
学校では教えてくれない日本史の授業3 - 悪人英雄論 という本をご紹介します。
本書の内容
本書では、18人の日本史の人物を取り上げます。日本史の通説では、悪人または英雄として評価されている人物です。
ところが、この本を読むと、いずれの評価も一面にすぎないことがわかります。以下は本書の紹介内容からの引用です。
「天智は天武によって悪人の汚名を着せられた」 「平将門は朝廷によって英雄から極悪人にされた」 など、通説とは異なる視点で、新たに人物評価をしていくと、今までわからなかった 「歴史の真実」 が見えてきます。
本書では、天智天皇から毛利元就まで、「間違いだらけの人物像」 を井沢元彦ならではの独自の歴史観でくつがえします。
本書を読めば、「悪人」 だと思っていた人物が 「英雄」 に、「英雄」 だと思っていた人物が 「悪人」 に、変わること間違いなしです。独自の境地を拓いてきた人気作家が 「英雄・悪人」 にまつわる歴史の裏側を臨場感たっぷりに講義します。
新しい視点で歴史が学べる本
本書では、日本の歴史上の人物における最大の悪人の定義は 「皇位を狙うもの」 と指摘します。天皇になる資格がないにもかかわらず、その地位を取ろうとした人物、あるいは自らを天皇と名乗ることです。
前者の例は、僧侶の身でありながら天皇に成り代わろうとした道教です。後者の例は、朝廷に反旗を翻し自らを 「新皇 (新しい天皇)」 と称した平将門です。2人とも、本書で取り上げられています。
この本がおもしろいのは、従来の歴史人物観とは異なる視点で歴史が学べることです。
同じ人物でも見方を変えることで、全く違う側面を知ることができます。
黒だと思っていたことが白に近くなる、白だとされていたことがこの観点で着目すれば黒になっていく。本書を読み進めることで、自分が常識として持っていた知識が塗り替えられていくのです。
時代の価値観で評価は変わる
歴史上の人物が悪人と評価されるか英雄と評されるかは、時代の価値観によって変化することがよくわかります。
現代の自分たちの価値観で見れば悪人でしかないかもしれません。しかし、当時の人たちからすれば決してそうではありませんでした。この本を読み、様々な人物像を通してわかります。
著者である井沢元彦氏の指摘で印象的だったのは、次のことでした。本書から引用します。
多くの日本人は英雄に最も必要なものは 「能力」 だと思っているけれど、本当に英雄に必要なのは能力でも運でもなく、その時代の人々が 「非常識」 だと思うことを行える人間なのではないか
現代においても、特に日本のマスコミの報道では悪人とされている人たちがいます。彼ら/彼女らは時に、その非常識な言動でニュースになったりします。しかし、後世の歴史評価では 「英雄」 となっているかもしれません。
本書で登場する人物
最後に、本書で紹介されている人物の一覧です。
- 天智天皇
- 持統天皇
- 中臣鎌足と藤原不比等
- 藤原仲麻呂と道鏡
- 藤原氏 (藤原道長)
- 平将門
- 源頼義と義家
- 源頼朝と義経
- 後醍醐天皇
- 足利尊氏
- 足利義満
- 北条早雲
- 斎藤道三
- 毛利元就