ブラウザでウェブを閲覧をする仕組みは「往復はがき」で考えると理解しやすいと思っています。仕組みとしては、
■Web広告とTVCMの違い
ウェブページの多くには広告が表示されていますが、ウェブ広告が画期的だったのはコンテンツサーバーと広告サーバーが別々になったことでした。往復はがきの例えで言うと、ユーザーははがきを2通用意し、コンテンツ情報が入っているサーバー宛と広告情報が入っているサーバー宛にそれぞれ送っています。
なぜこれが画期的かの理由は、コンテンツは同じ情報なのに広告はユーザーごとに適切なものに変えられるからです。例えばこのブログエントリーを見ているユーザーに表示されるコンテンツ(ブログ記事)は同じですが、広告内容はPCだと上部/スマホは下部に表示される内容はユーザーごとに違うのです。
これができるのは、コンテンツサーバーとアドサーバーが別々で運用されているから。この仕組はアドネットワークサーバーでも第三者配信サーバーでも基本的には変わらないものです。
一方のTVでは、番組とCMの放送配信局は同じなので、同じ番組を見ている視聴者には誰もが同じCMを見ることになります(例:サッカー日本代表の試合で、ハーフタイム中に流れるCMはみんなが同じものを見る)。
もしTVもWebと同じ仕組になれば、番組は同じものを見るけれど、車が趣味のAさんの家のTV1には車のCMが、来年小学生になる子どもを持つBさんの家のTV2にはランドセルのCMが、みたいなことができるようになるわけです。同じ世帯でもリビングのテレビと寝室のテレビでも違うCMを流すこともできます。
Webの世界では、(発展途上であるものの)広告配信のユーザーごとの最適化ができています。Web広告配信の最適化には様々な手法があって、
■反応者ターゲットという考え方
「ビッグデータ時代の新マーケティング思考」という本で強調されていたのは、ターゲティングの考え方が変わる、ということでした。
従来のターゲットの考え方は、年齢や性別のデモグラ・価値観などのサイコグラフィック・行動特性などのユーザー情報からターゲットを「事前に想定する」ことでした。こういうユーザー層がターゲットになりそうと事前にしっかりと絞り込むイメージです。ターゲットを絞り、そこに向けて広告を配信する。
一方で本書で強調されていたのが「反応した人がターゲット」という考え方。ざっくりとターゲットは想定はするものの、広告をまずは配信してみて、それに反応した人たちをターゲットにするという従来とは逆の考え方、パラダイムシフトです。
反応者をターゲットにする考え方で重要になってくるのが、反応者をどう捉えるかになります。
反応者をどうグループ分けをするか。デモグラ、ジオグラ(エリア)、サイコ(心理的属性)、ビヘイビア(行動)、などに加え、ニーズで分けられるかもポイントだと思います。反応者はなぜ反応したのか、その裏にはそれぞれのニーズがあり、ニーズごとにグルーピングができるかどうか。
従来のターゲティングはターゲットを事前に想定することにウェイトを置いていたことに対して、反応者ターゲティングでは実際に反応した人をターゲットとして、その後に反応者をどれだけ分析できるかにウェイトが置かれます。PDCAで言うと、従来型はPに比重が、反応者ターゲットではまずDをやってCとAに比重があるイメージ。
■反応者ターゲットで問われる「データ活用」
反応者ターゲットの考え方はおもしろいものだと思いました。従来のターゲットの考え方は狙うことに集中しているので、撃った後のことはあまり重視されていませんでした。というかそもそも撃った後にどうなったかが知る術がなかったのです。例えばTVCMをやっても、誰が見て、その人たちにどれくらいのCM効果があったのか、つまり事前想定ターゲットが正しかったのかの検証ができなかった。CM出稿と配信後の売上という、最初と最後しかわからなかったのです。
反応者ターゲットでは、広告は誰が反応したのか、AとBの広告のどちらのクリエイティブに反応が良かったのか、反応した人の行動特性までわかります(クッキーが削除されないことという前提がありますが)。そうすると、まずはやってみて、反応者がわかり、その人達に対してどういう対応をして、という感じで次のアクションにどんどん進む、つなげていくことが可能になります。
データ分析の醍醐味は単に分析して終わりではなく、分析結果から次への示唆、ネクストステップにどう活かすかです。反応者ターゲットの考え方では、反応者した人というターゲットの発見から始まり、反応者をどう括るか、グルーピングした各反応者群にどんなアクションを取るのか、など、一歩踏み込んだデータ活用が期待できます。そうしなければ進化はないのではと思っています。
- 往信はがきを送付:PCから、ウェブページのコンテンツ情報があるサーバーに閲覧したいというリクエストを送る
- 返信はがきの住所を確認:サーバーはユーザー情報(IPアドレス/ドメイン/ブラウザ種類等)を確認する
- 返信はがきが届く:ユーザーのブラウザにコンテンツ情報が表示される
■Web広告とTVCMの違い
ウェブページの多くには広告が表示されていますが、ウェブ広告が画期的だったのはコンテンツサーバーと広告サーバーが別々になったことでした。往復はがきの例えで言うと、ユーザーははがきを2通用意し、コンテンツ情報が入っているサーバー宛と広告情報が入っているサーバー宛にそれぞれ送っています。
なぜこれが画期的かの理由は、コンテンツは同じ情報なのに広告はユーザーごとに適切なものに変えられるからです。例えばこのブログエントリーを見ているユーザーに表示されるコンテンツ(ブログ記事)は同じですが、広告内容はPCだと上部/スマホは下部に表示される内容はユーザーごとに違うのです。
これができるのは、コンテンツサーバーとアドサーバーが別々で運用されているから。この仕組はアドネットワークサーバーでも第三者配信サーバーでも基本的には変わらないものです。
一方のTVでは、番組とCMの放送配信局は同じなので、同じ番組を見ている視聴者には誰もが同じCMを見ることになります(例:サッカー日本代表の試合で、ハーフタイム中に流れるCMはみんなが同じものを見る)。
もしTVもWebと同じ仕組になれば、番組は同じものを見るけれど、車が趣味のAさんの家のTV1には車のCMが、来年小学生になる子どもを持つBさんの家のTV2にはランドセルのCMが、みたいなことができるようになるわけです。同じ世帯でもリビングのテレビと寝室のテレビでも違うCMを流すこともできます。
Webの世界では、(発展途上であるものの)広告配信のユーザーごとの最適化ができています。Web広告配信の最適化には様々な手法があって、
- 行動ターゲティング:ユーザーにクッキーファイルを配り(正確には利用ブラウザに配る)、クッキー内に記録されるブラウザ情報・閲覧履歴や検索ワード・ユーザーIDなどを参照し広告を配信する
- リターゲティング:特定のサイトに訪問したユーザーに、別のサイトで関連する広告を出す。例えば、商品サイトを訪れたユーザーに、別のニュースサイトに訪れた時にもその商品の広告を出す
- リターゲティング拡張:↑の応用みたいなもので、リターゲティングの対象となったユーザーと似た人を選び出し、広告を出す。商品サイトに訪れたユーザーとウェブ行動が似ているユーザーは、「(まだ商品サイトには訪問していないけど)恐らく同じような関心を持っているよね」というロジック。商品サイト未訪問者なので見込み新規ユーザーに広告が出せる
- オーディエンスターゲティング:サードパーティクッキーなどの広告主の持つ情報以外の外部データも活用し、より精緻にターゲティングを行い広告を配信する
■反応者ターゲットという考え方
「ビッグデータ時代の新マーケティング思考」という本で強調されていたのは、ターゲティングの考え方が変わる、ということでした。
従来のターゲットの考え方は、年齢や性別のデモグラ・価値観などのサイコグラフィック・行動特性などのユーザー情報からターゲットを「事前に想定する」ことでした。こういうユーザー層がターゲットになりそうと事前にしっかりと絞り込むイメージです。ターゲットを絞り、そこに向けて広告を配信する。
一方で本書で強調されていたのが「反応した人がターゲット」という考え方。ざっくりとターゲットは想定はするものの、広告をまずは配信してみて、それに反応した人たちをターゲットにするという従来とは逆の考え方、パラダイムシフトです。
反応者をターゲットにする考え方で重要になってくるのが、反応者をどう捉えるかになります。
反応者をどうグループ分けをするか。デモグラ、ジオグラ(エリア)、サイコ(心理的属性)、ビヘイビア(行動)、などに加え、ニーズで分けられるかもポイントだと思います。反応者はなぜ反応したのか、その裏にはそれぞれのニーズがあり、ニーズごとにグルーピングができるかどうか。
従来のターゲティングはターゲットを事前に想定することにウェイトを置いていたことに対して、反応者ターゲティングでは実際に反応した人をターゲットとして、その後に反応者をどれだけ分析できるかにウェイトが置かれます。PDCAで言うと、従来型はPに比重が、反応者ターゲットではまずDをやってCとAに比重があるイメージ。
■反応者ターゲットで問われる「データ活用」
反応者ターゲットの考え方はおもしろいものだと思いました。従来のターゲットの考え方は狙うことに集中しているので、撃った後のことはあまり重視されていませんでした。というかそもそも撃った後にどうなったかが知る術がなかったのです。例えばTVCMをやっても、誰が見て、その人たちにどれくらいのCM効果があったのか、つまり事前想定ターゲットが正しかったのかの検証ができなかった。CM出稿と配信後の売上という、最初と最後しかわからなかったのです。
反応者ターゲットでは、広告は誰が反応したのか、AとBの広告のどちらのクリエイティブに反応が良かったのか、反応した人の行動特性までわかります(クッキーが削除されないことという前提がありますが)。そうすると、まずはやってみて、反応者がわかり、その人達に対してどういう対応をして、という感じで次のアクションにどんどん進む、つなげていくことが可能になります。
データ分析の醍醐味は単に分析して終わりではなく、分析結果から次への示唆、ネクストステップにどう活かすかです。反応者ターゲットの考え方では、反応者した人というターゲットの発見から始まり、反応者をどう括るか、グルーピングした各反応者群にどんなアクションを取るのか、など、一歩踏み込んだデータ活用が期待できます。そうしなければ進化はないのではと思っています。