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完全暗闇体験イベント「Dialog in the Dark」

人間が持つ知覚には、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の5つがあります。では、これらの五官から得られる知覚の割合は、それぞれどれくらいなのでしょうか。

古い資料ですが、1972年にされた「産業教育機器システム便覧」という本によると、視覚:83%、聴覚:11%、嗅覚:3.5%、触覚:1.5%、味覚1.0%とされています。どういった方法で計算されたかはわかりませんが、視覚と聴覚の合計が94%というのは、普段の生活を振り返ってもそれほど違和感のない数字だと思います。





先日、「Dialog in the Dark」という体験型イベントに参加してきました。光が全くない暗闇の空間で、日常生活の様々な内容を視覚以外の感覚で体験するエンターテイメント形式のワークショップイベントです(参照:Wikipedia)。

視覚障害者のアテンダントさんにサポートいただき、完全な暗闇の中でのツアーです。森の中を歩いたり、公園で遊んだり、カフェでドリンクを飲んだりと、日常生活ではごく普通にできることを全て視覚なしで体験します。ツアー時間は約90分ほど。参加者は8人で、アテンダントさんも含め見ず知らずの初対面のメンバーです。



暗闇に足を踏み入れた瞬間は、五官から視覚が取り除かれただけであたかも全ての情報が遮断されたような錯覚に陥りました。上記の視覚:83%がなくなり、(実質は残り17%はあるのですが)感覚的にはゼロになったような感じです。暗闇の中で足を一歩踏み出すのも怖くなるほど。ちなみに、暗闇に入る前に視覚障害者用の白い棒を渡されますが、これだけでは非常に不安になります。

しかし、人間とは不思議なもので、全くの暗闇でも次第に様々なものを感じることができるようになっていきます。葉っぱがすれる音と小川のせせらぎや他のメンバーの声(聴覚)、木や土の匂い(嗅覚)、右手の棒から得られる地面の感触やアテンダントさん・他のメンバーの感覚(触覚)、カフェで飲むドリンク(味覚)。つまり、視覚が全く使えない状況でも、他の知覚がどんどん研ぎ澄まされていくようになります。

視覚を使わずに、ものが「見える」ような感覚。ツアーの後半くらいからは、視覚がないにもかかわらずメンバーとの会話や暗闇での活動も、普段の日常のそれとあまり変わらないような気すらしました。



日本では夜でも電気で明かりを灯せば、暗闇は解消できます。また、視覚によりものを見ることは当たり前のように持っています。日本の豊かさ自分の持っている五官のありがたさ。今回参加したことで、これらのことにあらためて気づかされました。

Dialog in the Dark。もし機会があれば、ぜひ体験されることをおすすめします。


※Dialog in the Dark
http://www.dialoginthedark.com/index.html

※Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。