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実戦 BtoB マーケティング という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- 戦略のフレームワーク
- 発想の転換 (4つ)
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
本書で扱う BtoB マーケティングは、顧客戦略、商品戦略、差別化戦略、経営戦略まで踏み込む考え方です。
なぜあなたの商品は 「お客様に選ばれない」 のか?なぜあなたの営業が 「お客様に刺さらない」 のか?
BtoB 企業の経営者、法人営業、商品開発、企画部門の方の必読書。法人顧客に選ばれ、頼られる存在になれる 「5つの秘訣」 を徹底解説。
戦略フレームワーク (戦略 BASiCS)
この本のベースになっているのは 「戦略 BASiCS (ベーシックスと読みます) 」 です。マーケティングのフレームワークで、5つの頭文字で構成されます。
- Battlefield (戦場)
- Asset (独自資源)
- Strength (強み / 差別化)
- Customer (顧客)
- Selling Message (売り文句)
BtoB マーケティングを成功させるポイントは、5つの要素に一貫性があり、具体的になっているかです。BASiCS で整合性が取れれば、以下のようなきれいな流れができます。
- 戦いやすい市場で [戦場]
- ノウハウや資産などの独自資源を活かし [独自資源]
- 差別化された商品・サービスを [強み]
- ターゲット顧客に対して [顧客]
- わかりやすく価値を伝えられる [売り文句]
発想の転換
本書を興味深く読んだのは、いくつかの発想の転換があるからです。
具体的には、以下の4つです。
1. 売り込むのではなく、選んでもらう
この本で一貫した考え方は、法人向けである BtoB マーケティングでは、お客に売り込むかを考えるのではなく、自分たちがお客から選んでもらうことです。選ばれる理由を戦略的につくり、選ばれるような提案をするというアプローチです。
選ばれる理由とは、競合に比べての自分たちの強みです。強みをつくること、そして強みをお客さんにどう伝えるかです。
お客さんから選ばれる存在になり、結果として自分たちの売上を上げるという考え方です。目指すのは、お客さんから選ばれ、信頼され頼られる存在になり、それにより売れる状況です。
2. 提案するのは、商品・サービスの特徴や性能ではなく 「ベネフィット」 と 「使い方」
お客さんがお金を支払い買っているのは、本質的には商品やサービスそのものではありません。
その商品・サービスを導入し、利用することによるベネフィットです。BtoB の視点で言えば、利用することによって売上が上がり利益が得られるなどの、自社ビジネスにとってどんな良いことがあるかです。
顧客への提案は、自分たちが売りたい商品の性能や特徴を訴求するのではなく、「ベネフィット」 と 「使い方」 です。話す主語は 「商品は xxx 」 ではなく、「御社は xxx 」 です。
ベネフィットと使い方の伝え方は、三段階です。
- ベネフィット:売上や利益がこのくらい増えます
- 理由:品質が上がります、コストが下がります、工程が短縮し工数が削減します (あるいは安定提供できます)
- 使い方:弊社の商品を御社ではこのように使っていただけます
自分たちが売りたい商品の特徴や技術的な詳細をいきなり伝えるのではありません。あくまで顧客にとってどんなメリットがあるのか、理由、具体的にどのように使うのかと、全てにおいて主語は顧客です。
3. お客だけではなく 「お客のお客」 のことを考える
顧客視点に立つとは、お客の立場から自分たちがどう見えるかだけではありません。お客の視点で、彼らのお客にどう向き合うかを考えることです。自分たちから見れば、お客のお客です。
例えば、自分たちが飲食店向けの飲料事業をやっている場合、直接のお客はレストランなどの飲食店です。飲食店のお客は、食べに来る人です。お客のお客とは、来店客です。
飲食店のお客に価値がもたらされれば、飲食店の売上が上がります。自分たちからお客のお客に直接的に接することができなくても、お客を通じてお客のお客へのベネフィットをつくることができるかです。お客の営業をサポートし、お客のマーケティングを支援することによって、自分たちがお客から選ばれ、頼られる存在になることを目指します。
4. BtoB も BtoC も本質的には同じ
法人顧客を相手にする BtoB ビジネスと、一般的な消費者を相手にする BtoC ビジネスは、一般的には異なるものと思われています。
しかし本書を読むと、確かに表面的には違いがあるものの、本質的には同じだとわかります。結局は人が意思決定をし、決める判断基準は自分たちにとってどんなベネフィットがあるかです。支払う金額に対してベネフィットがあると思えば買われ、少なければ買ってもらえません。
また、BtoB ビジネスでもお客のお客のことも見るようになると、C のことを考えることになります。BtoC ビジネスをしている顧客のベネフィットを考えるにあたって、必然的に消費者のベネフィットは何か、間接的にでも自分たちは消費者にどんな価値を提供できるかです。
最後に
BtoB マーケティングと聞くと、消費者を相手にする BtoC マーケティングとは全く違った分野のイメージを抱くかもしれません。
しかし、根本的な部分は BtoB であっても BtoC であっても変わりません。人を相手にし、その人のことをどれだけ理解できるか、時には泥臭いコミュニケーションからいかに信頼関係を築くかです。
本書に書かれていることは、マーケティングや営業の本質的なことです。著者の佐藤氏のご経験を元にした事例が多くあり、今すぐに使えるやり方、考え方がわかりやすく書かれています。