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投稿日 2021/03/31

差別化の四要素の GAFA 解説と、キャリア形成の方法


今回は差別化とキャリアです。

✓ この記事でわかること
  • 差別化の四要素
  • GAFA に当てはめる四要素
  • 個人のキャリアへの応用 (働き方とキャリア形成のチェックポイントに) 

この記事で書いているのは2つのテーマの掛け合わせです。 差別化とビジネスキャリアです。

前半では差別化を分解した四要素について GAFA を例にご紹介します。後半は四要素を個人のレベルに当てはめキャリアに応用しています。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事やキャリアへの参考になればうれしいです。

投稿日 2020/08/05

Apple の IDFA 取得オプトイン変更まとめと本質




今回は、iOS の IDFA についてです。

2020年6月の Apple の WWDC での発表から、IDFA 取得オプトイン変更の本質を掘り下げます。


この記事でわかること


  • IDFA とは
  • オプトイン変更内容と本質
  • Apple のミッションからの考察
  • Safari の第三者 Cookie ブロックとの共通点
  • GDPR との共通点
  • オプトイン後のニューノーマル


記事の前半では、オプトイン変更の本質を見ていきます。 後半は、本質が何を意味するのかを掘り下げています。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。

投稿日 2019/12/02

iPod touch (第7世代) を新しく購入。具体的な使い方と不満点




今回は、新しく買った iPod touch のことです。

  • なぜ iPod touch を買った?
  • 具体的にどんな使い方をしている?
  • iPod touch の不満点は?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、新しく買った iPod touch (第7世代) についてです。






書いているのは、
  • スマホとは別に iPod touch を持ちたい理由
  • 具体的にどんな使い方をしているか
  • 不満なところは何か
です。

スマホ2台持ちとは厳密には違いますが、モバイルのこういう使い方もあるのだなと何か参考になればうれしいです。

投稿日 2019/11/22

書評: ゲーム・チェンジャーの競争戦略 (内田和成) 。4つの競争戦略がわかりやすい本




今回は、書評です。

ゲーム・チェンジャーの競争戦略 という本をご紹介します。





  • どんなことが書かれている本?
  • ゲームチェンジャーの競争戦略とは?
  • 戦略からビジネスモデルに落とし込む方法

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、
です。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。

投稿日 2019/05/26

書評: GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭) 。8社を俯瞰した分析から見えてくる本質




今回は書評です。ご紹介したい本は、GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭) です。





  • 何が書かれている本?
  • どんな視点でおもしろく読める?
  • 覚えておいて損はない孫子の競争戦略フレームとは?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、本書の概要、どんな視点で興味深く読めるか、読んで考えさせられたことです。

この本は、米中の最先端のプラットフォーム企業の8社 (GAFA と BATH) について、俯瞰して理解できる内容です。この記事も参考に、ぜひ読んでみてください。

投稿日 2018/10/20

パソコンとスマホを新しく変えて思った、プラットフォーム依存の功罪と今後の揺れ戻し


最近、パソコンとスマホの SIM カードを新しく変えました。

今回は、昔 (クラウド以前) に比べて、パソコンやスマホを新しくすることについて思ったことを書いています。
投稿日 2018/08/30

書評: the four GAFA 四騎士が創り変えた世界 (スコット・ギャロウェイ) 。人間の本能 (脳・心・性器) に訴える GAFA


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the four GAFA 四騎士が創り変えた世界 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 人間の本能に訴える四騎士
  • 思ったこと (2つ)

投稿日 2017/03/11

スティーブ・ジョブズの教え 「点と点をつなげる」 ために大切にしたい考え方


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スティーブ・ジョブズは、2005年の米国スタンフォード大学卒業式の祝賀式で、卒業生に向けてスピーチを行いました。

‘You’ve got to find what you love,’ Jobs says | STANFORD UNIVERSITY


今回はジョブズのスピーチから、「点と点をつなげる」ためにどうすればよいかを考えます。

エントリー内容です。

  • スティーブ・ジョブズからの3つのメッセージ
  •  「点と点をつなげる」 ためにはどうすればよいか
  • ジョブズのスピーチ動画

投稿日 2016/12/17

親にしてあげたら、予想以上に感謝された親孝行をご紹介


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良かれと思い、親にしてあげたりプレゼントをし、こちらが思っていた以上に感謝された親孝行を、いくつかご紹介します。


フィットカットカーブ (はさみ)


フィットカットカーブというハサミを親に上げました。このはさみは切れ味がとてもよく、他のはさみと違い、使い出すと普通のはさみが使えなくなります。

まずは自分が使ってみて気に入ったので、親にも買いました。こちらのキッチン用のはさみです。母親からも高評価でした。


使った感想を母親に聞くと、評価ポイントは2つでした。
投稿日 2016/09/29

MacBook Air 13” 買い替え後の引継ぎ方法


パソコンの Mac を新しくしました。MacBook Air の13インチです (新旧で変わらずです) 。

古いほうは3年超使っていて、バッテリーの持ちが悪くなりました。電源に接続しない状態だと、1-2時間くらいでバッテリーがなくなる状態でした。バッテリー以外の機能は特に問題なかったのですが、不便を感じるようになり新しくすることにしました。

今回のエントリーでは、MacBook Air 13” を新しくした時の、古い Mac からの設定の引き継ぎと、いくつかの Mac 必須ツールをご紹介します。
投稿日 2014/10/04

iPad を親にプレゼントしてみると




実家にいる親に iPad をプレゼントしました。Android のタブレットも迷ったのですが、操作がわかりやすいことと、端末の軽さから、iPad Air にしました。


これまでの実家のネット環境


iPad 以前は、実家のネット環境が整っておらず、実家に帰る度になんとかしたいと思っていました。ネット環境は、古いノートブック型パソコン (Windows 7) に光ケーブルから有線 LAN でつないでいました。

パソコンの起動時間が5分くらいかかり、毎回パソコンに有線ケーブルをつなぐ必要がありました。ネットを使うだけに一手間も二手間もかかるような状況でした。
投稿日 2013/06/16

眼鏡型コンピュータの次はインターネットコンタクトレンズ




今回は、ウェアラブルコンピューターについてです。眼鏡型コンピューターや、期待しているインターネットコンタクトレンズについて書いています。

エントリー内容です。

  • ウェアラブルコンピューターへの期待
  • インターネットコンタクトレンズとは
  • レンズを媒体に脳とネットが直接つながる?

投稿日 2013/03/16

スティーブ・ジョブズのメッセージ 「点と点をつなげる」 ために大切にしている3つのこと


今回は、スティーブ・ジョブズのメッセージ 「点と点をつなげる」 についてです。

✓ この記事でわかること
  • スティーブ・ジョブズの伝説のスピーチとは?
  • ジョブズからの3つのメッセージとは
  • 点と点をつながるために、どうすればいいのか?

スティーブ・ジョブズの伝説のスピーチの内容をご紹介しています (スピーチの動画は最後につけています) 。

この記事でわかるのは、スピーチでのジョブズからの3つのメッセージと、そのうちの1つである 「点と点をつなげる」 ためにどうすればよいかです。

ぜひ、最後まで読んでみてください。

投稿日 2012/12/16

Apple地図問題の本質とスマホ位置情報の可能性




iOS 6 がリリースされて最も話題を集めたことはアップルの独自地図でした。パチンコガンダムという名前の駅、羽田空港が大王製紙に、東京都公文書館が海上にある、などなど。iOS 純正なのに、地図完成度の低さが話題になりました。

この問題について、Apple やスマートフォンの事情に詳しいジャーナリストの西田宗千佳氏と、Yahoo! JAPAN で「ルートラボ」など位置情報サービスの開発にあたる地図のスペシャリスト河合太郎氏の対談記事が示唆に富み、おもしろかったです。今回のエントリーではこの対談から、アップルの地図問題について考えてみます。
投稿日 2012/05/06

ケータイ⇒スマホの進化から「あるべきスマートTV」が見えてくる

モバイルについて、今から10年後とか20年後に歴史を振り返った時に、2007年がターニングポイントの1つだったと言われると思っています。

07年はiPhoneが登場した年。ターニングポイントとは、iPhoneがスマートフォンというそれまでの携帯電話にはなかった新しいモバイルを定義付けたということです。

■iPhoneと携帯電話のユーザーインターフェイス

iPhoneが変えたこと、それは画面に直接触れて操作するタッチパネル、ビジネスから遊びまで多種多様なコンテンツが揃うアプリ、インターネットやクラウドを活用したネットワークなど、それまでの携帯電話にはなかった利便性をもたらしてくれました。

初めてiPhoneを手にした時の感動は今でも覚えています。デモ映像とか店頭で使ったことはあったのでイメージは持っていましたが、それでもiPhoneの使い易さはついさっきまで使っていた携帯電話とは全くの別物。久々にワクワクする体験でした。iPhoneでいつでもどこでもネット閲覧/検索、アマゾンやネット通販での注文、アプリも有料版をダウンロードすることもいつの間にか普通になっていました。

ただよくよく考えてみると、こうしたiPhoneでできることの多くはそれまでの携帯電話でもできたことに気づきます。ネットもあったし、ケータイから買いものもできるようになっていた。アプリもiPhone用ほどではないにしろ提供されていた。それでも携帯では全くと言っていいほどこれらは利用していませんでした。

なぜか。当時の携帯電話とiPhoneを比べるとあらためて思うのが、携帯は使いにくかったということ。できることは知ってて一回くらいは試したけどあまり便利とは思いませんでした。ネットにつないでもクリックしたいところに行くには十字キーボタンの↓を何回も押さないといけないし、コンテンツやアプリも十分ではなく、スマホとPCがクラウド経由でシームレスにつながっているようなこともなく携帯だけで独立した存在だった。もちろんこれらの「使い勝手の悪さ」は、携帯しか持っていなかった頃はそこまで不満には思っておらず、iPhoneと比べたからこそわかることです。

■テレビとケータイの類似性

テレビについても、ここまで述べたケータイ⇒スマホへの進化と同じことが起こると思っています。去年くらいから「スマートTV」という表現がよく出てくるようになってきて、実際にGoogle TVなどがアメリカでは売られるようになっています。

でも今現在のスマートテレビは、モバイルで言うとiPhone登場前のブラックベリーあたりの段階なんだと思っています。で、現在主流の薄型テレビはケータイに当たります。ケータイとテレビを比較するととても似ている状況にあることがわかります。

例えばテレビのリモコン。下図はうちにあるテレビリモコンとほぼ同じですが、こんなに機能があるのかと思うほどの多くのボタンがついています。ここには載っていませんが、手元にあるリモコンはフタがパカっと開いて、その下にもさらにボタンがある。ボタンの多くは普段はほとんど使わないし、中には何のためかもよくわかっていないボタンもあったりします。


テレビ画面上に番組表(EPG)が表示され、予約録画は番組表から撮りたい番組を選ぶやり方は便利といえば便利ですが、目的の番組まで移動させるにはリモコンの十字キーボタンを押さないといけません。大抵の場合、何回も押すことに。

最近のデジタル対応のテレビには「アクトビラ」というネット接続サービスがほぼ標準で付いていると思います。アクトビラはソニーやパナソニック、シャープなどの主要メーカー間で統一されたテレビからのネット接続ポータルで、利用するためにはテレビにLANケーブルをつないで簡単な設定をするだけだったりします。つまり、今の多くのテレビにはすでにネットへの接続機能がついています。でも、アクトビラは使ったことがありません。アクトビラの認知率や利用率を正確に把握しているわけではありませんが、多くの人が同じ状況でしょう。なぜ使わないかというと、アクトビラで提供されるコンテンツが少ないのと、リモコン操作が前提の使いにくさがあると思います。スマホとかタブレットでの操作性に慣れてしまうと、リモコンでの操作は一世代前という感じです。

■あるべきスマートTVとは

こうした状況が、今のテレビの状況はiPhone登場前のケータイにそっくりだと思った理由です。この話をGWで会った家族にしてみましたが、リモコンや番組表操作などの使い勝手を「使いにくい」とは特に思っていなく、iPadのテレビ番組表を指でさくさく動かせるタッチパネル操作と比較して、初めて気づいていました。iPhoneでなくてもスマホの操作性と、テレビのリモコンやデータ画面の操作性を比較すると、大きく違うことがイメージできると思います。

だから期待したいのは、テレビにおける「iPhone」の登場です。大量に並んでほとんど使われないボタンばかりのリモコンではなくユーザーインターフェイスが優れ、見たい映像が「いつでも/どこでも」見られる環境、ネットやクラウドとも連携したテレビ。こうした圧倒的に使いやすいテレビです。これら全てが実現できて初めて、「スマート」という言葉が付くに相応しいテレビになると思います。iPhoneの登場後、多くのメーカーがiPhoneのような全く新しいモバイルをリリースし、スマートフォンという言葉が一般的となったような流れです。

真にスマートTVと呼べるプロダクトを出せる最有力候補は、やはりアップルだと思います。リモコンは今のApple TVのような超シンプルなものにしてくる、もしくはSiriを搭載した音声でテレビをコントロールする方式かもしれません。iTunesには様々なジャンルの映像が用意され、iPhoneやiPadとも連携する。iCloudが中心となったネットワーク。

アップルではなくてもいいのですが、本当にスマートテレビと呼べるテレビは今のテレビの延長上にはないことだけは確かだと思います。スマートフォンがケータイとは別物だったように。操作性、コンテンツ、ネットワーク、これらがスマートテレビのキーワードだと思っています。

思えば、日本でテレビのリモコンが本格的に登場したのが1970年代、VHSの録画が1980年代です。この2つはテレビのユーザー体験を大きく変えました。その後、確かに画面はデジタル放送に切り替わったことできれいにはなりましたが、リモコンや録画ほどのインパクトではないと思っています。テレビもそろそろ次のステージに移ってもいい頃ではないかと期待しています。




※参考情報
アクトビラ
Apple TV

投稿日 2011/12/03

iPhone4Sを歴史的な製品にするiCloudとSiri

アメリカの調査会社ChangeWave Researchの調査によると、iPhone4Sの顧客満足度が96%と、iPhone4の93%よりもさらに高かったという結果がでています。(96%の内訳は「非常に満足」:77%と「やや満足」:19%)
「iPhone 4S」の顧客満足度、iPhone史上最高の96%に――ChangeWave調べ|ITmedia ニュース

iPhone4Sと、そして同じタイミングでリリースされたiOS5で追加された機能は多くありますが、そのうちiCloudとSiriは画期的なものです。大げさかもしれませんが、iPhoneだけではなく、アップルを次のステージに上げるくらいのインパクトがあると思っています。以下、そう思う理由を書いています。

■iCloudはアップルの次のデジタルハブ戦略の主役

iCloudはアップルのデジタルハブ戦略の主役を担います。iCloud登場前は、PC内のiTunesがハブの中心にいました。iPhoneやiPadなどはPCにつなげ、iTunesと同期させるという形をとっていました。これは2001年のiPod登場から続く関係性で、例えば曲のプレイリスト作成などの機能はiTunesのみで可能とし、それをiPodには同期させる。iPodでできることをあえて制限し、あくまで衛星的な存在でした。iPhoneやiPadでも基本的には同じです。

それがiCloudの登場で、PCを中心としたエコシステムに変化が生じました。デジタルハブと置いたPCを他のデバイス同様のレベルに降格させ、替わりにデジタルハブとして位置付けたのがiCloudです。iPod登場は2001年なので、2000年代はPCであり、次の2010年代はクラウドがハブとなるのではないでしょうか。アップルのあるものを中心に置くというデジタルハブ戦略はぶれることはありませんが、技術や時代に合わせてPCからiCloudへ移行しているのです。iCloudを使っていてすごいと思うのは、一度設定しさえすれば「勝手に同期される」ことです。これまでのようにPCとデバイスとつなげるという手動での同期をする必要がなく、ほんと便利です。

とは言うものの、ハブをPCからiCouldにするという変化はまだまだ移行期にあると感じます。iOS5へのアップデート後に実際にiCloudを使っていますが、アプリの取り込みやバックアップの実行は依然としてPC経由でやることもあります。つまり、今のところハブはPCとクラウドの2つが併存している。ハブがiCloudに切り替わるのはまだ少し時間がかかりそうです。

■アンサーエンジンとなるSiri

iPhone4Sから追加された目玉機能のSiri。Siriは音声アシスト機能で、iPhoneに向かって話しかけることで、いろんなことを実行してくれます。行きたい場所へのナビゲートだったり、かけたい人に電話をつなげてくれたり、天気も教えてくれます。このように、単に人の音声を認識するだけではなく、実際にデバイスが動き、ユーザーが求めている答えを返してくれるのです。

Siriの登場で音声アシストの世界が活性化してくるように思います。例えば、「iris. (alpha)」というAndroidアプリ。これもSiriと似たようなアプリです(実際に使ったことはないのですが)。ちなみに、名前がSiriを逆さに読んだものになっており、Siriを意識したアプリだと感じます。
『iris. (alpha)』~iPhone 4Sの「Siri」機能がAndroidに登場!?音声アシスタント機能を体験~|andronavi

(特殊な機能や技術を除いて)普通の人がPCや携帯電話を操作するにはキーボードや画面に触れることで実行していました。TVやラジオなどほとんど全ての家電も含め、リモコンやボタンを押すのは指です。それがSiriでは声により動かすことになる。音声でユーザーの意図を伝え、コンピュータがそれを認識し意図を解釈する。そして、ユーザーが求めている答えを返す。Siriは検索エンジンならぬ、アンサーエンジンとなっていく可能性を持っており、ここに未来を感じます。

また、SiriにはiPhone以外にも色々と活用できる可能性があります。例えば、現在開発中と言われるアップルのテレビであるiTV。ここでは、Siriをリモコンの代わりに操作するために使われるのではという噂もあります。

■最後に

以上を整理すると、iCloudはアップルの次のデジタルハブ戦略の主役を担う存在であり、Siriはデバイスに話しかけ必要な情報を得るというアンサーエンジンです。iCloudとSiriという新しい機能が2つ追加されたiPhone4Sは、後から振り返った時にアップルの転換点だったと言われる製品になるように思っています。


※参考情報

「iPhone 4S」の顧客満足度、iPhone史上最高の96%に――ChangeWave調べ|ITmedia ニュース
Survey Finds 96% of Customers Satisfied with iPhone 4S|MacRumors
New Owners Survey Shows iPhone 4S More Popular than its Apple Predecessor|ChangeWave Research
iCloudで携帯電話以来の大変化が起こる...それは未来のコンピューティング|ギズモード・ジャパン
『iris. (alpha)』~iPhone 4Sの「Siri」機能がAndroidに登場!?音声アシスタント機能を体験~|andronavi

投稿日 2011/11/27

公式伝記「スティーブ・ジョブズ」から読み解くアップルのマーケティング哲学

Steve Jobs先週は1週間の休みを取り、ペルー旅行(メインはマチュピチュやナスカの地上絵)に行ってきました。ペルーは日本から見て地球の裏側に位置し、移動はさすがに長時間になりました。ペルーへ行くだけでも成田-LA-リマ(ペルー)と、乗り継ぎ時間も合わせると24時間を超えます。そんな長いフライト時間だったのであらためてゆっくり読めたのはスティーブジョブズの伝記でした。(スティーブ・ジョブズ Ⅰスティーブ・ジョブズ Ⅱ

■What creative people could do with the computers

ジョブズの生き方、人生観はすでに過去にエントリーしています。
あらためて考えさせられるスティーブ・ジョブズの死生観|思考の整理日記
スティーブ・ジョブズの死生観とシンプルへの追及|思考の整理日記

伝記を読みそれ以外で印象的だったのは、アップルがMac、iPod、iPhone、iPadなど世界を変えることになる製品を次々に世の中に送り込んだストーリーでした。私自身が新規事業開発のプロジェクトに参画していることもあり、開発経緯の話がおもしろかったです。本書で、特に印象的だったフレーズがあります。

It was designed to celebrate not what the computers could do, but what creative people could do with the computers.
焦点をあてるべきは、コンピュータになにができるかではなく、コンピュータを使ってクリエイティブな人々はなにができるか、だ。

(英文は原作より。訳は日本語版(Ⅱ)p.74より)
※ちなみに、原作は手元にないのですが、ペルーへの乗り継ぎ地点のLA空港の売店に原作本が売っており、せっかくなので上記の文章をお土産に帰ってきました

この表現はアップルの考え方をとてもよく表していると思います。普通であれば「コンピュータになにができるか」、つまり自分たちがつくったものの機能や特徴をユーザーに最大限アピールすることに注力します。しかし、アップルのやっていることはもう1歩踏み込んだところまで考え、実行しています。それが「コンピュータを使ってクリエイティブな人々はなにができるか」。すなわち、単に機能だけを伝えるだけではなく、どんな人たちが使うかを想定し、そのユーザーがどうやって手に取り、さらには利用シーンや使用目的までも考えるのです。だから、「コンピュータになにができるか」にとどまらず、「人々になにができるか」まで力を注ぐ。言い換えれば、アップルはユーザー体験にまで焦点を当てている。スティーブジョブズの伝記では、ジョブズが「ユーザーのことを考えるから、体験全体に責任を持ちたい」という言葉が紹介されています。おそらく、アップルではプロダクトの設計や開発段階からユーザー体験まで深く議論をしているのではないかと思います。

アップルがユーザー体験を重視する考え方は、例えばiPadのCMでもまさにその通りのメッセージを私たちに訴えています。iPadというデバイスが主役ではなく、あくまでユーザーがiPadを使って何ができるかを伝えようとしているように思います。

iPad2 CM 日本版 2 Apple|YouTube

■アップルのエコシステムとユーザー体験

音楽プレイヤーのiPodの開発でもユーザー体験を重視する姿勢が描かれていました。iPodをリリースする前、ジョブズたちは既存の音楽プレイヤーが複雑でとても使いにくと思っていました。もっとシンプルに、もっと使いやすく。そして結論はPCの中にあるiTunesをハブとし、iPodを同期させることでした。iPodはあくまで衛星的な存在であり、曲のプレイリスト作成などの機能をiTunesのみで可能とし、iPodには同期させるだけ。iPodでできることをあえて制限したのです。ジョブズはこの形を「複雑な部分をあるべき場所に移ってゆけた」と表現します。

PCを「デジタルハブ」とするビジョンをジョブズが描いたのは2001年でした。音楽プレイヤーだけではなく、その後のiPhoneやiPadもPCと同期させるという関係性をつくります。PCを中心としたエコシステムであり、とてもうまくコントロールされているのです。

ところがジョブズ自らがこのエコシステムを壊していくことになります。デジタルハブと置いたPCを他のデバイス同様のレベルに降格させ、替わりにデジタルハブとして位置付けたのがクラウドでした。伝記にはクラウドをハブとする構想は2008年ごろに抱いていたことが書かれ、そして2011年6月のWWDC(世界開発者会議)の講演で新しいサービスであるiCloudとして発表されます。2000年代がPCであり、次の2010年代はクラウドがハブとなるのでしょう。アップルのデジタルハブという戦略はぶれることはありませんが、技術や時代に合わせてPCからクラウドに自らで移行しているのです。それもこれも、より使い勝手のよいサービスにしたいという思いから。ハブをクラウドにするという変化の底にはユーザー体験があるのです。

■「全てが一体となって機能する」というアップルのコンセプト

とはいえ、ハブをPCからiCouldにするという変化はまだまだ移行期にあると感じます。iOS5へのアップデート後に実際にiCloudを使っていますが、アプリの取り込みやバックアップの実行は依然としてPC経由でもやっています。今のところハブはPCとクラウドの2つが併存している。この状況はジョブズの言う「抜群の使い勝手」にはもう一歩という感じです。

iPhone、iPadなどのアップルの製品を使っていて感じるのは、「全てが一体となって機能する」使いやすさです。PCに入っているiTunesを中心にしていた世界では、同期させるのは手動でつなげる必要がありました。これがデジタルハブという中心が完全にiCloudになる時、気づけば全てが一体となっているはずです。勝手に同期してくれる分、人々は「なにができるか」に集中できます。「コンピュータになにができるか」ではなく、「人々になにができるか」。これからのアップルにもこの姿勢を期待したいです。


※参考情報

あらためて考えさせられるスティーブ・ジョブズの死生観|思考の整理日記
スティーブ・ジョブズの死生観とシンプルへの追及|思考の整理日記
iPad2 CM 日本版 2 Apple|YouTube
iCloudで携帯電話以来の大変化が起こる...それは未来のコンピューティング|ギズモード・ジャパン

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投稿日 2011/10/29

高機能一辺倒へのテレビにはあまりワクワクしなくなったので、そろそろ次のテレビに期待したい

先日の24日にスティーブ・ジョブズ公認の伝記が発売されましたが、書かれていた内容で話題を呼んでいたのは、ジョブズがTVへの取り組みに強い意欲を持っていたことです。
Jobs's final plan: an ‘integrated’ Apple TV|The Washington Post

■ジョブズのTVへの熱意

書かれていたことは確かに興味深いものでした。ワシントンポストから引用したものがこちら。
“He very much wanted to do for television sets what he had done for computers, music players, and phones: make them simple and elegant,” Isaacson wrote. (引用者注:Isaacson氏はジョブズ公認伝記の著者)
Isaacson continued: “‘I’d like to create an integrated television set that is completely easy to use,’ he told me. ‘It would be seamlessly synced with all of your devices and with iCloud.’ No longer would users have to fiddle with complex remotes for DVD players and cable channels. ‘It will have the simplest user interface you could imagine. I finally cracked it.’”
これを読むと、ジョブズはコンピューター(Mac)・音楽プレイヤー(iPod)・携帯電話(iPhone)で成し遂げた、シンプルでエレガントなユーザー体験をテレビでも実現したいという熱意を持っていたことがうかがえます。ユーザーが持っているiPhoneやiCloudとも連携させることも構想していたようです。とにかくシンプルで、誰でも使えるようなテレビです。

そして最後にこう言っています。「I finally cracked it(その方法がついにわかった)」。crackというのは、この文脈では「暗号を解読した」みたいなイメージですが、ジョブズがこのように言ったとすればかなり具体的なイメージを描いていたのではないかと思います。ただ、「その方法」がどんな内容なのかは残念ながら、今回のジョブズの伝記には書かれていなかったようです。

■What is "I cracked it" for the next TV?

では、ジョブズはどのようなテレビを思い描いていたのか。上記のジョブズの言葉の中にはTVのリモコンについて不満を抱いていたことがわかります(No longer would users have to fiddle with complex remotes for DVD players and cable channels)。となると少なくともリモコンはもっとシンプルで使いやすいものになるはず。余分なものを徹底的にそぎ落とし、本当に必要なものだけしか残さないジョブズの哲学にも近い考え方です。

とすると、iPodのような本当に必要なボタンだけしかないリモコンになるのでしょうか。確かにそれは十分にあり得ることだと思います。自分の家にあるTVのリモコンを思い浮かべると、本当にたくさんのボタンがあるのに実際に使うボタンは最低限に限られます。中には一度ども押したことのないボタンもある。そういうのを割り切って削っていけば、かなりシンプルなリモコンにできそうなものです。

テレビを操作するのに別にリモコンではなくてもいいのでは、という発想で考えると違ったテレビのコントロールの仕方もでてきます。それがiPhone4Sで搭載された音声認識のSiri。つまり、直接テレビに話すことでコントロールするという考え方です。このSiriについては、実際に海外のブログとかを読んでいると、TVへの統合への期待がかなり高い印象を持ちました。Siriについてはまだ実際に使ったことがなく、YouTubeや使った人の書いたブログとかを読んだ印象ですが、「明日の天気は」「○○に行くにはどう行ったらいい」という質問にも的確に回答するなど、なかなかおもしろそうな機能です。Siriは単に人間の話した言葉を正確に聞き取ることだけではなく、質問やリクエストを理解しその答えを提案するというのは、既存のボイスメモやボイス検索とは大きく異なると思います。テレビにSiriがあれば、「野球が見たい」と言えば野球中継を映してくれ、もしかすると、「ちょっと退屈なので何か笑える番組を見たい」とテレビに話しかければ、ユーザーの好みや過去の視聴履歴などから、その人に合った番組を提案してくれるかもしれません。人によっては漫才などのお笑いかもしれないし、別の人には落語なんてことも。そこには、TV番組欄を見て今の時間に何がやっているかとか、適当にチャンネルを変え見たい番組を探すザッピングなどはもはや不要です。

音声認識のSiri以外だと、アップルは離れたデバイスを動かすのにジェスチャーを使うことを研究しているという話もありました。これも既存のリモコンだけに比べて、テレビの使い勝手を大きく変えてくれるかもしれません。ただ、SiriはすでにiPhone4Sに実装されていることに比べ、こちらはまだ少し先の話になりそうですが。
Apple exploring 3D gestures to control devices from a distance|AppleInsider

■そろそろフレームを変える時

あらためて考えてみると、今私たちの身の回りにあるテレビへの操作は、ほぼ100%リモコンを使っています(リモコン以外だと主電源のON/OFFくらい)。その状況でいろんな機能が次々に追加される一方でリモコン操作という形式が変わらなかった結果、とても使いにくいリモコンになってしまいました。とにかくボタンが多い割に実際に使うボタンは多くなく、わかりにくく使いづらいのです。

ところが多くのテレビメーカーはそこにはあまり注力していなく、より大きく、高画質な美しい画面、あるいはそれ専用の眼鏡を用意し3Dという立体的に見ることができる画面を実現し、ユーザーに提案してきています。これはよりいい機能を追加するという足し算の発想ですが、本当にそこにユーザーのニーズがあるのかは個人的には疑問です。さらなる高性能よりも利便性なのではないでしょうか。

番組配信の仕方もアップルは変えるのかもしれません。iCloudとも連携するということは、単に放送される番組を見るだけではなく、過去の番組も含めて見たい番組を見たい時に、その状況に適切なデバイスで見られるようになるのでしょう。家で見る時はリビングのアップルTVで、自分の部屋のベッドではiPadで、電車で続きを見る時はiPhoneで、といった感じで、アップルが得意とするユーザーに必要以上の設定をさせることなく、全ての端末が一連となって機能する仕組みです。

直感的な操作性に優れたテレビ、自分の好きな番組を好きなように見られるという、ユーザーにとって何が本当に価値があって、それに対して自分たちが提供できることは何か、これを徹底的に考え抜いた結果、ジョブズの頭にはすでにそのテレビは完成していたのではないでしょうか。

■次のテレビへの期待

こんな情報がありました。次のアップルTVは2012年あるいは13年頃にリリースされるというものです。
Apple Could Release TV Set in 2012 [REPORT]|Mashable
Apple Looking to Launch Siri-Enabled Television Set by 2013|MacRumors

アップル以外にも、グーグルとTVの話題も見かけました。方向性はアップルTVと似ており、シンプルにし利便性を高めるというものです。
An Update on Google TV|Google TV
Google TV gaining Android Market, simpler interface with new update|AppleInsider

昨今はTV離れが言われ、実際にそうしたことを示すデータを見かけることもありますが、少なくとも自分の身の回り、家族だったり、ツイッターやフェイスブックを見ていると、テレビの話題で盛り上がっていることが少なくありません。なんだかんだでテレビって、みんな好きなんだなと感じます。そんなテレビでイノベーションが起こるのか、そしてそれが私たちとテレビの関わりを変えてくれるのか。近い未来にその答えがわかる日がやってくるのかもしれません。


※参考情報

Jobs's final plan: an ‘integrated’ Apple TV|The Washington Post
Apple exploring 3D gestures to control devices from a distance|AppleInsider
Apple Could Release TV Set in 2012 [REPORT]|Mashable
Apple Looking to Launch Siri-Enabled Television Set by 2013|MacRumors
An Update on Google TV|Google TV
Google TV gaining Android Market, simpler interface with new update|AppleInsider


投稿日 2011/10/10

あらためて考えさせられるスティーブ・ジョブズの死生観




2011年10月5日、スティーブ・ジョブズが亡くなりました。

おそらく多くの人がそうであったように、第一報を知った時はにわかには信じられませんでした。

ツイッターのタイムラインはジョブズのことで埋まり、海外のニュースやブログも次々に報じてました。そしてアップルが同社の HP 上に掲載した内容を見た時、ようやく現実だとわかりました。「Steave Jobs 1955-2011」と終止符が打ってあったからです。

その日以来、ジョブズに関する様々なブログやニュース記事を読みました。普段は通勤中などある程度まとまった時間がある時は本を読んでいます。先週後半はジョブズ関連の記事が中心でした。それくらいいろんな人たちがジョブズについてあらためて取り上げていたので、目にとまりました。

読んだものとしては海外のものが多かったですが、日本語でもIT系のブログではそれまで自分が知らなかったジョブズのエピソードがいくつか書かれていました。あらためてジョブズのことを知ることができる記事もよかったです。

多くのジョブズ関連の記事や動画の中で、最も印象に強く残っているのが、2005年に米国スタンフォード大学卒業式の祝賀式で卒業生に向けて行われたジョブズのスピーチでした。

Text of Steve Jobs' Commencement address (2005) |STANFORD UNIVERSITY

■ Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005

スピーチ内容は、ジョブズの生き方や考え方のベースになっている人生観そのものだと思います。上記のリンクはスタンフォード大のHP上に掲載されているスピーチ原稿です。できれば英語原稿のまま一読されることをおすすめしますが、日本語の字幕付き動画や日本のブログでも日本語訳が取り上げられているので、こちらでもいいかもしれません。

Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(1)|YouTube(日本語字幕付き動画1)
Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(2)|YouTube(日本語字幕付き動画2)
スティーブ・ジョブスの魂。STAY HUNGRY, STAY FOOLISH|ASSIOMA(スピーチの日本語訳)

このスピーチは相当有名なのでご存知の方も多いと思いますが、内容を自分なりに整理すると次のようなものです。

  • 起:点と点をつなぐ(バラバラの経験であっても将来それが何らかのかたちで繋がる)
  • 承:好きなことを仕事にする
  • 転:ジョブズの死生観
  • 結:卒業生へのメッセージ 「Stay hungry, stay foolish.」

■ ジョブズの死生観

このスピーチの中で最も強い印象に残ったのが、ジョブズの死生観でした。

ジョブズは17才の時、次の言葉を知り衝撃を受けたと言います。「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう」。

その後、ジョブズは毎朝欠かさずに鏡の中の自分と対話をするようになります。「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日の予定は、本当に私のやりたいことだろうか?」と。この質問に対する答えが「No」という言う日が続くと、そろそろ何かを変える必要があると考えたそうです。

スピーチでは、すい臓ガンを患い発見した際には医師たちから余命が3-6ヵ月であると告げられたことも触れています。これをジョブズは「死の支度をしなさい」と受け取ります。しかし、その後の診断で、この時のジョブズの腫瘍は極めて稀な形状で手術をすれば治せるものだったようで、無事に成功しています。

ジョブズの死への考え方が印象に残ったのは、「死は我々全員が共有する終着点」と捉えており、さらには「死はおそらく生が生んだ唯一無比の最高の発明品」としていたからです。死によって、古きものを一掃して新しきものに道筋を作っていく働きのあるものと言います。

毎朝、今日という日を人生最後の日だと考える、つまり、自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思うこと。ジョブズはこれまで人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す最も大きな助けになったとスピーチで語っていました。

■ 死への絶望という記憶

私自身はここまで明確な死生観を持っているとは思いません。それでもジョブズのスピーチの中で印象に残り、かつ共感した部分は間違いなく死についてのところでした。

日常生活のちょっとしたタイミングで自分の死を意識することがあります。朝玄関を出た時に、ふと今日自分が死ぬともうこの家には帰ってこないと思ったりするといったようにです。

初めて死を意識した幼稚園か小学校に入学した頃くらいの時でした。ちょうどその前に、「人は死ぬともう二度と生き返ることはない」ということを教わりました。

それよりも以前は死ぬことについては知っていたものの、なんとなく時が立てば生き返るものだと勝手に思っていました。それが、死んでしまうと、どれだけ時間がたっても永遠に生き返ることはない、この「永遠に」という時間に終わりがないという意味が幼いながらに分かった時に、初めて絶望的な気持ちになったことを今でもよく覚えています。

しばらくは自分の親や兄弟、友達とか先生には絶対に死んでほしくなかったし、何よりも自分がいつか死んでしまうことがとても怖かったです。夜になるとついそのことを考えてしまい、朝方まで寝られなかったことは一度や二度ではなかったように記憶しています。

それでもまだ小さい子どもだったので、学校が楽しかったりだとかでいつの間にか深刻に思いつめることはなくなりましたが、ふとしたタイミングで思い出すのは前述の通りです。

ジョブズがスピーチで言った、自分の死を意識することで人生の岐路に立った時に決断する手がかりになるということはわかります。人生は一度きりであり、変な迷いがなくなり、そう思うことで吹っ切れます。

だから、ジョブズのスピーチが印象に残ったのです。さらに、ジョブズが亡くなった直後というタイミングでした。ジョブズの死生観の部分が最も印象的だったのは必然だったのかもしれません。

■ Focused on his family first

ジョブズは毎朝欠かさずに鏡の中の自分に問いていました。「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日の予定は、本当に私のやりたいことだろうか?」と。ジョブズが亡くなった後に読んだいくつかの記事の中に、以下がありました。

Steve Jobs knew his time was short, focused on family first|AppleInsider

そこには、自分の余生が残り少ないことを悟ったジョブズは、その時間を最も大切なこと-ジョブズの最愛の妻と子どもたちと過ごす時間に費やしたと書かれていました。ジョブズに残されていた時間が愛する家族との素晴らしい時間だったことを願うばかりです。


※参考情報
Remembering Steve Jobs|Apple
Thanks, Steve|jonathan mak
Text of Steve Jobs' Commencement address (2005) |STANFORD UNIVERSITY
Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005|YouTube
Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(1)|YouTube
Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(2)|YouTube
スティーブ・ジョブスの魂。STAY HUNGRY, STAY FOOLISH|ASSIOMA
「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳|日本経済新聞
Steve Jobs knew his time was short, focused on family first|AppleInsider
スティーブ・ジョブズの死生観とシンプルへの追及|思考の整理日記


投稿日 2011/09/04

スティーブ・ジョブズの死生観とシンプルへの追及


2011年8月24日、スティーブ・ジョブズがアップルCEOを退任することを明かしました。その内容はアップル全社員に宛てた短いメールに書かれていましたが、アップル社員だけではなく世界の人々にとってニュースとなりました。

■ Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005

アップルのCEOという立場から退いた今、あらためて考えさせられたのがこれでした。2005年に米国スタンフォード大学卒業式の祝賀式で卒業生に向けて行ったスピーチです。

Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005|YouTube
スティーブ・ジョブスの魂。STAY HUNGRY, STAY FOOLISH|ASSIOMA(日本語訳)

あらためてスピーチ内容を見ると、ジョブズの原点というか、生き方や考え方のベースになっている内容だと思いました。このスピーチは相当有名なのでご存知の方も多いと思いますが、内容を整理すると次のようなものです。

  • 起:点と点をつなぐ(バラバラの経験であっても将来それが何らかのかたちで繋がる)
  • 承:好きなことを仕事にする
  • 転:ジョブズの死生観
  • 結:卒業生へのメッセージ 「Stay hungry, stay foolish.」

■ ジョブズの死生観

このスピーチの中で最も強い印象に残ったのが、ジョブズの死生観でした。

ジョブズは17才の時、次の言葉を知り衝撃を受けたと言います。「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう」。

その後、ジョブズは毎朝欠かさずに鏡の中の自分と対話をするようになります。「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日の予定は、本当に私のやりたいことだろうか?」と。この質問に対する答えが「No」という言う日が続くと、そろそろ何かを変える必要があると考えるのだそうです。

スピーチでは、すい臓ガンを患い発見した際には医師たちから余命が3-6ヵ月であると告げられたことも触れています。これをジョブズは「死の支度をしなさい」と受け取ります。

しかし、その後の診断で、この時のジョブズの腫瘍は極めて稀な形状で手術をすれば治せるものだったようで、無事に成功しています。

ジョブズの死への考え方が印象に残ったのは、「死は我々全員が共有する終着点」と捉えており、さらには「死はおそらく生が生んだ唯一無比の最高の発明品」としている点です。死によって、古きものを一掃して新しきものに道筋を作っていく働きのあるものと言います。

毎朝、今日という日を人生最後の日だと考える、つまり、自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思うこと。ジョブズはこれまで人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す最も大きな助けになったとスピーチで語っています。

私自身も、ここまで確固たる死生観とはいかないものの、日常生活のちょっとしたタイミングで自分の死を意識することがあります。朝玄関を出た時に、ふと今日自分が死ぬともうこの家には帰ってこないと思ったりします。特にこれは東日本大震災の後はいつもよりも自分の死を意識する頻度であったりリアリティが強くなりました。

ただ、その後は仕事で忙しかったりするとかで自分の死が頭から離れていくこともあり、時々しか頭をよぎらなくなるのですが。ジョブズの言う、自分の死を意識することで人生の岐路に立った時に決断する手がかりになるということはわかる気がします。人生は一度きりというか、変な迷いがなくなり、そう思うことで吹っ切れます。

■ 本当に必要なこととシンプルさ

ジョブズに戻します。ジョブズは死を意識するとともに、今やっていることが「本当に自分のやりたいこと」かどうかを自問します。おそらく、アップルのCEOをやめる決断をしたことも、これと同じプロセスを踏んだのだと思います。

自分のやりたいこと・大切なことにフォーカスするということは、裏を返せば不要なことは除外するということになります。本当に必要なことだけを取り組む、あるいは残すという考え方は、突き詰めていけば「シンプルさ」にいきつきます。

今自分の手元には、ジョブズのつくり出したiPhoneとiPadがあります。

あらためて手に取り、その他のITや家電製品と比べるとその形状のシンプルさが際立ちます。iPadの正面にはホームボタンというたった1つのボタンがあるだけです。側面を合わせてもスリープボタンなどボタンやスイッチ部分は5つのみです。

本当に必要な機能に極限まで絞り込んだ結果だと思いますが、ここにジョブズの哲学を感じることができます。

徹底してシンプルを追及すること、それはつまり本当に必要なことだけを取り組む姿勢、その背後にはジョブズの死生観があります。ジョブズの功績は、複雑性が増す現代社会で「シンプル」なプロダクトとユーザー体験によって世界に驚きを与え続けたと言えるのではないでしょうか。


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。