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今回のブログエントリーは、三日坊主防止アプリの みんチャレ について書いています。
みんチャレとは
みんチャレでは、匿名ユーザー同士が、習慣にしたいことを続けるために5人でチームを組み、チャットで励まし合いながらチャレンジし合います。
コンセプトは、「みんなとなら、続けられる」 です。こちらが、みんチャレの公式サイトです。
みんチャレの 「マジックモーメント」
マジックモーメントとは、みんチャレを使い始めて、みんチャレならではのユーザー体験です。体験の中でも特に、「おもしろさ」 や 「うれしい」 という瞬間です。
Facebook のマジックモーメント
他のサービスでのマジックモーメントの例は、フェイスブックであれば次の通りです。
- 友人・知人を探して見つかる
- 承認申請をしてつながる
- 友人・知人の投稿や写真がニュースフィードに流れてくる
- 自分が投稿したことに "いいね" やコメントがつく
みんチャレのマジックモーメント
私がみんチャレを使い始めて体験したマジックモーメントは、次の通りです。() 内は具体的にその時に感じたうれしさです (設計仕様は2018年3月現在) 。
- 自分が継続したいことをやっているチームが見つかる (自分と同じことに熱意を持っている人がいるうれしさ)
- すでに5人メンバーで満員になっているチームがあるが、中には4人以下で募集中のチームが見つかる (自分が入れるチームが見つかったうれしさ)
- チームに参加する。「はじめまして」 のコメントをする。メンバーから返信をもらえる (チームに自分が受け入れられたうれしさ)
- やったことのチャレンジ写真をアップして共有 (報告) する。他のメンバーから 「OK」 がもらえると正式に 「達成」 となる (自分のやったことが承認されたうれしさ)
- チャレンジ写真について、コメントまでもらえる時がある (自分のやったことがさらに認められたように思えるうれしさ)
- その日にチーム全員が達成するとボーナスコインがもらえる (チーム全員での達成感が得られるうれしさ)
- 3日連続や、7日、10日、21日、30日などの連続で達成すると、ボーナスコインがもらえる (継続できていることを実感できるうれしさ)
このように、継続するために 「またがんばろう」 と思えるユーザー体験設計になっています。
みんチャレの提供価値
みんチャレをやっていて思う提供価値は、「自分一人では続けるのが難しくても、チームで (みんなで) やることによって継続し習慣にできること」 です。
このユーザー体験は、「みんなとなら、続けられる」 というコンセプトそのものです。
みんチャレがやっていることは、プラットフォームを用意し、同じ目的と熱意を持った人々のマッチングと、仕組みによる習慣化の後押しです。仕組みは、「アイデア」 「テクノロジー」 「データ」 を掛け合わせてつくられています。
思ったこと 1: みんチャレの継続サイクル
ここからはみんチャレについて思ったことです。5つあります。
1つめは、継続サイクルに見るユーザー体験設計です。
先ほどのマジックモーメントで見たように、みんチャレでは、ユーザーのチャレンジしたいことを継続できるように、様々な工夫がされています。
みんチャレのユーザー体験設計を抽象化すると、次の4つのサイクルがまわっています。
- 行動
- 達成
- 報告と承認
- 快 (うれしさ)
私がみんチャレで参加しているランニングのチームで、このサイクルを見てみます。
- 朝のランニングをする (行動)
- ランニングをやり終える (達成)
- 今日の朝のランニングが終わったことを、ランニングアプリの記録画面をアップしてチームメンバーに共有。報告を見た他のメンバーから 「OK」 がもらえる (報告と承認)
- ランニングという行動をやったことへの達成感や、チームメンバーから承認され、うれしい気持ちになる (快 (うれしさ) )
このうれしさの体験によって、次もまたがんばろうという気持ちになります。
ユーザー体験設計で大事なのは、「行動 → 達成 → 報告 → 快」 というサイクルがいかにスムーズにまわり続けるかです。
はじめの 「行動」 は、ハードルの高すぎず低すぎないレベルでストレスなく始められるかが大切です。報告はいかに手間なくできるか、そして、達成したことへの 「快」 は、小さすぎず大きすぎず、常に飽きさせない工夫がされているかです。
思ったこと 2: 匿名5人チームという絶妙さ
みんチャレは、基本的に匿名での利用です。ユーザー名はニックネームを使い、ユーザーアイコンは多くがキャクター・動物・風景写真などです。実際の顔写真を公開しているユーザーは少ないです。
チームは最大5人で構成されます。一時的に退出者がいたり、チームができて間もない段階で参加募集の状態では、4人以下のチーム構成もありますが、基本は5人のメンバーでチームがつくられます。
みんチャレをやっていて思うのは、匿名の5人という多すぎず少なすぎない絶妙なチーム構成ということです。
多すぎると、匿名が前提なので誰が誰だかわからなくなるはずです。もし実名で、かつお互いに知っている同士のフェイスブックのような人間関係であれば、もっと多いチームも成立します。しかし、お互いの相手の情報が少ない匿名メンバー同士の空間では5人というのは適切な人数規模です。
逆に少なすぎると、更新頻度やメンバー間のやりとりが少なくなりチームの活性度合いが下がります。
みんチャレは同じ目標を共有し、習慣を目指すコミュニティです。コミュニティ設計という視点で、チームの最大人数を5人にしているのは興味深いです。
思ったこと 3: 「個人での達成感」 と 「チームでの達成感」 のバランス
みんチャレを使っていての印象は、チームでの達成感より個人での達成感を得やすいユーザーインターフェイスになっていることです (2018年4月現在) 。設計として、チームが一体となって目標を達成し継続することよりも、個人で目標を達成し習慣にするようなつくりに感じます。
みんチャレが意図的にそうしているのか、インターフェイスの設計で結果的にそうなっているのかはわかりません。チームの達成や一体感は、あくまで個人の習慣化の 「手段」 になっている印象です。
たとえるなら、組織で目標を立てたり相手チームに勝つようなチームスポーツ (例: サッカー) ではなく、日本の大相撲のようです。相撲では同じ部屋に所属し普段は一緒に稽古をしますが、相手と勝負をするのは力士個人です。
これは良い悪いではなく考え方で、みんチャレは 「個人での達成感」 と 「チームでの達成感」 のバランスが、個人のほうに重きを置いています。
思ったこと 4: 全く同じレベル感の人はなかなか見つからない
みんチャレには、様々なテーマで目標を持ったユーザーがチームで挑戦をしています。自分が参加したいチームを検索し、チーム紹介や達成度合い情報から自分に合ったチームかどうかを判断します。
見つけやすい仕組みは用意されていますが、それでも、自分と同じ熱意、能力、行動頻度の人が見つかるのは稀です。さらに5人のチームになると、なおさら各自でレベル感の差が見えてきます。
ほとんどの場合は許容できるので問題ないですが、違いが大きすぎると、そのチームに自分がいづらく、自分の居場所がないように感じます。チームとしての一体感が下がり、コミュニティへの帰属意識が低くなります。
関連して、みんチャレでは、やったことをチャレンジ写真としてアップし、チームメンバーの少なくとも1人から 「OK」 をもらえれば、みんチャレ上は 「達成」 になります。チームが活性化していないと誰からも OK がない場合があり、自分はせっかくやったのに未達成と同じとして扱われるユーザー体験は、残念に思えます。
みんチャレのユーザー数が増え、利用がより活発になればレベル感の統一は解決するのかもしれません。身近な友人や知人だけの中で探すよりみんチャレでは見つかりやすいものの、マッチングの難しさをあらためて考えさせられました。
思ったこと 5: みんチャレで 「やらないこと」 の習慣化はできるか
何かを継続し習慣化する行動は、大きく2つに分けることができます。「不足行動」 と 「過剰行動」 です。
前者の不足行動とは、今やれていなかったりできていないことを新たに追加をしてやるものです。例えば、英語の勉強をする、運動をする、本を読むなどの、できていないこと (不足) を習慣にすることです。
後者の過剰行動とは、今やってしまっていることを減らしたり止めるものです。具体例は、禁煙、禁酒、ダイエットや健康のために身体によくないものを食べないことです。
みんチャレの仕組みは、目標とする行動を達成したことを証拠として写真に撮り、チームメンバーに共有します。メンバーに承認されることによって、1人ではできない達成感を得られ続け、モチベーションができます。
この仕組みが合うのは、不足行動を継続させることです。一方、過剰行動の継続化には不向きだと感じます。
過剰行動の抑制は、食後のデザートを食べなかった、夜食を控えた、もう1つ食べたかったが腹八分目に抑えたなどの、自分にしかわからないようなことです。やらなかったことなので、直接それを写真に残す可視化が難しいです。
もちろん、ダイエットのために甘いお菓子を食べない代わりに、今日はサラダを多めに食べたという報告はできます。しかし、不足行動に比べ、直接の達成感を得られにくいように感じます。
最後に
みんチャレをやっていて、自分ならこうするのにと思えることはありますが、全体としては気に入って使っています。
同じ目標でも、チームメンバーのやり方や考え方は自分と違っていることもあり、共通の目標でつながっているからこそ興味深く、気づきや学びがあります。
最後に、以下はみんチャレの関連情報です。