2016/12/12

仮説を持つメリットと危険性。両方を意識することが大事


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以前のエントリーで、データ分析等の業務において初期の段階で仮説を持ち、仮説をベースにあらかじめプレゼン資料や報告書を書くことを取り上げました。

仮説だけで事前に報告書を書いてみよう


仮説をベースにレポートを書く


報告書をあえて 「事前に」 つくるやり方です。調査を企画する段階で調査結果を仮説として予測し、仮説ベースで報告書概要を書きます。

調査をする前に仮説だけで報告書やプレゼン資料を作っておくことには、3つのメリットがあります。

  • 仮説が明確になる
  • データ分析、得られる示唆や考察の質が上がる
  • プレゼンや報告書の質が上がる


仮説に縛られすぎる弊害


その一方で、仮説に縛られすぎることの弊害もあります。

書籍 外資系コンサルの知的生産術 - プロだけが知る 「99の心得」 に、仮説を持つことの危険性が書かれています。以下は引用です。

知的生産のプロセスにおいて、初期仮説を持つことの重要性は、特にコンサルタントを中心にさまざまな論者が指摘しています。

しかし一方で、仮説を持つことの危険性について言及している人がほとんどいないのは本当に不思議なことです。なぜかというと仮説というものは知的生産をスポイルする最大要因の一つだからです。仮説が 「思い込み」 と紙一重であるということはつまり、仮説が知的生産物のクオリティを著しく低下させる大きな要因にもなり得る、ということでもあります。

仮説思考の重要性を訴えるコンサルタントの中には、プロジェクトの初期段階で顧客にウケるような驚くべき仮説をぶちあげて、その仮説を証明するのに都合のよいデータだけを集めて腕力でプロジェクトをまとめあげてしまう人も少なくありません。しかし、そのようなプロセスを経て生み出された知的生産物はファンタジーでしかありません。

少し青臭い言い方をすれば、そういう態度は仮説というものの本性に関する裏切りといえるでしょう。そもそも仮説というのは、現時点では検証されていない仮の答え、ということです。したがって、検証の結果として反証されることがあるのは当然です。

しかし、仮説の証明に強く意識を向けてしまうと、仮説を反証する事実が目の前に提示されてもそれに気付かないことが多いのです。もっといえば、意識的に無視してしまう人も少なくありません。本来、仮説は反証されればされるほど強固でしなやかなものになるはずなのに、これはとてももったいないことです。

(中略)

コンサルティングの現場では、多くのプロジェクトにおいて初期仮説が最後まで反証されることなく立証され、そのまま成果物として納品されていますが、筆者にいわせれば、これは 「悪い仮説」 の典型であって、その実態は仮説というのもおこがましい、「単なる思い込み」 にすぎないケースが多いのです。

知的生産に従事する人間は、ゆめゆめ仮説と真説を混同して、最初に立てた粗い仮説の証明だけに没頭するような態度を取ってはいけません。


仮説の有用性と危険性


仮説とは文字通り 「仮の答え」 です。その時点ではまだ検証されていないものです。

問題意識に対して仮説があると、データや現場を見る視点が明確になる一方で、それが先入観となってしまい盲目的になってしまう可能性があります。

仮説の有用性と危険性の両方を意識することが大事です。

自分の頭の中で2つの役割があります。

  • 仮説に沿ったストーリーを描き、仮説の方向性を進化させていく
  • 本当にその仮説は正しいのか、どうすれば検証できるかと疑う

この2つをバランスよく持てるかです。



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多田 翼 (書いた人)