投稿日 2013/10/26

資産7500万円をパーセントで引き出すという発想の転換

書籍「忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術」で推奨されている資産運用はとてもシンプルでした。

■続けることを意識したシンプルな投資術

本書では「大きく動かすこと」より「小さく続けること」を大切にする考え方がベースにあって、運用方法は
  • 月に1度の引き落としで自動積立て
  • 年に1度だけ自分の資産状況を確認する

本のタイトルに7000万円とありますが、本書での目標設定としてはリタイヤする65歳時点で約7500万円の資産をつくることとしています。根拠は、リタイヤ後の生活費+旅行等を月額35万円として、うち10万円を公的年金、25万円を65歳までに運用した資産から。65歳〜90歳までの25年生きるとして必要なのは、25万円×12ヵ月×25年=7500万円。これを資産運用でつくります。

本書では7500万のために、毎月5万円と年2回のボーナス時に20万円を加える。これを年率5.5%で30年間運用すると計算上は達成できます(個人的な感覚として年率5.5%で運用し続けるのはややハードルが高いような気もしますが)。

投資先はノーロード(申込み手数料が無料)のインデックス投資信託を推奨し、①日本債券、②海外債券、③日本株式、④海外株式、の4つの組み合わせです。資産配分(でセットアロケーション)はいくつか例が示され、年に1回だけ配分を確認しずれていれば調整する運用方法です。

■運用した資産の引き出しはパーセントで考える

ここまでであれば、他の本でも似たようなことが書かれています。本書の内容でユニークだと思ったのは、リタイヤ後の資産の引き出し方でした。

本書の設定は、リタイヤ後の毎月35万円のうち25万円が資産運用からです。年間では25万×12ヵ月=300万を資産から引き出すことになります。

ユニークだと思ったのは、金額ベースではなく資産に対するパーセントで引き出すという考え方でした。

まず、65歳時点で一気に資産7500万円を現金化はしない。毎年少しずつ引き出します。それを毎年300万円ずつ引き出すのではなく、資産の4%で引き出すのです。

パーセント引き出しを推奨する理由は、引き出し額÷資産額の比率を常に一定にすることを優先するからです。65歳時の7500万円という資産は、本書では投資信託を想定しているので、一定のリスク資産です。経済状況等により投資信託価格が上下するため、その分資産額も増えたり減ったりします。分母である資産額が変動するのであれば、引き出し額もそれに併せて変動させようというのが、パーセント引き出しの考え方です。

なお、65歳以降も積み立てた資産運用は続くので(新たな毎月の投資はしないが持っている資産の運用が続く)、それを年率5%、年間で4%引き出しても資産は大きくは減らないと本書ではしています。

パーセントで引き出す場合は発想の転換が必要になります。資産状況に応じて引き出し額は変わるので、生活費等の支出もメリハリをつけることになります。これはデメリットと見るかどうかは各自の考え方で分かれそうですが。

★  ★  ★

パーセントでの引き出しが唯一の答えではないと思いますし、毎年決まった額を引き出すほうがよいと考える方もいるでしょう。それとも、リタイヤした時点で投資信託での運用をやめ、全てを現金に変えたいという人もいるかもしれません。これはリスクが大きいと思いますが。

本書で自分に取っての発見は資産運用の終わり方に一石を投じてくれた点です。資産運用の初め方や続け方は他の本でも書かれていますが、出口についても考えさせてくれました。

得られた示唆を一般化すると、何かを始める/取り組む際には、出口という終わり方も想定しておくことの大切さです。何を持って終わりとするか。究極は人生の終わりをどう迎えるかという終活であったり、カジュアルなものとしては仕事において、目の前に今取り組んでいる業務は、何がどうなれば終わるのかを意識することです。




投稿日 2013/10/20

偉大な会社や真似から生まれる。守破離の 「守」 こそ大事だと思った話


Free Image on Pixabay


模倣の経営学 - 偉大なる会社はマネから生まれる という本をご紹介します。


今回の内容です。

  • 本書のテーマ
  • 徹底した真似から生まれるもの
  • 守破離の 「守」 に注目すると
投稿日 2013/10/19

コンタクトレンズを 「使い捨て」 にするという逆転の発想




競争戦略の考え方の1つは 「いかにして戦わないようにするか」 です。競争しない競争戦略です。ブルーオーシャンの発想で、ターゲット層を変え新しい市場を開拓したり、新しい商品やサービスを投入して差別化を図ります。

既存の市場でイノベーションが起こるのは、従来とは全く違う発想をもつ商品やサービスが出てくる時です。


使い捨てコンタクトレンズ


例えば、使い捨てコンタクトレンズです。書籍 模倣の経営学 - 偉大なる会社はマネから生まれる で紹介されていました。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。