2019/05/26

書評: GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭) 。8社を俯瞰した分析から見えてくる本質




今回は書評です。ご紹介したい本は、GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭) です。





  • 何が書かれている本?
  • どんな視点でおもしろく読める?
  • 覚えておいて損はない孫子の競争戦略フレームとは?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、本書の概要、どんな視点で興味深く読めるか、読んで考えさせられたことです。

この本は、米中の最先端のプラットフォーム企業の8社 (GAFA と BATH) について、俯瞰して理解できる内容です。この記事も参考に、ぜひ読んでみてください。


この本に書かれていること


本書は、GAFA と BATH の8社を体系的に分析しています。

読んでいくと、世界最先端のプラットフォーム企業が何を目指し、どんな事業をし、どのような近未来をつくっていくのかが見えてきます。

事業内容、どんな特徴の会社なのか、各社の共通点と相違点がよくわかります。

以下は、本書の内容紹介からの引用です。

米中新冷戦時代、全産業のルールをこの8社が塗り替える!

◎GAFA (グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)
◎BATH (バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)

話題の米中巨大テクノロジー企業 (メガテック) 8社の全容と戦略を、1冊で平易に完全理解できる初めての本!もはやこの8社なしにビジネスは語れない!

なぜすごいのか。何がすごいのか。これならわかる!


興味深く読めた視点


この本が興味深く読めたのは、以下の2つの視点からです。


興味深く読めた視点
  • GAFA と BATH を俯瞰して見えてくるもの
  • 競争戦略フレームワーク (孫子の兵法の応用)


それぞれについて、ご説明します。


[興味深かった 1] GAFA と BATH を俯瞰して見えてくるもの



8社それぞれで、何の事業でスタートしているかを見ると、2つのペアになります。


GAFA x BATH の事業の成り立ち
  • 検索からのグーグルとバイドゥ
  • ハードウェアデバイスからのアップルとファーウェイ
  • SNS からのフェイスブックとテンセント
  • EC からのアマゾンとアリババ


それぞれのペアはスタートが同じでも、その後の事業の進化は必ずしも同じではないのが興味深いです。

例えば、ソーシャルネットワークから始まったフェイスブックとテンセントです。

フェイスブックの以前のミッションは、「世界をよりオープンにし、人と人とをつなげる」 としていました。その後、ミッションはアップデートされ、「人々がコミュニティをつくる力を提供し、つながりを密にする」 となりました。

フェイスブックが目指しているのは、人々のつながりを強くすることです。

一方のテンセントです。テンセントについて本書で印象的だった表現は 「テクノロジーの総合百貨店」 です。

テンセントのミッションは生活クオリティを上げると掲げており、多岐にわたるサービスや事業を展開しています。具体的には、デジタルコンテンツ、ゲーム、金融サービス、クラウドサービス、自動運転、医療サービスです。

フェイスブックはソーシャルネットワークの源流のまま、テンセントはソーシャルをベースに多様な事業を展開しているのです。


[興味深かった 2] 競争戦略フレームワーク (孫子の兵法の応用)


この本で GAFA と BATH の分析には、ある競争戦略フレームが使われています。孫子の戦略を応用した5つで、道、天、地、将、法です。

それぞれは、以下となります。


競争戦略の 「五事」
  • 道:ビジョン、ミッション、バリュー。特にミッションを重視
  • 天:機会、どんな時流に乗っているか。なぜ今か?
  • 地:事業領域。どこで戦うのか?
  • 将:トップリーダーのリーダーシップ
  • 法:事業領域やビジネスモデル。どう戦うか?


この5つのフレームを8社に当てはめることによって、体系的な分析がされています。共通フレームなので、比較が見えやすく GAFA と BATH の理解が深まります。

具体的な例で、5つを当てはめてみます。私の前職でもあるグーグルは、次のようになります (2019年5月現在) 。


グーグルの 「五事」
  • 道:ミッション 「世界中の除法を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」
  • 天:AI の民主化、オープンエコノミーの推進、多様性の重視、情報を整理するテクノロジー
  • 地:AI 領域。デジタル x AI
  • 将:CEO スンダー・ピチャイのリーダーシップ (思いやり愛されるリーダー)
  • 法:プラットフォーム & エコシステム。検索・地図・動画など、自動運転やスマートシティ。収益構造の多くは広告


この5ファクターのフレームワークは、仕事でも使えます。覚えておいて損はない競争戦略の切り口です。


思ったこと (分析の本質)


この本を読んであらためて思ったのは、分析についてです。

いきなりですが、分析の本質とは何だと思いますか?

私が思う分析とは 「比較」 です。

比較のポイントは、何かと何かを、どんな切り口で比べるかです。

本書で言えば、切り口とは、
  • 8社の最初の事業領域で、4つのペアから整理 (8 = 2 x 4)
  • 孫子の 「五事」 という競争戦略フレーム

ものごとは、比較をすることによって見えてきます。GAFA と BATH が相対化され、共通点と相違点がわかります。

共通点とは、プラットフォーム、デジタル化、カスタマーエクスペリエンス重視です。1社単独では見えないことも、同じフレームによって俯瞰した理解ができます。

分析で終わらずに、では日本はどうするか、自分たちはどう対応していけばいいかも考えさせられる本です。


まとめ


今回は、書籍 GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 をご紹介しました。

最後に今回の記事のまとめです。

  • この本は GAFA と BATH の8社の全容と戦略を体系的に分析。世界最先端のプラットフォーム企業が何を目指し、どんな事業をし、どのような近未来をつくっていくのかが見えてくる。
    分析で終わらずに、では日本はどうするか、自分たちはどう対応していけばいいかも考えさせられる本

  • 興味深く読めた視点は、
    • GAFA と BATH を俯瞰して見えてくるもの
    • 競争戦略フレームワーク (孫子の兵法の応用)

  • GAFA と BATH の分析には、ある競争戦略フレームが使われている。孫子の戦略を応用した5つで、道、天、地、将、法。
    • 道:ビジョン、ミッション、バリュー。特にミッションを重視
    • 天:機会、どんな時流に乗っているか。なぜ今か?
    • 地:事業領域。どこで戦うのか?
    • 将:トップリーダーのリーダーシップ
    • 法:事業領域やビジネスモデル。どう戦うか?

  • この本を読んであらためて思ったのは分析について。分析の本質は 「比較」 。比較のポイントは、何かと何かを、どんな切り口で比べるか。GAFA と BATH が相対化され、共通点と相違点がわかる




GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略 (田中道昭)

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書いている人 (多田 翼)

複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略のコンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネージャー、マーケター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。note も更新しています。

内容は個人の見解です。