2017/05/30

Google が Ads Data Hub という次世代の広告レポートツールをベータローンチ (2017年5月)


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Google が、新しい広告レポーティングのツールをベータローンチすると発表しました (2017年5月24日) 。Ads Data Hub (アズ・データ・ハブ) という名前です。

Introducing Ads Data Hub: Next generation insights and reporting | Inside AdWords

Ads Data Hub とは


上記リンク先からのグーグルの公式発表から、Ads Data Hub の特徴をまとめると次のようになります。

  • 広告キャンペーンの結果やインサイトがレポートされる。クロススクリーンに対応。データのユーザープライバシーは保護される (ここで言う 「データのユーザープライバシー」 とは、一般のネットユーザーの広告接触についての情報)
  • Ads Data Hub で対象となる広告は、YouTube・Google Display Network (GDN) ・DoubleClick
  • Ads Data Hub は Google Cloud で提供される。広告主などの Ads Data Hub 利用者は Google Cloud にアクセスし BigQuery を使ってレポートを作成する
  • Ads Data Hub 利用者は CRM (顧客データ) などの自社データや第三者データを Ads Data Hub にインポートし、Google 広告データと統合することが可能
  • プライバシー保護の観点から、Ads Data Hub から得られるのはレポート結果のみ。ユーザーレベルのローデータは抽出できない (個々のネットユーザーのインプレッション情報などのローデータは抽出不可)
  • 2017年5月の現時点では、レポーティングの機能のみだが、将来的には Ads Data Hub はメディアバイイングなどの広告配信に直接的に使えるようになる見込み

Ads Data Hub で何ができるかを一言で表現すれば、広告キャンペーンのリーチや広告接触回数などのレポートが Google Cloud で作成できるというものです。レポートには必要に応じて自社 CRM などの Google が持っていないデータを加えることも可能です。

Ads Data Hub の利用ケース


Ads Data Hub の使用例としては、次のようなものが考えられます (数字は仮です) 。

  • 広告主 (あるいは広告会社) が、YouTube キャンペーンと GDN キャンペーンの広告結果レポートを作成。YouTube と GDN でトータルのリーチが 55% 。YouTube リーチは25% 、GDN は 50% 。YouTube と GDN の重複リーチは 20% 。さらにデバイスやデモグラなどでブレイクダウンも可能
  • Google の持つ YouTube や GDN 、DoubleClick などの広告データと、広告主が持つ自社会員情報 (CRM データ) を紐付け、広告が新規会員の獲得にどの程度の効果があったかを把握する
  • 広告主が自社売上データと併せて、YouTube や GDN の広告が商品売上にどのくらい効果があったかのレポートを作成

Ads Data Hub ではできないこと


Ads Data Hub を使って広告主にはできないことは、Google の広告以外の広告キャンペーンも合わせたレポートの作成です。

当然、広告主は広告を出すのは YouTube や GDN だけではなく、Facebook などの他のメディアにも広告を出します。Ads Data Hub にある広告データは Google 広告のみで、Facebook などの Google 以外のネット広告、テレビ広告や屋外広告などのオフライン広告も、Ads Data Hub には含まれません。

広告主が Ads Data Hub を使ってできるのは、あくまで Google 広告についてのレポート作成および結果レポートのエクスポートです。

これは推測ですが、テレビ広告や Facebook 広告も Ads Data Hub レポートに含める場合は、広告主が Google 以外広告の配信データや接触データのローデータを自社データとして Ads Data Hub にアップロードし、Ads Data Hub 内で (Google Cloud 内で) データを突き合わせることになります。

この場合、ユーザーレベルでのマッチングに必要な、何かしらのユーザー ID が必要になります。可能性としてはユーザーのデバイスが識別できる ID か (例: Advertising ID, IDFA) 、Gmail アドレスでしょう。しかし、現実的には広告主がユーザー識別 ID 付のテレビ広告や Facebook 広告を持っているとは考えにくいです。

Google 広告以外のレポートを Ads Data Hub で作るには


Google 広告以外のテレビや Facebook 広告もトータルでレポートを Ads Data Hub で作るとしたら、調査パネルを持つ調査会社になるでしょう。

調査パネルであれば、協力モニターはそれぞれ調査会社が付与した ID を持っています。このパネリスト ID をキーに、Google 広告とそれ以外の広告の接触情報を Ads Data Hub 内でマッチングさせ、レポートを作成することができるのではと期待します。

Ads Data Hub をどう考えるか


Ads Data Hub はグーグルにとっては、すでに持つ YouTube や GDN・DoubleClick などの広告データに加え、Ads Data Hub ユーザーから広告キャンペーンに関するデータを Google Cloud 内に集めることができる存在です。

Ads Data Hub の概念は、Google 広告データと、必要に応じて上げられた CRM データなどに対して、レポート作成リクエストを BigQuery で投げれば、グーグルが Google Cloud 内でレポートを作成し、結果とインサイトを Ads Data Hub ユーザーに提供する、というものです。

広告主や広告会社、調査会社などの Ads Data Hub ユーザーからすると、データは全て 「あちら側 (グーグル側) 」 にあり、レポートという結果のみが手に入ります。Ads Data Hub ユーザーからすれば、利便性はあるでしょう。

Ads Data Hub という仕組みは、グーグルによるデータの囲い込みとして警戒するか、グーグルにデータを預ければインサイトを伴うレポートが得られるという機会として見るかです。

私自身の見方は後者です。レポーティングツールを自社開発し、セキュリティや常に最新の技術を維持管理するために労力を払うよりも、任せるところは外部 (グーグルの Ads Data Hub というクラウド) に任せ、自分たちにしかできないことに注力するほうがいいと考えます。

ただし、広告メディアとしての透明性という観点では、グーグルがすべきは広告データを特定の信頼できる第三者 (調査会社など) に開放することです。Ads Data Hub のようにサマライズされたレポートレベルではなく、ローデータの粒度です。それによって、広告レポートは純粋にサードパーティレポートとして、広告主や広告会社に提供されるのがよいでしょう。


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