2017/07/21

良いインサイトは常識と芸術の間にある


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今回のエントリーでは、マーケティングの消費者インサイトを取り上げます。


インサイトとは


三木康夫氏が楽天リサーチのコラムで、消費者インサイトを次のように説明しています。

消費者インサイトに関しては、多くの人が様々な説明をしていますが、そのうちいくつかを紹介します。

まず2010年の JMRA のアニュアルカンファレンスの基調講演で、P&G の桐山社長 (当時) は、インサイトとは、「1. データでは見えてこない真実、2. 心の奥深くに存在する感情やニーズ、そして 3. ビジネスを成長させる可能性を秘めているもの」と説明しています。

また、次のようにインサイトを説明する人もいます。

  • 「ターゲットとなる生活者が自分では気がついていなかったり、気づいてはいてもそれを出すことがためらわれる生活者の中にある本当の思い」
  • 「ターゲットとなる生活者が”そうそう”と思える心の声」

などです。ちなみに筆者は 「気がつかされればニーズに変わるもの」 と説明しています。

消費者インサイトとは、ターゲット顧客や生活者の心の奥にある、時には本人でさえも明確に意識できていない気持ちです。

忘れてはいけない視点が、ビジネスに寄与することです。インサイトが新しいアイデアにつながる、意思決定の判断材料になるなどです。


インサイトかどうかを見分ける方法


手書きの戦略論 - 「人を動かす」 7つのコミュニケーション戦略 という本に、コンシューマーインサイトを見つけるための4つのチェックポイントが紹介されています。

チェックポイントの使い方は、「これがインサイトではないか」 というものを見つけたら、本当にそれが有効なインサイトかどうかを見分けるために用います。

  • ブランドを選ぶ気持ちにつながるか:ブランドのビジネスの機会が広がるか。そのインサイトをポジティブに活用できるか
  • ハッとする発見か:クリエイターをインスパイアできるものか。それを提示されれば気づきが得られるか
  • ブランドと合っているか:ブランドが語るにふさわしいものか。なお、ブランドのカテゴリーに共通した深層心理や人間の普遍的な欲求でもよい
  • ターゲットが主語になっているか:インサイトは消費者の心の中にあるものなので、消費者が主語で描かれているか。インサイトは、ブランドの情緒価値やブランドビジョンと混同しがち。情緒価値やビジョンは、作り手が意思をもって打ち出すものなのでブランドが主語になる


インサイトと優れた広告コピーの共通点


チェックポイントのうち、2つ目の 「ハッとする発見か」 「気づきを与えてくれるか」 で、あることを思い出しました。広告コピーってこう書くんだ!読本 という本に書かれていた 「優れた広告コピーは “常識” と ”芸術” の間にある」 です。

常識とは聞いても当たり前と思うこと、芸術とは聞いてもわからないことです。優れた広告コピーとは、見たり聞いたりした時に、「それは当たり前」 でもなく、「何を言っているのかわからない」 でもなく、ちょうどその中間にあると書かれていました。「そういえばそうだね」 と思えるものです。

  • それは当たり前 = 常識
  • そういえばそうだね = 広告コピー
  • わからない = 芸術

優れた広告コピーは、それを見た時に気づきを与える役割です。広告から伝えたいことは言われればわかりますが、普段は意識の下に眠っているものです。

誰でも知っている 「そりゃそうだ = 常識」 という当たり前すぎても、「そんなのわかんない = 芸術」 でも、良い広告コピーにはなれません。

インサイトも同様です。良いインサイトは、それを見た時に 「言われなくても知っている」 という常識でもなく、「言われてもわからない」 という極端なものでもありません。

インサイトは 「言われてみれば確かにそうかもしれない」 という気づきを与えてくれます。インサイトという心の奥にあるものを通じて、顧客や生活者へのより深い理解につながります。




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多田 翼 (書いた人)