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「商売の基本サイクル」 という考え方をご紹介します。このサイクルをマーケティングリサーチに当てはめて考えています。
エントリー内容です。
- 商売の基本サイクルとは
- マーケティングリサーチに当てはめる
- 分業の弊害。商売の基本サイクルが止まってしまう場合
商売の基本サイクルとは
V 字回復の経営 - 2年で会社を変えられますか という本に 「商売の基本サイクル」 が書かれています。
小説のストーリー内に出てくる改革コンセプトです。創る → 作る → 売る のサイクルです。
- 創る:開発
- 作る:生産
- 売る:販売
改革の中心コンセプトは、このサイクルに一貫性を持たせ早く力強くまわし続けることです。
小説のストーリーでは、商売の基本サイクルが基本設計となり、事業の戦略と組織の再構築が描かれています。
本書で強調されているのは、次の2点です。
- 一つ一つの商品で、このサイクルを速くまわさなければ負け戦。大組織では、いつの間にかまわりにくくなる
- 商店主のように全社員が 「商売」 を意識できるか
商売の基本サイクルをマーケティングリサーチに当てはめる
本書 V 字回復の経営 - 2年で会社を変えられますか では、製造業が舞台です。
「商売の基本サイクル」 もメーカーの事業プロセスに沿ったものです。しかし、製造業以外のサービス販売業、情報産業など広く適用できるコンセプトです。
例えば、マーケティングリサーチに商売の基本サイクルを当てはめてみます。
創る
- マーケティング目的と問題の把握
- リサーチ目的の設定
- リサーチ課題と仮説の立案
- 調査設計をつくる
作る
- リサーチの実査 (アンケートやインタビューの実施、データ収集)
- データ集計・分析
- 考察・インサイト抽出
- レポート作成
売る
- 報告やプレゼン
商売の基本サイクルに見る 「分業の弊害」
商売の基本サイクルについて、本書で指摘されていたのは分業の弊害です。
分業の弊害
大企業になると分業や組織の細分化が進み、時として部分最適が優先される状況です。
営業と製造の意見対立で、典型的なのは以下です。
- 営業の意見:製造部門が、顧客の求めていないものを作る (売れないのは製造が悪いから)
- 製造の意見:営業部門は、勝手に値引きをしたり生産納期を考えないスケジュール見積もりをつくり、採算が合わなくなる (利益が出ないのは営業が悪いから)
マーケティングリサーチに見る分業の弊害
マーケティングリサーチでも 「創る → 作る → 売る」 の分業が進むと、同じことが起こり得ます。
「創る」 と 「作る」 を同じ人が担当しておらず、各担当者で意思疎通がされていないと、次のような問題が起こります。
- リサーチ課題や仮説が、適切にアンケートに落とし込まれていない
- 必要のないデータが収集される
- 必要なデータが網羅されていない
「作る」 と 「売る」 が断絶していると、つまり、リサーチ結果レポート報告者がリサーチの実査に直接関わっていないと、結果がどういう過程で作られたものかの理解が十分でなくなります。プレゼンでの質問にも適切に答えられないといった弊害が起こります。
商売の基本サイクルが止まってしまう場合
本書で挙げられてるポイントは、商売の基本サイクルをいかに速くまわすかです。
受け渡しをスムーズにできるか
速くまわすためには 「創る → 作る → 売る」 の二つの矢印で、いかにスムーズに受け渡しができるかです。間で止まってしまないようにすることです。
マーケティングリサーチの場合
マーケティングリサーチに当てはめてみます。
「創る → 作る」 の間で止まってしまうのは、リサーチ設計をつくり企画を立てたものの、リサーチ実査に移らなかった場合です。つまり、リサーチが企画倒れだったケースです。
「作る → 売る」 の間で止まってしまうのは、リサーチを実施しレポートに結果をまとめたものの、レビューや報告がされず受け手に届かなかった場合です。つまり、リサーチは役に立たなかった、価値を生まなかったケースです。
最後に
今回は、メーカーで使われた 「商売の基本サイクル」 をご紹介し、マーケティングリサーチに当てはめました。
商売の基本サイクルは、データ分析や、サービス業にも広く使えます。業務プロセスの全体像から、どこに問題があるかを検討するには使いやすいフレームワークです。