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投稿日 2011/10/16

TVのながら見とマルチタスク

アメリカ調査会社のニールセンがある調査結果を発表していました。
40% of Tablet and Smartphone Owners Use Them While Watching TV|Nielsen

■TV視聴中のスマホやタブレット使用状況

それによると、タブレットPCを持っている人のうちおよそ4割の人がTVを見ながらタブレットを同時に使用しているそうです。スマートフォン所有者も同様で、一方で、TV視聴中に使ったことがないのは12-13%程度という結果になっています。

引用:40% of Tablet and Smartphone Owners Use Them While Watching TV|Nielsen

なお、数字だけ見るとなかなか興味深い結果が出ているのですが、この調査がどういう人たちから得られたデータなのか(たぶんアメリカ人だとは思いますが)、母数が何人なのか、年齢や男女構成比など、詳細情報が載っていなかったのが残念です。これらの基本情報以外にも、そもそも毎日TVを見る人がどれくらい存在するのか、タブレットやスマホの所有率など、上記の数字を見るにあたっての前提もあるとよかったなと思います。詳細情報は個別での問合せフォームが用意してあるので、そこから入手できるのかもしれませんが。

というわけで、調査結果の数字を見るうえで前提情報が不足していてやや気持ち悪い感は残るのですが、上記グラフの下段の横棒グラフでは、タブレット&スマホ所有者がTVを見ながら実際に何をしているかの結果が出ています。最も多いアクションとして、TV番組やCM中にメールをチェックすることが挙がっており、次いで番組やCMと関係ないサイト等を見ていたり、SNSを使っていたりするようです。

これらに比べて比率としては小さいのですが、番組に関する情報検索が29%、流れたCMの商品についての情報検索が19%となっているのには少し驚きました。特に、後者の見たCMに興味を持ち、詳しい情報を探すのが2割弱もいる。この人たちがその後にどういった行動を取るのか、例えば詳細情報を見ただけで終わるのか、見つかった情報をSNS等でシェアするのか、あるいは記憶に残り実際に買うことになるのかは気になるところです。

■TVのながら見とマルチタスク

ニールセンの調査は、TVを見ながらタブレットやスマホを使うという「マルチタスク」がどれくらいされているかの調査です。自分自身のことを振り返ってみると、ノートブックPCだけだったころは、そういえばTVとPCという状況はそんなにありませんでしたが、TVを見ながらiPhoneやiPadを使うという行動はかなり普通にするようになりました。ただ、正確に言うと手元でiPadを使っている時はTVからの音はあまり頭に入っておらず、実際のところは本当に「マルチタスク」かと言うと、ちょっと疑問だったりもします。感覚的には、TVの内容と関連のあることならまだしも、番組やCMとは無関係な情報をiPhoneやiPadで見ている場合はほぼシングルタスクと言っていい状況に思います。

このマルチタスクについて、Dener大学のJim Taylor博士によると以下の2つが満たされる場合は有効であるとしています。
・どちらか一方のタスクは集中する必要がない
・各タスクを行なうために使う脳の部分が異なること
Technology: Myth of Multitasking|Psychology Today

どういうことかと言うと、例えば、クラシック音楽を聞きながらの読書は効果があるものの、歌詞のある音楽を聞きながらの読書では、どちらも脳の言語処理が必要になるためにマルチタスクにはならないそうです。もっとも、個人的な感覚としては歌詞付きの曲でも歌詞の部分も単なる音として(歌詞の意味をほとんど気にしない状況)聞いている状態では、読書の邪魔にはならないようにも思いますが。

ニールセンの調査結果に話を戻しますが、このマルチタスクへの指摘を踏まえると、番組やCMの最中にTVはついていても実際はメールチェックや無関係なサイト閲覧をされるというのは、一見マルチタスクな状態かもしれませんが、実質的にTVを視聴されていないのと同じ状況です。TV番組制作側やTVCM広告主にとっては望ましい視聴状態ではないことは言うまでもありません。コンテンツ配信側としては、いかに視聴者の興味を引き付けられるか、あるいは、放送内容と関連するフェイスブックやツイッター等のSNSとの連携をいかに設計でき、TVだけで終わらない水平展開が今まで以上に必要になってきそうです。


※参考情報

40% of Tablet and Smartphone Owners Use Them While Watching TV|Nielsen
How People Use Smartphones and Tablets While Watching TV [STUDY]|Mashable
Technology: Myth of Multitasking|Psychology Today
Why Multitasking May Make You Less Productive|Mashable


投稿日 2011/01/23

ポケベルのブームとソーシャルという功績




2011年の今から15年前の1996年当時、女子高生を中心に大ブームを巻き起こしていたのが、ポケベルことポケットベル (無線呼び出し) でした。

今回のエントリーでは、ポケベルを取り上げます。ポケベルブームの背景、当時の状況、ポケベルの功績は何だったのかを書いています。
投稿日 2010/12/24

スマートフォンって何だろう?

日本経済新聞社が毎年発表している日経MJヒット商品番付で、2010年の東の横綱はスマートフォンでした(表1)。2010年の今年を振り返ってみると、ソフトバンクからはiPhone4、ドコモからXperia、Galaxy sが発売され、auからも待望のスマートフォンであるIS03が登場しました。

日本経済新聞から引用

■スマートフォンの需要増加と活用範囲拡大

今後のスマートフォン需要増加を示唆するデータを見てみます。野村総研の調査報告によれば、国内の携帯電話端末市場におけるスマートフォンは今後も伸び続けるようです。09年度の携帯市場は需要が落ち込んだようですが、10年度以降はスマートフォンが牽引し15年度は10年度比で携帯電話出荷台数が43%増。15年度の出荷台数のうちスマートフォンは70%を占めると予測しています。ちなみに10年度上期のデータですが、携帯出荷台数のスマートフォンシェアは11.7%とのこと(MM総研)。まとめると、ざっくりと言ってしまえば、スマートフォンは携帯市場全体を拡大させ、かつ出荷台数シェアが7倍に増えるのです。

次にスマートフォンの活用範囲拡大について。日経トレンディ12月号で、これまた毎年恒例の来年のヒット商品を予測する「2011年ヒット予測ランキング」が掲載されていました。1位が「得するジオゲーム」、そして3位が「スマホリンク家電」で、ともにスマートフォンに関係するものです。

まず1位のジオゲームですが、foursquare(フォースクエア)やコロプラ(コロニーな生活☆PLUS)などによる位置情報を活用したサービスで、これにSNSなどのソーシャル性や飲食店などの割引クーポン、あるいは旅行ツアーなどが融合するだろうと予測しています。一方、スマホリンク家電ですが、これは様々な家電とスマートフォンが連携するという話で、テレビやレコーダー、カーナビ、玩具などです。テレビ・レコーダーとの連携ではスマートフォンがリモコンとなるだけではなく録画予約もアプリでできたり、玩具ではスマートフォンでラジコンヘリコプターの操作ができスマートフォンの画面上にはヘリ搭載カメラからの映像が見られるようです。こんな感じで、スマートフォンが様々な家電のハブのような役割を担うようになるのではないでしょうか。

■世の中のIT進化スピードと同期する

ここまでスマートフォンの将来需要増加や今後の活用範囲拡大について見てきました。個人的にもiPhoneを使っておりもはやなくてはならないほど重宝しているわけですが、そもそもスマートフォンって何がすごいんだろうと考えてみました。で、自分の中での1つの結論として、従来の携帯電話(フィーチャーフォン、ガラケー)と比べて、スマートフォンは世の中のIT進化スピードに同期する点にあるというものです。

スマートフォンの何が便利かと言えば、豊富なアプリであったり操作性があります。別の特徴として、アプリの追加、OSやアプリをアップデートすることができ、常に最新の状態に維持できることがスマートフォンの優れている点だと思います。しかもアップデートの大抵の場合が無料で。もちろんアップデートすることで不具合が発生するリスクもありますが、最新の状態が維持できるということは、それはつまり世の中のITが進化するスピードと同じように自分のスマートフォンもアップデートできるのです。

従来の携帯はハード面の要素が強く、スマートフォンはアプリなどのソフトの要素が大きいと感じます。携帯をハードと見た場合の買い替えサイクルは、3年半もあります(MM総研調べ)。これはつまり、携帯をアップデートするのに3年半も時間を要するということです。一方のスマートフォンのOSやアプリのアップデートはどうでしょうか。OSやアプリによりそのサイクルは様々であるとは言え、明らかに携帯買い替えより早いサイクルでまわっています。新しいアプリも次々に登場しスマートフォンに追加することができます。

世の中のIT進化と同じように自分のスマートフォンが進化(アップデート)すると、何か新しい技術やサービスが登場すればそれがすぐに自分のスマートフォンにも反映できます。こうして、新サービスの提供とユーザーの評価・フィードバックが従来よりも短い期間で行なわれ、ますます進化が加速していくのではないでしょうか。これが世の中のIT進化スピードに同期するスマートフォンの大きな特徴だと思います。こう考えると、まだまだスマートフォンの可能性っていろいろあり、今後の進化が楽しみです。

※参考情報

2015年度までのIT主要市場の規模とトレンドを展望(2)(2010.10.20)|野村総合研究所
http://www.nri.co.jp/news/2010/101220.html

2010年度上期国内携帯電話端末出荷概況(2010.10.26)|MM総研
http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120101026500

携帯電話端末の買い替えサイクル調査(2009.3.12)|MM総研
http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120090312500


投稿日 2010/11/13

ソーシャルはユニバースかマルチバースか

11月4日にソフトバンクモバイルとミクシィは、「ソーシャルフォン」サービスの提供を開始すると発表しました。

■ソーシャルがモバイルのベースに

発表内容を見ると、「ソーシャルフォン」サービスは、mixiのさまざまな機能とスマートフォンの機能を連動させることで、友人・知人とのコミュニケーションを、より便利に楽しんでいただけるスマートフォン向けのアプリケーションサービスです、とあり、2011年2月より開始するようです。スマートフォンの電話帳とmixiの友人データが自動的に同期するなど、これまでの「スマートフォン+SNSアプリ」とは異なり、注目に値すると思っています。(とはいえ、買うことはないかと思いますが)

SNS世界最大手のFacebookは、世界でユーザーが5億人を突破し現在も増え続けているようです。CEOのZuckerberg氏はFacebookケータイについてあるインタビューで次のように語っています。(出所:TechCrunch) Our whole strategy is not to build any specific device or integration or anything like that. (中略) Our strategy is very horizontal. We’re trying to build a social layer for everything. (中略) So I guess, we view it primarily as a platform. Our role is to be a platform for making all of these apps more social,  英語部分をすごく簡単に言ってしまえば、Facebookケータイではなくプラットフォームをつくりたいとのこと。

また、別の記事(Scobleizer)によれば、Facebookがソーシャルフォンそのものを開発しないであろう理由として、以下を挙げています。 Facebook is so powerful that mobile companies are forced to build their own Facebook apps, after all, who would buy a phone that doesn’t have Facebook today?  すでにたくさんのケータイにはフェースブックのアプリが入っており、故に、フェースブック自身がケータイを開発する必要がないことを示唆しています(記事ではこれ以外にも開発しない理由が書かれています)。

ソーシャルケータイをリリースするmixi、自らは開発しないと説明するFacebook。どちらの戦略が正しいかは現時点ではわかりませんが、いずれにしてもSNSなどのソーシャルグラフ(人間関係)をモバイルであたかも身に着けるような方向性に進んでいるように思います。上記のmixiフォンではついに、SNSのデータが電話帳に同期します。これまでは、モバイル機能の1つでしかなかったソーシャルが、ソーシャルをベースとしたモバイルの登場です(図1)。



■ソーシャルは1つになるのか?

さて、私たちは複数の人間関係を持っています。家族、彼氏・彼女、友人、バイト仲間、仕事関係、などなどです。ここで、いくつかの人間関係を下図のようなマトリクスで整理してみます(図2)。



リアル世界では、これまでは自分の持つ人間関係は別々に存在していました。しかしSNSなどの登場により人間関係がSNS上でつながり、自分に関係ある人たちがフラットに並びつつあるような気がします。今後ますます多くの人がSNSを利用した場合、そこには仕事の同僚もいれば、幼馴染もいたりとか、1つの大きな人間関係がソーシャル上に存在することになっていくことも考えられます(図3)。いや、もしかしたら、ビジネスライクなSNS、友達用のカジュアルなSNS、などと、複数のソーシャルを持つのかもしれません(図4)。

ユニバース型SNS




マルチバース型SNS



人間は社会的な動物です。人とつながりたいという気持ちは普遍的な感情だと思います。これは何もSNSができたからでは決してなく、大昔からずっとそうだったはずです。人間の三大欲求には含まれませんが、人間の本能に近い欲求なのではないでしょうか。ソーシャルというキーワードはますますいろんなところに入り込んでいきそうです。


※参考情報

「ソーシャルフォン®」サービスを提供開始 (ソフトバンクモバイル株式会社)
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2010/20101104_03/index.html

Interview With Mark Zuckerberg On The “Facebook Phone” (TechCrunch)
http://techcrunch.com/2010/09/22/zuckerberg-interview-facebook-phone/

Why Mark Zuckerberg would be an idiot to announce a hardware device today (scobleizer)
http://scobleizer.com/2010/11/03/why-mark-zuckerberg-would-be-an-idiot-to-announce-a-hardware-device-today/


投稿日 2010/06/12

iPhoneアプリ「ショッピッ!」が変える購買行動

■まとめ

今回の記事のまとめです。

・ iPhoneアプリ「ショッピッ!」がおもしろい
・ ショッピッ!と楽天市場端末の比較
・ ショッピッ!は私たちの購買行動に一石を投じると思う



■iPhoneアプリ「ショッピッ!」

最近使ってみておもしろいと思ったiPhoneのアプリに、「ショッピッ!」というサービスがあります。これは、iPhoneのカメラで商品バーコードを読み取り、その場でネットサイトからその商品を買うことができるアプリケーションで、先日10日に無料公開されました。具体的な使い方は、ショッピッ!のサイトに次のように書いてあります。

<ショッピッ!の使い方>
(1) アプリを起動し、商品のバーコードに、iPhoneのカメラをかざす
(2) その商品をいちばんおトクに購入できる店舗が見つかる
(3) 店舗を選んでその場で注文する

そして、ショッピッ!について個人的におもしろいと思った点は以下の通りです。

<ショッピッ!のおもしろい点>
(a) バーコード取得から商品購入までがその場で完結する
(b) 最安値の提供店サイト候補は日本国内約5万店
(楽天市場、アマゾン、ヤフーショッピング。価格.comでも検索可能)
(c) 以上がいつも携帯しているiPhoneでできてしまう



■楽天市場の小型バーコード端末

10年4月30日の日経web版に、楽天市場に関する記事がありました。その中で、「楽天市場での買い物を容易にする小型の端末も独自に開発した」と言及されていました。ポイントは以下の通りです。

<楽天市場の小型バーコード端末の使い方>
(1) 商品のバーコードを小型バーコード端末に読み込んで保存する
(2) パソコンにつなぐと、楽天市場の中で商品を最安値で売る店舗が表示される
(3) 楽天市場から購入する

なお当時(4/30)の時点のことですが、記事には次のようにも書いてありました。
・ 試作品は完成済みで、今年秋にも最大で1千台程度を試験的に配布する
・ 利用者の反応をみて、事業化を判断する。端末は無償提供するか低価格で販売する可能性が高い



■「ショッピッ!」と「楽天端末」の比較

上記に使い方をそれぞれ(1)(2)(3)で挙げましたが、あらためて両者を比較してみます。

○バーコード取得~購入までの流れ
両者を購買フローで並べてみます(図1)。





ショッピッ!がiPhone内でその場で注文までできるのに対して、楽天の端末ではPCに接続させる手間が発生します。これは、PCを立ち上げた状態でパーコードをスキャンするか、端末を接続させるためにPCを立ち上げる必要があるということです。


○両者の優位性を比較
比較項目をいくつか挙げてもう少し比べてみます(表1)。なお、楽天市場の端末については実際に使っていないので、推測内容も含まれます。





<携帯性>
ショッピッ!はiPhoneアプリなのに対し、楽天端末は独自端末です。つまり、ショッピッ!は日頃から携帯するiPhone内にある一方で、楽天端末は持ち運ぶ端末が増えてしまいます(屋外でもバーコードをスキャンしたい場合)。

<バーコード読取>
おそらく、iPhoneのカメラでバーコードを読み取るよりも、楽天端末のほうがバーコードをスキャンしやすいのではないかと思います。

<利便性>
ショッピッ!がバーコード読取~購買までiPhone内で行うのに対し、楽天端末はPCに接続する手間が発生します。実際にショッピッ!を使ってみましたが、その場で購買までが完結する仕組みは非常に魅力的です。

<多様性>
前述の通り、ショッピッ!は楽天市場だけではなくアマゾンやヤフーショッピングからも買えます。楽天端末は楽天市場専用です。

<サービス価格>
ショッピッ!は無料でダウンロードできましたが、楽天端末は上記の日経Web記事の通り有料の可能性があります。



■これからの購買行動

店舗で商品を見るが、実際に買うのはネットという購買行動が最近は一般的になってきているように感じます。少なくとも、個人的にはこの購買行動は当たり前のようになりつつあります。

ショッピッ!のようなサービスがスマートフォン以外でも使えるようになれば、ますますこの傾向が強くなるような気がします。そうなると、お店は単なるショーウィンドウの役割でしかなくなるのではないでしょうか。消費者にとっては便利な仕組みですが、小売側にとっては脅威のサービスかもしれません。

暫定的な措置として、店内に「携帯電話のカメラでバーコードを撮らないでください」という貼り紙が表示されることも考えられます。あるいは、抜本的な措置として、次世代のバーコードでは、携帯のカメラでは簡単に読み取れないような仕組みが導入されるかもしれません。

いずれにせよ、ショッピッ!のようなアプリは、私たち消費者の購買行動や小売にとって、一石を投じる役割を果たすのではないでしょうか。


※ショッピッ!のサイト
http://shoppi.jp/


投稿日 2010/04/24

スマートフォンとクープマンの目標値

MM総研が2009年度通期(2009年4月~2010年3月)の、国内携帯電話出荷状況の調査結果を発表しました(4月22日)。その中でスマートフォンについて次のような調査結果が出ていました。
・ 2009年度通期のスマートフォン出荷台数は234万台 (対前年113%増)
・ スマートフォン出荷台数シェアの1位はアップル:72.2%



シェアに関して、マーケティングでは「クープマンの目標値」という理論があります。米国の数学者であるクープマンが、シェアと市場推移の関連性を解析して得られた理論です。(図1)



アップル、つまりiPhoneの72.2%というシェアですが、クープマンの目標値の「独占的市場シェア:73.9%」に迫る水準です。この独占的市場シェアの定義は、書籍「シンプルマーケティング」(森行生著 ソフトバンククリエイティブ)では以下のように説明されています。「要するに独占シェアである。このパーセンテージを取れば、短期的に見ればトップが引っ繰り返る可能性はほとんどあり得ない。」(p.56より引用)

iPhoneの72%は出荷台数ベースなのでユーザーのシェアではありません。それでもスマートフォン市場においては、iPhoneが独占しており「一人勝ち」と言っていい状況です。(図2)





では、そもそも携帯電話市場全体に占めるスマートフォン市場はどれくらいなのでしょうか。MM総研によると、2009年度通期では6.8%(出荷台数ベース)。スマートフォン市場の規模は、前述のクープマンの目標値で確認すると、「市場的存在シェア」となります。ちなみに定義は、「市場においてようやく存在が確認される水準。つまり生活者が『こういうブランド(企業)もある』と思いだしてくれるレベルである。」(p.62,63から引用)

スマートフォンに関しては、認知率は一定程度あるような気がしますが、昨年度の出荷台数で見るとまだまだニッチな存在だと思います。今年はドコモの「Xperia」、ソフトバンクの「iPhone」「HTC Desire」、auの「IS01」「IS02」など、各キャリアからスマートフォン機種が出そろいます。

スマートフォンという呼び方は、従来の携帯より「スマート」というところから来ているのだと思いますが、スマートフォンがより一層普及することで「スマート」という枕詞がなくなる日も近いのかもしれません。



※参考資料
MM総研 2009年度通期国内携帯電話端末出荷概況
http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120100422500


投稿日 2010/01/30

iPadに期待すること

米Apple(アップル)のタブレット型パソコン「iPad(アイパッド)」が発表されました。ニュースなどで見た印象としては、iPhoneが大きくなった感じです。これ1つで、ネット・メール・電子書籍・テレビ・ゲームなど、いろんなことができるようです。

かつて、音楽と言えば家やコンサートなどで聴くものでした。それがソニーのウォークマンによって外で聞けるようになり、iPodによってより自由に音楽を持ちだせるようになりました。iPodについてもう1つ忘れてはならないのが、音楽配信サービスのiTunesStore(以下iTunes)よって音楽の流通も変わったこと。つまり、それまではCDの最低単価がシングルの1000円程度だったものが、曲単位でしかも100~200円くらいの値段でダウンロードできるようになったのです。



書籍、新聞、雑誌、テレビとの関係について、このiPodとiTunesで起こったように同じことがPadでも起こるのかもしれません。例えば、本や雑誌は電子書籍でダウンロードで購入し、新聞は毎朝定時に自動配信される。これら全てのデータは自宅のハードディスクに保管か、あるいはクラウド上の個人サーバーに置いておければ個人的にとても助かります。

なぜなら、新聞記事や読んだ本から、もう一度読みたい部分は検索で一発で探せるし、場所を取る本棚がいらなくなるからです。テレビについても同様で、今のような決まった時間に番組が提供されるのではなく、見たい番組をその場でダウンロードもしくはサーバーから直接視聴できるようになってほしいです(現在もNHKオンデマンドなど、一部にそういうサービスがありますが)。



思えば、テレビ放送が開始されて50年以上経ちますが、番組の提供方法は当時と変わっていません。あらかじめ決められた時間に放送され、視聴者はその時間はテレビの前にいる必要があります。ビデオの登場で多少改善はされていますが、「20~21時はこの番組をやるので家でどうぞ見てください(録画してください)」という感じは今も変わらないのではないでしょうか。

もちろんこの半世紀の間、モノクロからカラーになり、アナログからデジタル、デジタルハイビジョン、今後の3D放送など、映像自体はとてもきれいになっています。ただ、極論を言ってしまうと、これらの技術よりもそもそもの今の番組放送の仕組み自体を変えてほしいです。平日なんかはテレビを見る時間がないことが多く、録画やワンセグで対応もできますが、やっぱり今の番組提供形態では当たり前のことが、個人的にとても不便だと思っています。マーケティングでいうプロダクトアウト的な発想。

現在のオンデマンドは課金されますが、今は民放はテレビさえあれば無料で見られるので、全ての番組を1つのサーバーに置いておいて、見たい時に自由に取りにいくようになってほしいものです。(現実的には、著作権や広告などなどの利権がいろいろからみそうですが・・)



こういった書籍、新聞、テレビで感じているような3つの不満、

1.本は紙で、保管に本棚が必要。また読み返したい部分を探すのに手間がかかる
2.新聞は毎朝紙で配達される。読み終わった新聞は基本的に捨てる。
3.テレビは決まった時間に放送される。それ以外の時間に見たい場合は自分で録画するなど手間がかかる

について、

1.本は電子情報で保存。探す時は検索ですぐに見つかる
2.新聞は定時配信。捨てる必要なくデータとして保存。検索も容易
3.テレビ番組はサーバーにあり、自由にその場で視聴

ことができる、つまり、「欲しい時・見たい時に手に入る」ようになる。こんな感じで解決され、しかも1台で全て機能する。今回のiPad発表の記事を読んでいてそう期待してしまいます。


※参考情報
http://www.gizmodo.jp/2010/01/all_about_apple_ipad_2.html


投稿日 2010/01/23

ネットインフラ社会

インターネットにアクセスするツールとして、パソコン(PC)や携帯電話(モバイル)があります。
その他にもアクセス目的を限定すれば、ゲーム、音楽プレイヤー、キンドルなどの電子書籍などもそうです。個人的には、現在の主なアクセスツールはPCとモバイルを使っています。ただどちらも、まだ制約があるのが正直なところです。
・ PC: 立ち上げに時間がかかる
・ モバイル: 画面が小さい、通信速度が遅い

総務省調べ(09年)では、日本のネット普及率は75.3%(人口ベース)のようですが、ネットへのアクセス環境はまだまだ改善の余地があるように思います。



少し古いですが、今年の元旦の日経新聞の記事に「次の10年へ 未来を読む」という特集がありました。その中の1つに、「買い物のデジタル化加速」というタイトルの記事には次のような内容が書かれていました。
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デジタル技術の発達により、ネットによる買い物は今よりもっと便利になる。

例えば
・ ネットが見られるテレビ(ROBRO-TV
・ 拡張現実(AR:Augmented Reality)
・ 次世代通信技術(LTE:Long Term Evolution
・ 電子マネーによる支払方法多様化

これらの例から、ネット消費はますます増えていくと示唆しています。
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ちなみに、上記のROBRO-TVの特徴は、「リモコンでテレビのチャンネルを変えるのと同じようにWebページを閲覧することができ、テレビ番組だけでなく、豊富なインターネットコンテンツを楽しむことができます」(カデンザHPより)とのことで、パソコンよりももっとネットがより身近になっていくはずです。



では、「ネットがより身近になる」とはどんな環境になるのでしょうか。ここからは個人的な勝手な妄想も含まれますが、あらゆるものがネットにつながっている社会だと思っています。
普段の日常生活で、(PCのように)ネットがつながっていればもっと便利なのに、と思うものとして、例えば車(特にカーナビ)があります。ちょっと前にカーナビを利用した時には、カーナビの検索でなんとか調べ、携帯で詳細を検索するという二度手間が発生しました。
これをPC並とまではなくても、もっとサクサクと情報が調べられれば、ドライブもより快適になると思います。最近、携帯電話でもカーナビのようなサービスがありますが、逆に言えば、携帯が参入するのはカーナビの機能がまだ不十分だということを物語っているのかもしれません。

これ以外にも、便利だと思うものとして、
・ 台所: クックパッドなどのレシピを見ながら料理ができる
・ 冷蔵庫: 足りない食材をその場でネットから注文。また外出時に携帯からアクセスし、スーパーの買い物時に足りないものをチェック。
・ 風呂: お風呂に入りながらネットを見る。(動画、ブログ、など)
があります。



こんな感じで考えていくと、家がまるごとネットにつながっている状態が「普通」になるかもしれません。
無償のネットブラウザを活用し、クラウドコンピューティング、スマートグリッドなども駆使すれば、そんな社会が実現できるかもしれません。その時は、ネットが今以上に「インフラ」になるのでしょう。(ただし、その大前提として、セキュリティ強化は必須)

個人的には、家電の説明書とかあらゆるものが電子化され、自宅そのものに取り付けられたハードディスクに保管してあれば、「あの説明書どこいったっけ?」という時に、すぐに検索できるととても便利です。

このあたりは国が各メーカーのとりまとめを行なって、推進してほしいものです。


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。