「売らんかな」のスタンスからの脱却が強調されています。

さて、なぜ商品やサービスが売れないのでしょうか?

それは……お客様があなたの会社・商品・サービスを「選ばない」からです!!

当たり前だ、と思われる前に、ここでお考えいただきたいのです。「お客様が、競合ではなくあなたの会社・商品・サービスを選ぶ理由は何だろうか?」と。もし、スッとその理由が言える場合は、相当業績も良いはずです。実は、この「お役様が選ぶ理由」を明確に定義することは相当ムズカシイことです。

(中略)

重要なことは、「売る」ことから「選ばれる」ことへ、という視点の転換です。そして「選ぶ」主体は自分ではなく「お客様」なのです。ですから、マーケティングの本質とは「お客様が選ぶ理由を作ること」です。

(中略)

マーケティングとは、押し売りではなく自然にお客様に興味を持っていただき、最終的に「選んでいただける」「頼られる」ようにすることです。

本書で強調されているのは、「選んでもらえる理由」こそが自分たちが持っている「強み」であるという考え方です。

選ばれるということは、その前に自分たち以外の選択肢があったはずです。他の選択肢よりも優れていたことが自社の強みです。強みをクリアにするには「誰と比べてなのか」「誰にとってのことか」をセットで、顧客視点から考える必要があります。

逆に言えば、比べる相手や誰の視点で見るかによって、自分たちの強みは変わるということです。強みとはあくまで相対的なものだからです。

この本を読んであらためて考えさせられたのは、「選んでもらえる理由 = 強み」をどう相手に伝えるかというメッセージについてでした。

顧客への提案を考えるための、3つのチェックポイントです。

  • モノや機能ではなく使い方を提案する
  • 品質 / コスト / 納期 の改善に貢献する
  • 利益への貢献ポイントを具体化する

1. 使い方を提案する

自社の商品やサービスを買ってくれるということは、顧客は何かしらの目的があってのことです。その目的は、商品/サービスを使ってはじめて達成されます。

自分たちを選んでもらうために使い方を提案するのです。

ありがちなのは、いきなり機能や性能がいかに優れているかを強調するセールスの仕方です。そうではなく、顧客が自社の商品やサービスを、顧客内の誰がどんな時にどう使えるかを、具体的に提案するやり方です。

2. 品質 / コスト / 納期 の改善に貢献する

顧客企業での使い方が具体化できれば、それがいかにお客さんに役に立つかを考えます。ビジネスの観点でどう貢献できるかです。

本書では3つの切り口が紹介されています。① 品質向上、② コスト削減、③ 納期短縮/安定供給です。

自分たちが提供する商品やサービスによって、顧客企業がお客さんに提供するものの品質が向上すれば、顧客企業が選んでくれる確率は高まります。あるいはコストが削減すれば、顧客企業の利益率に貢献できます。

3つ目の納期短縮とは、顧客企業内の納品スピードが上がることです。それにより、顧客企業がお客さんに提供する納期を短縮できます。

安定供給とは、顧客企業がその先のお客さんに、納期のばらつきが少ない状況にできることです。顧客企業はいつも安定した提供体制があるという信頼につながります。

顧客企業の納期短縮や安定供給の視点でも貢献できれば、選ばれる可能性も上がります。

3. 利益への貢献ポイントを具体化する

顧客企業が望むのは利益の向上です。もちろん、企業が求めるのは利益だけではありませんが、利益が得られないことには企業は存続していけません。

自社の商品/サービスが顧客に選ばれるためには、顧客企業の利益向上に貢献する必要があります。

具体的には、例えば PL (損益計算書) への貢献があります。利益 = 売上 - 費用 なので、自分たちの商品やサービスで品質向上に寄与できれば、売上増につなげられます。コスト削減で費用を下げられれば利益向上に貢献ができます。

本書で印象的だったのは、顧客への提案を考えるこれら3つのステップと、それを実際に顧客企業にプレゼンするときは、逆の順番が良いとされていることです (状況によっては順番通りもあり得ます) 。

  • 御社はこう儲かります
  • それは御社の 品質 / コスト / 納期 がこうできるからです
  • 弊社の商品やサービスでこういう使い方をすれば実現できます

顧客企業にとって何が良いかを、利益 → 利益向上する理由 → それを実現する商品/サービスの使い方、という順番で伝えます。

自社の商品説明や機能などの、自分たちの話をするのはそれからです。

よくあるのは、いきなり自社のことを一方的に話すことです。自分たちにとっては、自社商品やサービスのことはわかっているので、自分たちの良いところから説明するのは言いやすいでしょう。

ただし、顧客視点で考えると自分たちにとってどう良いことがあるかが見えなければ、「忙しいから後にして欲しい」と思われかねません。

メッセージの順番は、顧客が知りたい順番になっていることがわかります。

  • 自分たちはこれくらい儲かる
  • それは自社商品やサービスの 品質 / コスト / 納期 がこうできるから
  • そのためには、この商品やサービスでこういう使い方をすればよい

「顧客視点で提案営業をしよう」と言われても、どうすればいいかがわからないでしょう。この本には、具体的なステップや、その背後にある意図が具体的に書かれています。

その他にも、顧客の担当者を分析するフレームなど、役に立つ考え方が紹介されているのでおすすめの一冊です。





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