2017/03/16

書評: 人の健康は腸内細菌で決まる! - 善玉菌と悪玉菌を科学する (光岡知足)


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人の健康は腸内細菌で決まる! - 善玉菌と悪玉菌を科学する という本をご紹介します。



以下は本書の内容紹介からの引用です。

腸が元気であることは体全体が健康である証拠。そのカギを握っているのがビフィズス菌などの善玉菌だ。

腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすには何を食べ、どう過ごせばいいか?腸内細菌研究の第一人者が豊富な研究データをもとに語る健康長寿のための決定版。

本書は、健康な身体を維持するためにどうすればよいかを、食事・腸と腸内細菌・便という視点から学ぶことができます。

  • 腸内細菌の働き。腸内環境が悪くなるとはどういうことか
  • 腸内環境を良くする食事とは
  • 腸から排出される便で、腸内環境が良いかどうかを確認できる。便のチェックポイントとは

■ 腸内細菌と健康への影響

人間の腸内には大きく3つの種類の細菌がいます。善玉菌、悪玉菌、日和見菌です。

ちなみに、この3つの名前をつけたのが、本書の著者である光岡知足氏です。光岡氏は、腸内細菌と人間の健康の関わりについて長年研究してきたパイオニアで、この分野の世界的な権威です。

悪玉菌は、人の健康を阻害し人体に有害に働く菌の総称です。ウェルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などの腐敗菌群です。

悪玉菌の特徴は次の通りです。

  • 悪玉菌は腸内で一定数を超えると、身体に悪影響を及ぼす
  • 腸内のタンパク質を腐敗させ、アンモニア・硫化水素・アミン・インドール・スカトール・フェノールなどの有害物質を作る
  • 便秘・下痢・肌荒れを引き起こし、老化や生活習慣病の原因になる

腸の健康に欠かせないのが善玉菌です。善玉菌とは、人体に有用な働きをする菌の総称です。ビフィズス菌、乳酸桿菌、腸球菌などの乳酸菌群です。これらのうち、人間の腸内で優位なのはビフィズス菌です。

善玉菌の特徴は次の通りです。

  • 病原菌が腸内に侵入するのを防ぐ
  • 悪玉菌の増殖を抑える
  • 腸の運動を促して便秘を防ぐ
  • 免疫機能を刺激し、生体調整のために働く

腸内環境をよくするためには、悪玉菌が増えるのを抑え、いかに善玉菌が優位な状況をつくるかです。

■ 腸内環境を良くする食事

健康的な食事の基本として、本書で紹介されているのは2つです。1) 悪玉菌の増殖を促す肉類などの動物性食品の摂りすぎを抑えること、2) その分、野菜・果物・発酵食品などを多く摂ることを心がけることです。

腸内環境を改善するためには、次のような食事が勧められています。この本を読んでの学びの1つでした。

  • ヨーグルト:腸内に有用な菌 (ビフィズス菌や乳酸菌) を取り入れることができる。摂取量が少ないと一定の菌の数が確保できない。著者は過去の研究から、最低でも1日に 200ml を摂るよう推奨 (できれば無糖無脂肪ヨーグルトがよい)
  • オリゴ糖:人間のエネルギーにはならないが、腸内のビフィズス菌のエサになる (ヒトの消化酵素ではほとんど分解できない) 。オリゴ糖を食べれば善玉菌であるビフィズス菌を増え、腸内環境が改善される。オリゴ糖を砂糖の代わりに甘味料として使うとよい (コーヒーや紅茶・煮物等への味付け・ヨーグルトへの甘味づけとして)
  • 食物繊維:便の主要成分。食物繊維を摂り便が作られれば排便が促進される。便として排出されれば、腸内環境は改善する (便が腸内に溜まった状態を防ぐことができる) 。ただし食物繊維は便になって排出されるだけで、人間の栄養や腸内細菌のエサになるわけではない

3つをまとめると、ヨーグルトで善玉菌を取り入れ、エサとしてオリゴ糖を取り善玉菌を活性化させ、食物繊維で便通を良くして腸内環境を改善する、ということです。

もちろん、腸内環境をよくするために、ヨーグルトだけを食べていればよいわけではありません。前述のように、動物性食品の摂りすぎを抑えること、野菜・果物・発酵食品などを多く摂ることを心がけることが大事です。

■ 腸内環境を確認するための便のチェックポイント

便は自分で腸内環境が良いかどうかを判断できるバロメーターです。便のチェックポイントは5つあります。

  • 量:排便量は 200~300g 程度。肉類が中心で野菜などの食物繊維不足すると量が少なくなる
  • 色:健康な大人は乳褐色がよい。茶色や黒色の度合いが増えてきたら要注意
  • 形と硬さ:ほどよい柔らかさのバナナ状の便が健康の証。カチカチやコロコロは便秘の疑いあり
  • におい:善玉菌であるビフィズス菌が腸内で優勢であれば強いにおいはない。悪臭がするのは、悪玉菌が生成した腐敗物質が多い証拠
  • 規則正しい排便習慣:便の状態が硬い、3日以上排便がない場合は便秘。毎日排便があることが基本。ただし、毎日出ないからといって神経質になる必要はない

■ 著者の研究者としての哲学

本書からは、次のことを知ることができたからでした。なぜ腸内環境を良くすることが大事なのか、そもそも腸内環境に影響を与える腸内細菌とは何か、どのような食事や日々のことが大事かを知ることです。

本書が興味深く読めた理由は他にもあります。

腸内細菌研究の第一人者である光岡氏の、研究者としての考え方、信念や哲学が丁寧に書かれていることです。

人間の腸内には多くの細菌がいます。興味深い指摘だと思ったのは、腸内環境と人間社会は相似形であり、善と悪のバランスが大切であるということでした。

人間社会から悪を全て排除しゼロにすることはできません。それと同じで腸内の悪玉菌がゼロになることはないそうです。

悪玉菌が一定の割合よりも多くなりすぎると身体への悪影響が出始めます。大切なのはバランスです。生態系としてのバランスという観点で、腸内も人間社会も、地球全体もつながっているという見方は興味深く読めました。

また、著者のこれまでの腸内細菌の研究には苦労の連続で、1つ1つ地道に努力を重ねてきた経緯にも触れられています。研究者として胸がときめくような新しい発見がある一方で、未知の領域に挑戦するパイオニアだからこその孤独感が常につきまとったそうです。

著者の研究者とはどうあるべきか、創造のプロセス、ものごとを成し遂げるために必要な考え方 (生き方) について、あらためて考えさせられました。




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