投稿日 2013/05/18

「男の子の子育ては楽しい」と思えるようになるためのしつけ方

「言うこと聞かない!落ち着きない! 男の子のしつけに悩んだら読む本」という本のターゲット読者は母親でした。

お母さんから見て男の子の行動は理解できない、言うことは聞かないし、落ち着きがない。本書はそんな「男の子って大変」をお母さんの考え方ひとつで「男の子って楽しい」に変えられますよ、というメッセージが趣旨です。

■しつけとは教えること

印象的だったのは、「しつけ」についての考え方。子どものしつけのイメージは、叱ったり強く言い聞かせたりと半強制的に子どもを変えていくと思いがちです。

本書で書かれていたのは「しつけとは教えること」。これはこうするもの、とメッセージを伝えることであり、言ったその場で子どもの行動が変わるかどうかは関係がない。教えるという伝えた時点で「しつけ」はできている。この考え方は、いいなと思いました。

男の子の子育てでは、厳しい対応をしてすぐに子どもの態度/行動を変えようとするのは逆効果。そうではなく、気長に教える、伝え続けることが大事だそうです。そもそも、これが本来のしつけである、と。

「しつけ」を「教えること」と捉えると、本書で書かれていた躾のポイントもすんなりと自分の中に入ってきました。
  • 気長に繰り返し教える:2回や3回は言い続けたことにはならない。10回でも100回でも教えるくらいの気持ちで
  • 正しくないことを叱るより、正しいことを褒める:例えば、靴を脱ぎっぱなしにしたこと(正しくないこと)を叱るのではなく、靴を揃えて脱いだ時(正しいこと)を褒めてあげる。きちんとやった行為こそ、認めて褒めてあげるべき。一般的には逆のパターンが多く、子どもが良くないことや親が困ることをすると怒るケースが多い。正しくないことを叱る場合でも、「それはダメ、◯◯しようね」と軽く教えるくらいにする
  • させないこと/してほしいことは具体的な言葉で伝える:疑問文の叱り方ではなく、具体的な行為を伝える。例としては、NG:いつまで起きてるの→OK:もう寝なさい、NG:どうしてそんなことをするの→それはしてはダメ。単語だけの叱り方も子どもには伝わりにくい。例えば、「ひじ!」ではなく「食事中にひじをついてはダメだよ」と子どもが理解できるよう具体的に表現する
  • 北風ではなく太陽方式で:おもちゃを片づけないとお菓子抜き、のような脅しや罰を与える北風方式ではなく、片付けたらおやつを食べようね、と子どもが自ら進んでやろうという気持ちにさせる

■子どものしつけは「ありのままを受け入れる」ところから

親の心得としてあらためて大事だなと思うのが、子どものありのままを受け入れること。子どもと向き合って、認めてあげることです。

お母さんにとって男の子の子育てが大変なのは、男の子は異性だから。これが本書のキーメッセージの1つ。自分の子供でも1歳にもなればもう男性なので、理解できない言動が出てきます。それに対して「どうして◯◯なの?」ではなく、「男の子だから仕方ないか」と受け入れてあげる。

できなくて当たり前と認めてあげて、じゃあどうすればできるようになるかを前向きに、子どもと一緒に考えていくようなしつけです。

子どものありのままを認める時に大事だなと思ったのは、まずは子どもの気持ちや行動を受けとめる言葉をかけること。自分が男だからわかるのですが、男の子は親には何でも認めてほしい傾向があります。自分の中ですごいと思ったことをやって「えっへん」という気持ち。

だから、子どもへのしつけも「Yes, but...」でやりたいもの。まずはYesと認めてあげる、その後で正しいこと・やってはいけないことを教える。本書のエピソードを引用します。
お母さんが体育館でママさんバレーの練習をしているときに、3歳くらいの男の子が2階席から「おかーさーん!」と行って、突然手を振ったのです。

お母さんは、「ちょっと、もうっ!どこに上がってるの!降りなさい!」。男の子はしょんぼりし、しぶしぶ降りてきました。お母さんのその言葉は、子どもの行動を認めていないからこそ出た言葉です。

では、どうすればよかったのかというと、こうです。子どもの気持ちとしては、お母さんに気づいてほしかったから呼んだのです。お母さんにも手を振ってほしかったから手を振ったのです。

だから、子どもに呼ばれたのだから、愛想返事でもいいので「はーい」と言って、手を振ってから「そこへ行ったらダメよ。降りなさい」と言えばよかったのです。自分の行動と気持ちが少しは認められたことで、子どもはうれしく、喜んで降りてきます。

引用:書籍「言うこと聞かない!落ち着きない! 男の子のしつけに悩んだら読む本」

秋に生まれる子どもは男の子なのか女の子なのかまだわかりませんが、「Yes, but」の伝え方は忘れないようにしたいなと思っています。




投稿日 2013/05/12

YouTube 有料チャンネルを開始した Google の狙いを、ビジネスモデルから考えてみる




YouTube が有料チャンネルを開始


YouTube が、月額課金制でチャンネルを開設できる新サービスを開始しました (米国時間 2013年5月9日) 。


まずはパイロットプログラムとしてのスタートのようです。チャンネルに登録 (サブスクリプション) したユーザーから課金できるもので、最低料金は月額99セントからです。

全てのチャンネルに14日間の無料トライアル期間がつけられ、年間契約でディスカウントもされるとのことです。

今回の YouTube 有料チャンネルが、Google のビジネスモデルにどう影響するかを考えてみます。
投稿日 2013/05/11

鏡に映った自分とどう向き合うか

「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」という本では、「良い企業(good company)」と「偉大な企業(great company)」の違いを6年に渡り調査し、得られた知見から偉大な企業の法則をがまとめられています。趣旨は、どうすれば良い企業は偉大な企業になれるのか。6つの法則が提示され、1つ目が「第五水準のリーダーシップ」です。

■第五水準のリーダーシップと謙虚さ

第五水準というのは調査の過程で明らかになった経営者の能力の5つの段階のうち、最も高い段階。5つというのは下から順に、
  1. 有能な個人:才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする
  2. 組織に寄与する個人:組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する
  3. 有能な管理者:人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する
  4. 有能な経営者:明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える
  5. 第五水準の経営者:個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる
4つ目の段階までは意外感はありませんでしたが、第五水準は独特のものだと感じました。とりわけ謙虚さを挙げているのが印象的です。

謙虚さについて本書で強調していたのが「窓と鏡」という考え方。成功した時と失敗した時の捉え方/考え方で、
  • 窓:成功を収めた時は窓の外を見て、成功をもたらした要因を見つける。まわりのメンバー、外部要因、幸運など
  • 鏡:結果が悪かった時は自分に責任があると考える。他人や外部要因、運の悪さのためだとは考えない
最近思っていることが、謙虚さって大事だなということ。自分には何が足りないかを常に意識していたり、良い仕組みや他人の優れた考え方/やり方を積極的に自分に取り入れる。常に学ぶ姿勢。「窓と鏡」の考え方にあるように、成功した時ほど驕るのではなく勝って兜の緒を締める。失敗した時は自分のことを振り返ってみる。

■鏡を見た後にどうするかが大切

鏡を見ることについてもう少し考えてみます。

自分のミスや至らなさを認識することも大切ですが、もう1つ大事なのはその状況から逃げないことだと思います。「自分は全然だめだ」と考えてしまうかもしれませんが、そんな自分を肯定しそこから一歩踏み出せるかどうか。自分のことをあきらめずにもう一回立ち上がってみるという決意です。鏡を見て、目の前にいる自分を客観的に捉えるだけではなく、受け入れ、じゃあどうするかを考え、ネクストアクションを取る。

良いところも悪いところも含めて今の自分を認めるという自己肯定感は、ここ最近、よく考えることです。大変な状況でも最後には「大丈夫」と思えるか、自分自身や自分のいる環境を受け入れられるか。色々と考えた後に、最終的には自分を肯定して、そこから前向きに考え、行動を1つでも起こす。そんなふうにありたいと思っています。

一度くらい跳び越えられなくても、もう一度跳んでみようと思えるかどうか、それを自分の意思で決められるか。この積み重ねが大事だなと。

米Yahoo!の現CEOであるマリッサ・メイヤーはある対談で次のように言っていました(対談当時はGoogle社員)。
I always worked with the smartest people I could find. You surround yourself with the smartest people. They just challenge you and elevate the way you think and make you think harder and deeper about things.
それはサイコーに頭の良い人たちに囲まれて仕事するような職場だったということ。彼らは自分に挑戦状を叩きつけてきた。それが自分の思考レベルの水準UPにつながるのだ。いままでよりもっと一生懸命考え、ずっと深く考えなければついていけないような環境だ。

And I always did something that I was a little bit not ready to do.
もうひとつの共通点はそれらが「背伸び」しなくてはいけない、ワンランク上の仕事だったということだ。

(引用:サイコーに頭の良い人たちに囲まれて仕事するような職場を選ぶこと そして「背伸び」しなくてはいけないワンランク上の仕事を引き受けろ マリッサ・メイヤー|Market Hack)
この考え方は同意です。あえて厳しい環境に身を置くチャレンジをしてみる。受け身ではなく主体的にそういう場へ飛び込んでみる。

思うのが、自分には大変な状況になった時に、そこから「背伸び」ができるかどうかが分かれ目になるのではということ。まわりの自分より頭の良い人たちに最初は圧倒されますが、その環境や自分の足りない部分を受け入れて、そこからジャンプしようと前向きに捉えられるかが大切だと思っています。

鏡の自分に正面から向き合えるか。映った自分を受け入れられるか。そして、そこから前に一歩踏み出せるか。このあたりがここ最近の自分のテーマです。




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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。