
中くらいの幸せはお金で買える という本をご紹介します。
著者は藤原和博氏です。2003年より5年間、東京都内で義務教育初の民間校長として、杉並区立和田中学校校長を務めたことでも有名です。
ここ最近の自分の関心領域の1つが 「どうお金を使うか・何にお金を使うか」 ということもあり、本書は興味深く読めました。
エントリー内容です。
- 日本人はお金の使い方が下手?
- 著者のお金の使い方
- 比較から見えてくる価値観
1万円から100万円単位のお金の使い方が下手
著者の問題意識を端的に表すのが、以下の引用部分です。
私が思うのは、日本人のお金の使い方で、”中くらい” の額にこそ問題があるのではないか、ということです。
100円単位、1000円単位の買い物まではうまい。チラシやネットに目を凝らし、満足度をそれなりに得ています。いっぽう数千万単位であれば、誰でも慎重に慎重に行動するでしょう。
ところが、1万円から100万円単位のお金の使い方がなんとも下手なのです。これがうまく使えていないから、幸福感が台無しになっている。結果、孤独感を克服することができない。私はそう考えています。
著者のお金の使い方が全て良いとは思わない
本書では、お金の使い方について 18 のやり方が説明されています。どれも著者が実践していることです。
読後での印象は、全てを著者と同じように実行しても、必ずしも自分にとっての幸せにつながらないと感じました。何に対して幸福感を抱くかは人それぞれだからです。
本書への感想として付け加えるとすると、18通りのお金の使い方について、そのまま著者と同じことができるのは、ある程度の収入がある方に限られる点です。推測するに年収が 3,000万や 4,000万程度以上は必要になってくるのではないでしょうか。
比較から見えてくる価値観
ただし、だからといって、つまり、同程度の収入がないからといって、本書の内容が無意味だとはなりません。
むしろ、私自身にとっては、このお金の使い方は同意できる、別のこのお金の使い方は自分の価値観にはそぐわないと、考えるきっかけになりました。
自分のお金の使い方と比べ、極端に違う著者のアプローチについて、一読しただけでは単にそのお金の使い方に違和感を抱くだけだったものが、あらためて考えることで自分が何に価値を置いているのがが見えてきました。
別の言い方をすれば、著者と自分の価値観を相対的に比較し、自分のことが理解できるのです。
その意味において、本社からは色々と考えることができた良い本でした。