投稿日 2017/02/23

書評: 大便通 - 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌 (辨野義己)


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大便通 - 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌 という本をご紹介します。



健康のために食べるものに気を使う方は多いでしょう。バランスの良い食事を心がけたり、カロリーや栄養素を考慮した食べ方をすることです。一方で、食べた物がどう出てくるか、自分の排泄物については、関心が低いのではないでしょうか。

この本は排泄物である便に注目します。

本書の主題は、大便は自分の健康状態を知らせる体からの 「便り」 であるというものです。


良い便かどうかのチェックポイント


本書によれば、自分の大便が良いかどうかのチェックポイントは次の通りです。

  • 定期的:毎日、決まった時間帯に便通があるか
  • 臭い:やや酸っぱい感じの発酵臭
  • 色:黄色がかった褐色
  • 固さ:適度に水分を含み、便器の水中でパッとほぐれて浮かぶ
  • 量:1日に200-300グラム

1つ目は毎日出るかどうかです。食事をして、便として出てくるまでの体内滞在時間は12~48時間程度とのことです。3日以上出なければ便秘です。

2~5つ目のチェックポイントは便の状態です。

臭いについて、便やオナラに悪臭があるのは、腸内環境が悪くなっている証拠です。善玉菌を多く含んだ大便は顔をしかめるような悪臭はありません。上記のように、やや酸っぱい感じの発酵臭がします。悪玉菌の多い大便は腐敗臭があります。

色も重要なチェックポイントです。黄色がかった褐色が良い便の条件です。腸内にビフィズス菌が多い証拠です。


腸からの 「便り」 は腸内細菌が作る


便は大腸の状態を知ることのできる 「便り」 です。大腸の状態、すなわち腸内環境に影響を与えるのは細菌です。人間の腸にいる細菌は、大きく3つの種類に分けられています。

  • 善玉菌:乳酸菌やビフィズス菌など。乳酸菌は乳糖やブドウ糖を栄養に乳酸を作る (発酵) 。ビフィズス菌はブドウ糖から酢酸や乳酸を作る
  • 悪玉菌:タンパク質を腐敗させて毒素を作る。発がん性物質を作ることもある。人にとっての有害物質をつくるので 「悪玉菌」 と呼ばれる
  • 日和見菌 (ひよりみきん):腸内環境の状況により善玉菌になることもあれば、悪玉菌にもなる (悪玉菌が優勢になれば腐敗の手助けをする) 。腸内細菌の 70% を占める。代表的なのは大腸菌

善玉菌か悪玉菌と呼ばれるのは、人にとって良い影響を与えるか、悪い影響を与えるかです。

大便が腸からの 「便り」 となるのは、腸が悪玉菌が多くなり腸内環境が悪くなっているかどうかが、便やオナラの臭い、便の色や固さで判断ができるからです。


よい 「便り」 をもらうための食事


腸内環境を改善する食事は、本書ではヨーグルトと食物繊維が推奨されています。

ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌の善玉菌が入っています。そして、食物繊維で便の量が増え、食物繊維が腸内の有害物質を吸収し、便として排出してくれます。

1日の推奨量は、ヨーグルトは 300g です。食物繊維は 25g で、最低でも男性は 19g 、女性は 17g とのことです。

食物繊維について興味があったので本書以外からも調べてみました。

食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維の2つがあります。腸内環境への影響という視点では、2つは異なる役割を果たします。

  • 不溶性食物繊維:腸内細菌でも分解されにくい。便の量を増やす。有害物質を吸収する
  • 水溶性食物繊維:腸内細菌によって分解される。善玉菌のエサになる

腸内の善玉菌を増やし、善玉菌の活動を促進するという観点では2つのアプローチがあります。1つ目は、ヨーグルトなどのような善玉菌を含んだものを食べることです (善玉菌を増やす) 。2つ目は、善玉菌のエサになる水溶性食物繊維を食べることです (善玉菌の活動を促進) 。

また、便を毎日出し、なるべく便を腸内に滞在しないような腸内環境をつくるには、不溶性食物繊維で便の量を増やすことが有効です。

食物繊維は不溶性も水溶性も、人間の直接の栄養にはなりません。しかし、腸内環境を良くすることができるので、間接的に良い働きをしてくれます。


本書を読んで、自分の食事にどう影響したか


自分の食べたものによって便の状態が変わるのは、私自身の経験からもその通りです。

私の場合は、翌々日のトイレでわかります (食べてからおよそ36時間以内で排出されます) 。肉類が多い食事の後と、野菜中心の食事では臭いや色が異なります。

本書を読んで、毎日の食事に取り入れたことは2つです。

1つ目は、ヨーグルトを意識的に食べるようにしています。1日あたり 200-300g です。量としてカップのヨーグルトを2つか3つです。

2つ目は食物繊維です。水溶性食物繊維を取るためによく食べているのは、りんごとワカメなどの海藻類です。りんごは毎日1個です。不溶性食物繊維を取るのに、きな粉を食べています。きな粉は牛乳に溶かし、はちみつを入れます。食べるきな粉の量は毎日 150g 程です。

これらの食事で、良い便りを毎日受け取っています。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。