
※2015年9月1日に発表された新しい Google ロゴ
グーグルのプロジェクト管理ルールが興味深いと思ったので、ご紹介します。
エントリー内容です。
- グーグルのプロジェクト管理ルール
- 意図的に制約をつくる
- 管理ルールの応用
Google のプロジェクト管理ルール
書籍 How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント に、グーグル内で使われているプロジェクト管理ルールが書かれています。
「70対20対10」 のリソース配分
以下は該当箇所の引用です。
2002年の時点で、グーグルはまだプロジェクトを重要な順に並べた 「トップ100リスト」 をもとに、リソースの配分やプロジェクトのポートフォリオを決めていた。
だが成長にともなって、このシンプルな仕組みではスケールすることが難しいという懸念が強まった。忌まわしき 「ノー」 の文化がじわじわと広がるのではないかという不安もあった。
そこである日の午後、セルゲイはトップ100リストを見直し、プロジェクトを三つのグループに振り分けた。
プロジェクトのほぼ 70% はコアビジネスである検索と検索連動型広告に関するもので、約 20% が成功の兆しが見えはじめた成長プロジェクト、残りの約 10% が失敗のリスクは高いが、成功すれば大きなリターンが見込めるまったく新しい取り組みだった。
それを叩き台に長い議論を重ねた結果、「70対20対10」 をリソース配分のルールにするという結論に達した。リソースの70%をコアビジネスに、20%を成長プロダクトに、10%を新規プロジェクトに充てるのである。
(引用:How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント)
各プロジェクトを3つのフェーズに分け、リソース配分を 7 : 2 : 1 に振り分けるとのことです。
主な Google のプロジェクトを振り分けると
2015年現在、グーグルが公表している中で、主なものを70対20対10を分けてみると、以下のようになりそうです。
- 70% コアビジネス:検索やマップなどのコンシューマーサービス、広告、Android、YouTube
- 20% 成長プロジェクト:機械学習 (Machine learning) 、自動運転車 (Self driving car)
- 10% 新規プロジェクト:プロジェクトルーン (気球によるプロードバンドインフラ構築) 、涙から血糖値を測定するコンタクトレンズ、老化や病気に長期的な視点で取り組む Calico (カリコ)
意図的に制約をつくる
興味深いのは、このルールが経験則から導かれたプロジェクト管理ルールということです。
もう1つ、「70対20対10」 をリソース配分のルールについて、本書で書かれていたことで印象的だったのは、新規プロジェクトの割合が 10% なのは、意図的に制約をつけていることでした。
ふんだんに予算を投入するのではなく、あえて枠を設けることでイノベーションが起こることを狙っているからです。
「70 : 20 : 10」 の応用
Google の 「70対20対10」 ルールで思ったのは、この考え方は会社全体のリソース分配で使えるだけではなく、所属部署やチーム内でのプロジェクト管理ルールとしても有用であろうということです。
想定しているプロジェクトを、自分たちの根幹である 「コアビジネス」 、成功する兆しが見えてきた 「成長プロジェクト」 、全く新しい 「新規プロジェクト」 のどれに該当するかを考えることから始めてみるのです。
コアビジネスはもちろん重要ですが、それだけではなく、チームとして達成が困難なプロジェクトにどれだけチャレンジできるかです。一方で、挑戦しがいのあるプロジェクトばかりではチームとしてのリスクも大きいでしょう。
この時に参考になるのが、70 : 20 : 10 というグーグルのリソース配分ルールです。コアビジネスは 70% を確保する、新規ビジネスは 10% に留めておく、もしくは、なるべく 10% 程度は新しいことにチャレンジするという考え方です。
個人でも使える
このアプローチは、個人レベルでも使えます。例えば、自分の仕事のうち、コアビジネスは何で、自分にとっての新しい仕事は何か (新しくチャレンジする領域) を考えてみるのです。
毎四半期ごと、あるいは毎年、自分の棚卸しをすることで見えてくる発見もあります。前回は新規プロジェクトとして取り組み始めたものが、今は成功が見えてきた成長プロジェクトにフェーズなっている、さらに進み、いつの間にか自分のコアビジネスになった、などです。
新規ビジネスというリスクを取ってチャレンジしているものは、常に自分の中では 10% を保っている状態でありたいと思っています。