投稿日 2017/09/17

2017年8月にブログで注目を集めた本 (月間クリック数ランキング)


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このブログでは、訪問いただいた方に役に立つと思ってもらえるような本を紹介しています。読んだ本の書評を書いたり、エントリーの参考情報として本の内容を引用しています。

今回のエントリーでは、2017年8月の1ヶ月でクリックが多かった本をご紹介します (5冊) 。順番は第五位から昇順です。

  • 働かないアリに意義がある
  • 経営の教科書 - 社長が押さえておくべき30の基礎科目
  • なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編
  • How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント
  • WHY から始めよ! - インスパイア型リーダーはここが違う



働かないアリに意義がある (長谷川英祐)




アリの他にもハチなどの生態系から、昆虫社会の意外な特徴が紹介されています。昆虫と人間社会との共通点や相違点が、わかりやすく書かれています。

本書に書かれていたことで興味深いと思ったのは、働くアリと働かないアリの違いです。アリの7割はいつも休んでいて、1割は一生働かないと書かれています。働くアリと働かないアリの比率は、次のようになります。

働くアリ : 通常は休んでいるアリ : 一生働かないアリ = 3 : 6 : 1

アリたちは、普段は3割だけでまわっている社会です。どんなに逼迫した事態でも、9割のアリたちで支えている社会だと言えます。

働かないアリの存在意義は、バッファーです。アリたちの全員が一斉に働くのではなく、あえて非効率を保っています。

人間の会社で例えると、働かないアリがいない状態とは、日常業務で全メンバーがフル稼働している状況です。これ以上は仕事が増えなければよいですが、もし突発的な急ぎの仕事が入ると逼迫し、組織がまわらなくなります。働かないメンバーがいれば、急な案件が入ってきても対応ができます。バッファーを持ち、余力がある状態です。

書評エントリーは以下です。働かないアリをあえて存在させている意味、アリから学べる教訓などを書いています。

書評: 働かないアリに意義がある (長谷川英祐)



経営の教科書 - 社長が押さえておくべき30の基礎科目 (新将命)




書評としてのエントリーは残していませんが、「大局観をいかにして磨くか」 というテーマが興味深かったので、ブログエントリーとして取り上げました。

大局的な視点でものごとを見るには 「多、長、根」 という3つがキーワードだとします。

  • 多:複数の視点から全体像を把握する
  • 長:短期ではなく長期のスケールで考える
  • 根:本質に立ち返る

詳しくはこちらのエントリーで紹介しています。

大局観を持つための視点は 「多 / 長 / 根」



なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)




本書には、様々な企業のビジネスモデルが紹介されています。不動産、バス、素材、地銀、建機、旅館、タイヤなどの業界です。

本書が他の類似本と違うのは2つです。日本企業の事例が多く扱われていること、そして、単にビジネスモデルを紹介しているだけで終わっていないことです。

紹介されている各ビジネスモデルについて、以下の3つのステップで説明されます。

  • ビジネスモデルの事例紹介
  • 仕組みの一般化
  • 他業界にある同様のモデル紹介

具体例 → 抽象化 → (他の) 具体例、と横展開されています。

この本でビジネスモデルを学ぶ考え方は、異業種にあるモデルから着眼点を得ることです。具体的に、異業種のどこを見ればよいか、どうすれば移植できるか、その際の課題は何かが書かれています。

同じビジネスモデルでも違う業界に適用されているので、そのモデルの本質的な仕組みを理解できます。書かれている内容がきっかけや刺激になり、そのビジネスモデルを自分の業界や、自分の仕事に活かせないかと考えてみると発想が広がるでしょう。

書評エントリーはこちらです。

書評: なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)



How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント (エリック・シュミット / ジョナサン・ローゼンバーグ / アラン・イーグル / ラリー・ペイジ)




グーグルの組織論や人という観点から、グーグルがこれまでどのようにマネジメントをしてきたかが紹介されています。

この本の内容を簡単に言うと、グーグルが求める人材である 「スマート・クリエイティブ」 をいかに大切にしているか、彼ら彼女らが持つ能力を最大限に発揮するためにどういう環境や仕組みをつくり上げてきたのかです。

グーグルの企業文化、採用を非常に重視していること、人事や組織のあり方、スマートクリエティブに自由と権限を与え、絶え間ないイノベーションをいかに実現するかが書かれています。

印象的だったのは以下でした。


リーダーシップ

グーグルが求めるリーダーシップは、自らの職務あるいは組織でリーダーシップを発揮した経験に加え、正式なリーダーに任命されていなくてもチームの成功に貢献しているか。正式なリーダーという立場ではなくても、リーダーシップを持って行動できるかどうか。


ラーニングアニマル

スマートクリエイティブになるために必要なのは、常に新しいことを貪欲に学ぶこと。特に、失敗をした時に何を学ぶか。単に何かを学んで終わりではなく、学んだことを 「次」 に活かすことが大切。「学ぶ → 学習内容を活かして成果を出す → 学ぶ → … 」 、というサイクルを回し続ける。


プロジェクト管理

グーグルでの経験則から導かれたプロジェクト管理手法は、リソースを 「70対20対10」 に振り分けること。70をコアビジネス、20を成長プロジェクト、10を新規プロジェクトとする。


グーグルについて、特にマネジメントやカルチャーのことをよく理解できる一冊です。関連エントリーはこちらです。




WHY から始めよ! - インスパイア型リーダーはここが違う (サイモン・シネック)




TED で 優れたリーダーはどうやって行動を促すか をプレゼンしたサイモン・シネックの著書です。

本書で紹介されているアイデアは、「人が動かされるのは、何を (what) ではなく、なぜ (why) である」 です。Why は、自分の動機・ビジョン・理念です。自分が信じていることを語り、共感が生まれれば人々を惹きつけられるという考え方です。

本書ではゴールデンサークルというフレームが紹介されています。中心から why, how, what の三重の円です。




ポイントはこの順番です。著者は、優れたリーダーは why → how → what の順で伝えると言います。

関連のエントリーはこちらです。

Why からはじまるゴールデンサークル:シンプルかつ応用度の高い思考アイデア

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。