
調査会社のマクロミルが、AccessMill (アクセスミル) を正式リリースしました (2014年9月24日) 。
参考:AccessMill [アクセスミル]|マクロミル
AccessMill とは
アクセスミルは、ネット広告によるデジタルマーケティング施策の効果を調査するツールです。
特徴は2つです。
- Cookie 情報をもとに、マクロミルの調査パネル対象者が広告に接触したかどうかを判別
- 広告接触者に対してアンケートをかけたり、広告接触者や広告ランディングページ訪問者の特徴を知ることができる
広告接触者やページ訪問者にアンケートをかけ広告効果が測定できます。例えば、広告された商品やサービスについて以下のような態度変容です。
- 認知 (知っている人を増やせたか)
- 興味 (興味喚起を起こせたか)
- 購入意向 (買いたいと思ってもらえたか)
マクロミルの自社パネルなので、ログから非接触者がわかります。非接触者にも同じアンケートをし、上記広告効果測定指標について、広告接触者 vs 非接触者で比較分析をします。

アクセスミルの分析イメージ。引用:AccessMill [アクセスミル]|マクロミル
比較の前提となる 「比較対象の同質性の担保」
広告接触者と非接触者で気になったのは、2つのグループがどこまで同質性を担保できているかです。
同質性とは、少なくとも広告効果に影響を及ぼす可能性がありそうな特徴において、2つのグループが同じ条件という意味です。例えば、性別や年齢の構成比、その広告商品に対するもともとの認知や過去の購入経験などです。
これらにおいて同じ条件である2つのグループで比較しないと、その比較は意味を持ちません。
極端なケースとしては、広告接触者グループに若年層が多く、非接触者グループに中高年層が多ければ、広告接触 vs 非接触を比べているのではなく、単に若年 vs 中高年の比較にすぎないからです。
AccessMill における広告接触者と非接触者の同質性
アクセスミルの仕組みを見て思ったのが、非接触者はその広告に接触しなかった人たちになってしまうのでは、ということでした。
広告接触者は普段からネットをよく使っている人、非接触者はあまりネットを使わない人になってしまう可能性もあるのではないでしょうか。この場合、比較しているのはネットヘビーユーザー vs ライトユーザーです。ヘビーユーザーバイアスがある状況下での比較です。
非接触者グループの作り方としてより厳密に同質性を担保するためには、「本来は広告接触のターゲティング対象であったが、あえて広告を接触させない」 というやり方が正しいです。
具体的には、分析対象とする広告素材 (Test ad) ではなく、全く別の広告素材 (Control ad) を当てます。例としては、分析広告が 「海外旅行」 だった場合、全く別の 「自動車」 の広告を配信し、海外旅行の非接触者グループをつくるのです。
望ましいのは、2つの比較グループの違いは、対象広告を接触するか否かの違いのみで、それ以外を同質にすることです。
モバイル広告の対応は?
アクセスミルについてもう1つ気になったのは、モバイル広告でどこまで広告効果分析ができるかです。
サービス紹介ページを見ると、イメージ図にはスマホも入ってはいます。ただ、アプローチが Cookie を使うので、Safari や Chrome などのブラウザアプリからのウェブ広告以外のアプリ内広告にどこまで対応できているのかが気になります。