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アマゾンが描く2022年の世界 - すべての業界を震撼させる 「ベゾスの大戦略」 という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- アマゾンのミッション、創業時から変わらないビジネスモデル
- ジェフ・ベゾスの 「宇宙プラットフォーム構築」
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
小売り・流通に変革をもたらしてきた EC の巨人・アマゾン。
近年は、リアル店舗への進出にとどまらず、クラウド、宇宙事業、AI 、ビッグデータなどの分野へも展開、米国ではアマゾンに顧客と利益を奪われることを意味する 「アマゾンされる」 という言葉が生まれるほどに、その勢いを増している。
本書は、大学教授、上場企業の取締役、コンサルタントという3つの顔を持つ著者が、膨大な資料と独自のメソッドで、「アマゾンの大戦略」 を読み解く一冊。
アマゾンのミッション
アマゾンが掲げるミッションは、常に2つです。
- 地球上で最も豊富な品揃えを実現する
- 地球上で最もお客を大切にする
EC サイトでは、「品揃え」 「安い」 「早い」 の3つを体現しています。
本書には、AWS のミッションは次のように書かれています。
アマゾンのテクニカルアドバイザー、アンディー・ジャシーは、AWS のミッションについてこう語っています。
「世界的大企業と同じインフラストラクチャーを寮に住む大学生が使える世界を考えたのです。大企業と同じコスト構造が持てるというのは、スタートアップや小企業にとって互角に戦える場ができるということですから」 ( 「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」 ) 。
(引用:アマゾンが描く2022年の世界 - すべての業界を震撼させる 「ベゾスの大戦略」 )
低コスト構造を作り上げ、低価格でユーザーに価値を提供することによって、個人へのエンパワーメントを目指しています。
創業時から変わらないビジネスモデル
アマゾンのビジネスモデルの考え方は、創業時から変わっていません。以下の図は、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが、創業当時にレストランのナプキンに描いたとされるビジネスモデルです。

この図からわかるのは、アマゾンが以下のように持続的に成長できる仕組みをつくり上げていることです。
- 多くの商品を取り扱い 「品揃え」 が増えると、お客にとっての選択肢が増えて 「顧客の体験」 がよくなる
- 満足度が上がると 「トラフィックが増える」 。アマゾンサイトに多くの人が訪れる
- アマゾンで商品を売りたいという 「売り手の増加」 。品揃えが増えるので、顧客体験は向上する
- 売上や成長は 「低コスト構造」 につながる。低コストによって、「低価格」 を実現する
- 豊富な品揃えと低価格が、さらに顧客体験を良くする
プラットフォーム構築
アマゾンのビジネスの共通点は、プラットフォーム構築です。
具体的には、EC サイトに始まり、音楽や動画などの電子コンテンツ配信、クラウドサービスの Amazon Web Service (AWS) です。
リアルの世界では、AI であるアレクサを搭載したスピーカー (Amazon Echo) 、レジによる支払いをなくしたアマゾン・ゴーもプラットフォーム構築と見ることができます。
本書を読むと、アマゾンが進めるプラットフォームの根底には、ベゾスの思いがあり、確固たるビジョン・ミッション・バリューが掲げられていることがわかります。
ベゾスの思いが込められた 「宇宙プラットフォーム構築」
本書で興味深いと思ったのは、アマゾンの宇宙ビジネスについての説明でした。
ベゾスは、宇宙に並々ならぬ情熱を持っていることがわかります。以下は、本書からの引用です。
宇宙事業を語る際には 「人類を宇宙に」 との使命感を露わにするベゾスとはまったく別人のふるまいのようにすら感じられます。動画とはいえ、私は宇宙事業を説明しているときのベゾスは、心からの使命感で熱く語っていると思いました。
「5歳の頃から宇宙に夢を抱いてきた」
「自分はアマゾンという大きな宝くじを当てた。その資金を宇宙事業につぎ込んでいる。そのためにアマゾンをやっていると言っていいくらいだ」
(引用:アマゾンが描く2022年の世界 - すべての業界を震撼させる 「ベゾスの大戦略」 )
アマゾンの宇宙ビジネスにかける思いは、アマゾンがこれまで手掛けてきたプラットフォーム構築と同じ動機があります。
ベゾスは、「自分がアマゾンを始めたときには、通信、交通、コンピュータなどのインフラは当たり前のようにあった。だからスタートアップでは自分たちの資金でアマゾンを始めることができた」 と言っています。
AWS では、スタートアップや大学生でもクラウドを低コスト使えるようになり、世界的大企業ではなくても自分たちの事業をやれることを実現しています。
宇宙ビジネスも同じです。宇宙でのプラットフォームを構築することによって、宇宙事業に容易に参入できることを目指しています。
本書には、ベゾスが語った宇宙ビジネスへの使命感が、次のように書かれています。
「宇宙事業は現在でも巨額の投資が必要だ。それを自分が宇宙事業のプラットフォームをつくっていくことで起業家も参加しやすくなり、宇宙に行くこと自体もより低コストで可能になるようにしたい」
「地球の将来を考えると人類の何割かは宇宙に住むことが必要になる時代が到来する。全世界の人口を抑えることは望ましいことではない。それよりも地球と宇宙に別れてそれぞれが望むところに住むほうがいい」
「今からずっと先のことかも知れないが、自分はこのようなことに貢献したいと思っている」
(引用:アマゾンが描く2022年の世界 - すべての業界を震撼させる 「ベゾスの大戦略」 )
本書には、アマゾンは、地球と宇宙間の宅配事業やドローン事業を構想しているだろうと書かれています。すでに NASA に対しては、月への定住を可能にするために 「2020年中頃までに月の居住者に備品から食料まであらゆるものを配送できるサービス」 を提案しているとのことです。
ジェフ・ベゾスという人物
もう一つ興味深かったのは、アマゾン創業者であるベゾスの人物評です。
以下は本書からの引用です。
一言でいうならば、ベゾスはすべてにおいて両極端な人物のようです。
長期にわたりミッションを追い続ける 「超長期」 の視点と、PDCA を超高速回転させる 「超短期」 の視点、あるいは陰と陽。性格的にも、すごくフレンドリーだったかと思えば、怒り狂ったりもする人物といわれています。
人として好ましい人物かといえば、それは疑わしいようです。しかし、こうしたベゾスのパーソナリティがアマゾンをアマゾンたらしめているという事実は、疑いようもありません。前述したとおり、アマゾンが驚異的なのは、顧客第一主義が単なるお題目に終わらず、すべて貫徹、「やり切る」 ところ。常識的な人間には、そんなことは不可能です。
(引用:アマゾンが描く2022年の世界 - すべての業界を震撼させる 「ベゾスの大戦略」 )
ベゾスが、長期的な視点からビジネスを設計・構築し、そこから逆算して今何をやべきか明確化して、日々のオペレーションや PDCA を回していることが強調して書かれています。「100年単位で1日を見直す」 という長期と短期の両方の視点で事業化をしているのがアマゾンであるという指摘が印象的でした。
最後に
今回ご紹介した アマゾンが描く2022年の世界 という本は、アマゾンのこれからを考えるときに参考になる内容です。