2016/09/12

受け手の既存情報との差別化で、レポートやプレゼン資料をより価値のあるものにしよう


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外資系コンサルの知的生産術 - プロだけが知る「99の心得」という本に書かれていた「知的生産の戦略策定」という考え方が興味深かったです。

ここで言う知的生産物とは、レポート、企画提案書、プレゼン資料などを指しています。

この本は気付きが多い良書でした。本書をおすすめしたい方としては、レポートやプレゼン資料の作成に自分のやり方が確立していて、普段はこの類の本は読まない方です。

本書の最初のパートで書かれていたのが、知的生産のための戦略をどうするかでした。興味深い考え方だったのは「自分の知的生産物を、どうやって他の知的生産物と差別化するか」という視点です。

一般的には差別化と言えば「競合との差別化」になります。本書でユニークなのは、知的生産においては「受け手がすでに持っている知識との差別化」と考えることです。知的生産物を届ける相手がすでに持っている情報や知識に対して、自分がつくるものに新しい情報や有益な価値があるかどうかです。

知的生産の戦略策定のために、プレゼン資料やレポートをつくる前に明確にする必要があるのは、大きく3つあります。

  • 知的成果の受け手を誰に設定するか
  • 受け手は何をどこまで知っているか
  • 受け手の既存情報と何で差別化するか。どうやって新しい付加価値を生み出すか

この考え方はマーケティングそのものです。

マーケティングでは、ターゲットとなる顧客を具体的に設定します。顧客が感じる価値があり、競合 (= その価値を提供する他社/他人) に比べて顧客がより価値だと思ってもらえること (= 強み) を自分たちが提供できるかです。その強みは競合に真似されにくく持続的に提供できる仕組みができているか、提供にあたっては、その価値をどう表現するかのメッセージも大切です。

知的生産物の提供では、何に対して差別化をするかは受け手の持っている情報でした。

ターゲットがどのような知的成果を望んでいるか、何を知りたがっているかを明確化します。別の表現をすれば、知的成果に求められる品質ターゲットを設定することです。例えば、より広範囲な情報が求められているのか、あるテーマについて深掘りした情報が求められているのかです。

差別化のために大切な視点は、自分が提供するレポートなどの知的生産物が、どのように活用されるかの利用イメージです。どういった課題に対して、何を解決するための情報なのかです。すなわち、何の意思決定のために、どのようなアクションのために必要とされているかです。

受け手の利用イメージの明確化は、作り手である自分のモチベーション向上や維持にも役立ちます。何のためにやっているかわからないよりも、自分が提供するものがどう使われ、具体的にどのように役に立つかがイメージできるほうが、私はやりがいを感じます。

知的生産物の価値は、受け手によって変わると考えると、知的生産に対する期待値コントロールも重要になります。

受け手の既存情報に対して、受け手がどれだけの付加価値を期待しているかです。期待値と成果物とのギャップが大きすぎると、たとえ成果物が本来は妥当な価値を持っていたとしても、受け手の期待が高すぎたために、評価されないすことがあります。

この意味で、たとえ知的成果物の品質がそれほど良くなかったとしても、受け手の期待に品質が一致し、費用対効果に納得があれば、これは問題ではありません。受け手の期待値と提供できる見込み品質のギャップが大きくなりすぎないよう、作り手は適切な情報共有をし、うまくコントロールするとよいです。

適切な情報共有とは、納期、コスト、品質の3つです。早い段階で、いずれかが受け手の期待に達しないのであれば、妥協できる要素が何かを相談すべきです。品質は落とせるのか、提供期日を後ろにできないか、予算を追加できるか (あるいは人手を回せるか) です。

レポートなどの知的生産物を、受け手がすでに持っている情報や知識に対して、どう差別化するか。この視点は読み手である自分が持っていなかったものです。本書が受け手の既存情報と差別化されており、読む価値がありました。




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