投稿日 2017/01/17

2016年12月にブログで注目を集めた本 (月間クリック数ランキング)


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このブログでは、訪問いただいた方に役に立つと思ってもらえる本を紹介しています。読んだ本の書評を書いたり、エントリーの参考情報として本の内容を引用しています。

今回のエントリーでは、2016年12月の1ヶ月で、クリックが多かった本をご紹介します (5冊) 。順番はクリック数の多かったものです。



経営の教科書 - 社長が押さえておくべき30の基礎科目 (新将命)





書評としてのエントリーは残していませんが、「大局観をいかにして磨くか」 というテーマが興味深かったので、ブログエントリーとして取り上げました。

大局的な視点でものごとを見るには 「多、長、根」 という3つがキーワードだとします。

  • 多:複数の視点から全体像を把握する
  • 長:短期ではなく長期のスケールで考える
  • 根:本質に立ち返る

詳しくはこちらのエントリーで紹介しています。

大局観を持つための視点は 「多 / 長 / 根」



究極の身体 (高岡英夫)




運動や体の本で、今まで読んだ中で最もおすすめの一冊です。人の身体構造や運動のメカニズムについて独自理論が、興味深く読めます。

本書の究極の身体の定義は 「人体の中で眠っている四足動物、あるいは魚類の構造までをも見事に利用しきって生まれる身体」 です。

人間の進化は、魚類 → 爬虫類 → 哺乳類 → 人間と経ています。人間の身体には、魚類、爬虫類や哺乳類などの四足動物の構造も受け継いでいると著者の高岡英夫氏は言います。

著者の問題意識は、究極の身体を持っているにもかかわらず、現在の人類の多くはその身体資源を使いきれていないことです。

究極の身体を実現するために印象的だったことは、以下でした。

  • 究極の身体に不可欠なことは重心の意識。そのために筋肉の脱力が必要
  • 身体の中にセンター (軸) を構築する。センターは、身体の重力線とほぼ一致するところを通る身体意識
  • 究極の身体の立ち方は、吊り人形のように頭部の糸で身体を吊り上げ、そこからゆっくり下ろして足を接地させたような立ち方 (緩重垂立) 。体重を支えるギリギリのところまで力を抜いたプラプラの状態

身体動作や運動構造に興味のある方は、おもしろく読める本です。書評エントリーはこちらです。

書籍 「究極の身体」 がおもしろい



なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)




様々な企業のビジネスモデルが紹介されています。不動産、バス、素材、地銀、建機、旅館、タイヤなどの業界です。

本書が他の類似本と違うのは、日本企業の事例が多く扱われていること、そして、単にビジネスモデルを紹介しているだけで終わっていないことです。

紹介されている各ビジネスモデルについて、以下の3つのステップで説明がされます。

  • ビジネスモデルの事例紹介
  • 仕組みの一般化
  • 他業界にある同様のモデル紹介

流れとして、具体例 → 抽象化 → (他の) 具体例、と横展開されています。

この本でのビジネスモデルを学ぶ考え方は、異業種にあるモデルから着眼点を得ることです。具体的に、異業種のどこを見ればよいか、どうすれば移植できるか、その際の課題は何かが書かれています。

同じビジネスモデルでも違う業界に適用されているので、そのモデルの本質的な仕組みを理解できます。書かれている内容がきっかけや刺激になり、そのビジネスモデルを自分の業界や、自分の仕事に活かせないかと考えてみると発想が広がるでしょう。

書評エントリーはこちらです。

書評: なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)



脳には妙なクセがある (池谷裕二)




脳の最先端の研究結果がわかりやすく紹介されています。著者は脳研究者である池谷裕二氏です。様々な脳の 「クセ」 が書かれています。

印象的だったのは、脳と身体の関係でした。 例えば、楽しいという気持ちと笑顔の関係です。

楽しいから笑うという順番が一般的な理解です。しかし、研究からわかってきたのは、笑顔をつくるから楽しいという逆の順番でした。

その研究によると、笑顔の表情をつくるとドーパミン系の神経活動が変化をすることがわかりました。ドーパミンは快楽に関係した神経伝達物質なので、笑顔をつくると楽しくなるのです。

顔の表情だけでなく、姿勢にも当てはまるようです。本書にある実験が紹介されていました。姿勢が自己評価に与える影響を調べたものです。

背筋を伸ばした姿勢と背中を丸めた姿勢で、被験者に自己評価をしてもらいました。姿勢を正したほうが自信を持てる結果が出たとのことでした。

身体行動が先で、それに伴う感情が形成されるという脳の働きは、興味深い話です。

本書では、他に以下のようなトピックが扱われています。

  • 「行きつけの店」 にしか通わない理由
  • 何事も始めたら 「半分」 は終わったもの?
  • 脳はなぜか 「数値」 が苦手
  • 「心の痛み」 も 「体の痛み」 も感じるのは同じ部位
  • 歳をとると、より幸せを感じるようになる理由
  • 「今日はツイてる」 は思い込みではなかった
  • 脳は 「自分をできるヤツ」 だと思い込んでいる



ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ (三枝匡)




本書は会社経営者によって書かれた本です。実在の株式会社ミスミグループを舞台に、主人公である著者も三枝の実名で描かれます。

経営に参考になるだけではなく、リーダーシップ、組織マネジメント、戦略論、マーケティング、営業、など、様々な視点で学びが多く、示唆に富む内容でした。

著者がミスミで CEO を務めた12年での多岐に渡るストーリーです。書かれている1つ1つの改革は連動し、全体の戦略に沿っています。

興味深く読めるのは、著者が企業経営において改革 (本書では 「改造」 と表現) を進めていった中で、試行錯誤のプロセスが具体的にリアルに描かれている点にあります。美談だけではなく、改革の失敗や挫折が、関係者の証言と併せて詳しく書かれています。

書評エントリーはこちらです。

書評: ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ (三枝匡)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。