
シンプルに書く! という本から、仕事やビジネスでわかりやすい文章を書く方法をご紹介します。
エントリー内容です。
- 文章はシンプルに
- シンプルにするための文章例
文章はシンプルに
わかりやすい文章を書くために、「考えるプロセス」 と 「書くプロセス」 の2つに分けるとよいです。今回のエントリーでご紹介する シンプルに書く! という本は、後者の 「文章を書く」 ために参考になります。
本書で一貫して説明されているのは、タイトルでもある 「文章をシンプルに書くこと」 です。
読み手の理解と共感を得るために最も大切なのは、実は 「シンプルに書く」 ということです。
伝えるべきことが明確で、それがシンプルに表現された文章が、一番説得力があるのです。
(引用:シンプルに書く!)
この本で紹介されているのは、ビジネスパーソンや学生が、事実関係や自分の考えを簡潔に明瞭に表現し、読み手の理解と共感を得るためのノウハウです。
いかにシンプルに文章を書くかは、例えば次の方法です。
- 文を短く言い切る
- 主語、述語、構文を単純にする
- 重複する表現を避け、余計な言葉を取り除く
- 言葉は正しく使う
- 「てにをは」 を正しく使う
文章をシンプルにするための例
本書の特徴の1つは、多くの例文が使われていることです。
著者の阿部紘久氏は著作活動に加え、社会人や学生の文章添削をされています。本書の執筆時点の2012年で、添削活動は8年目に入っていました。
出てくる例文は、その添削活動で扱った社会人や学生の原文と、著者による改善案です。例文から、どうシンプルに書くかが具体的にわかります。
ここからは、文章をシンプルにするために、参考になったものを4つご紹介します。
1. 述語を早く示す
日本語は述語が最後に来ます。一文が長くなると述語がなかなか登場しないので、読み手は負担に感じます。
本書から引用します。下線部がポイントです。
原文:彼は今朝早く奥さんに伴われて脳外科の専門医として有名な医師の診察を受けるために東京に行った。
改善案:彼は今朝早く奥さんに伴われて東京に行った。脳外科の専門医として有名な医師の診察を受けるためである。
文を分け、「東京に行った」 の述語が早く示されています。改善案の文章はわかりやすくなりました。
2. 主語や主題の数だけ文を分ける
1つの文に主語や主題 (言いたいこと) を1つにすると、文章はシンプルになります。一文に主語や主題が2つあるなら、2つの文に分けるとよいです。
原文:フルートを趣味にしている田中さんと私がピアノを弾いて一緒に演奏したことがある。
改善案:田中さんはフルートを趣味にしている。私がピアノを弾いて、一緒に演奏をしたことがある。
原文だと、ピアノを弾いたのは私だけなのか、田中さんと私の両方なのかが明確ではありません。改善案のように2つの文に分けると読みやすくなります。ピアノを引いたのは私だけで、誤解も生じません。
ポイントは、言いたいことや伝えたいことの数だけ文を分けることです。ときには思い切って短く言い切ってしまうとよいです。短い文はシンプルなので、読み手が余分に考える負担を減らすことができます。
3. 文の形をシンプルにする
書き出しをシンプルにすると、読みやすくなります。
具体的には、文を 「○○ は (or が) 」 で書き始めます。文の形が複雑になるのは、「○○ において」 「○○ にとって」 「○○ としては」 「○○ ということは」 で始めることです。いくつか例をご紹介します。
原文:この経験によって、建築に関わる仕事がしたいと思うきっかけになった。
改善案:この経験が、建築に関わる仕事がしたいと思うきっかけになった。
原文:これらの製品の共通点としては、デザインを刷新した点である。
改善案:これらの製品の共通点は、デザインを刷新したことである。
「経験によって」 「共通点としては」 を、「経験が」 「共通点は」 と書き出すと文はシンプルになります。
意識をしていないと、文が複雑になっていきます。もっとシンプルにできないかと考える集権をつけると良いです。
4. 動詞の後の 「ことで」 を見直す
本書で指摘され、あらためて気付かされました。動詞の後に 「ことで」 がついた文です。
例えば 「専門学校に通うことで資格を取った」 です。「ことで」 は本来不要です。「専門学校に通って資格を取った」 で十分です。「ことで」 は誤った表現ではありませんが、使わないほうが簡潔な文になります。
原文:工程を細かく検討することで、コスト削減のヒントを得ることができた。
改善案:工程を細かく検討した結果、コスト削減のヒントを得ることができた。
原文:GPS は、人工衛星から電波を受信することで現在地を知る装置だ。
改善案:GPS は、人工衛星から電波を受信して現在地を知る装置だ。
自分の書いた文章を見返すと、動詞の後に 「ことで」 をよく使っていました。
最後に
本書で紹介されているシンプルに書く方法は、意識できれば取り入れやすいものが多いです。
しかし、意識していないと文章は長くなり、複雑な構成になってしまいます。読み手は読みづらく感じ、読む負担が増えます。結果、書き手の伝えたいことが読み手に十分に伝わりません。
「自分が知的な人間であることを見せたい」 「気の利いた言い回しを知っていることを示したい」 などと思って書いた文章よりも、シンプルに書けば言いたいことが伝わります。