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マーケティング戦略についてです。知人から、自社商品のマーケティング戦略をどうつくればよいかの相談を受けました。今回は、どのようなアドバイスをしたかを書いています。
エントリー内容です。
- 相談内容
- マーケティング戦略のつくり方 (5つのフレーム)
- 戦略からマーケティング施策へ
マーケティングの相談内容
架空のケースにするために、相談された自社商品をスマートウォッチに置き換えてご説明します。
相談の背景
- 知人は今月から新しい部署に異動になり、スマートウォッチのマーケティング責任者になった
- プロダクト開発の部署は別にあり、マーケティング部は開発部と連携をしながら、マーケティングを展開していく
- 自社のスマートウォッチの販売金額シェアは 10% 超。使われ方は、メインのウォッチというよりも、2台目としてが多いよう
相談内容
- 異動して初めてわかったのは、マーケティングの方針が明確になっていないこと
- メインとなるターゲット顧客像が定まっておらず、どのようなマーケティング戦略にするかがつくられていない
- マーケティング施策に落とし込めていない
マーケティング戦略のつくり方
自分がスマートウォッチのマーケティング責任者であれば、どうするかを考えて知人にアドバイスをしました。
具体的には、以下の5つの要素を考えます。
- 現在のユーザーは誰か
- ユーザーが自社商品を選んだ理由は何か
- 選んだ時に、他の選択候補は何があったか
- 自社商品の提供価値は、社内の何によって実現しているか (提供価値の源泉は何か)
- 提供価値を伝えるために、どんなメッセージを打ち出すか
以下、それぞれについて補足です。
1. 現在のユーザーは誰か
現状の問題点は、ターゲット顧客像が定まっていないことです。市場シェアは 10% 超とユーザーは存在するものの、どういう人たちが、どのような使い方をしているのかについて、自分たちが把握できていないことです。
まずは、現在のユーザーは誰なのか、具体的な利用シーンを明らかにすることです。誰がどのように使っているかがわかれば、自社スマートウォッチに求めるベネフィットごとに、セグメンテーションをつくるとよいです。
高度な分析モデルを使ったセグメンテーションではなくても構いません。ざっくりとでもいいので、ベネフィットの種類、各ベネフィットを求めるユーザーの規模がどれくらいか、各セグメントを構成するのはどんな人たちかを理解します。
セグメントが多数できた場合は、優先順位を決めます。ターゲットを絞るためです。厳密には、人を絞るというよりもベネフィットを絞るためです。
2. ユーザーが自社商品を選んだ理由は何か
セグメントの人たちが、どういった理由で自社スマートウォッチを選んだかを把握します。選ぶというのは、2つあります。買う時、スマートウォッチを使う時です (自社スマートウォッチが2台目として使われるケースがあるため) 。
1つめの買う時の選んだ理由は、他にもスマートウォッチや、スマートウォッチではない普通の時計、ウェアラブルデバイスがある中で、自社スマートウォッチに何を期待して選び買ってもらえたかです。この選ばれた理由こそが、自社スマートウォッチが持つ他にはない強みです。
2つめの使う時に選んだ理由も同様です。メインのスマートウォッチではなく、なぜその状況では自社スマートウォッチを選んだのかです。あるいは、普通の腕時計ではなく、なぜスマートウォッチを使うのかです。
使う時に選ばれた理由から、自社スマートウォッチが他の選択肢 (メインのスマートウォッチや普通の腕時計) に比べての強み、具体的にユーザーは自社スマートウォッチの何に価値を感じているかが見えてきます。
3. 選んだ時に、他の選択候補は何があったか
自社スマートウォッチの競合を見極めます。ここで言う競合は、単純なスマートウォッチのカテゴリーの他社商品だけにとどまりません。
購入時においては、消費者の頭の中に浮かんだ他の選択肢全般です。
例えば、スマートウォッチか、一般的な腕時計を買うかで迷ったのかです。それとも、スマートフォンの買い替えか、スマートウォッチを買うかを考えたかです。選択肢に入っていたのであれば、自社スマートウォッチの競合には腕時計やスマホも含めます。
利用する際も同様です。
自社スマートウォッチを使う目的において、同じ目的のためには他の選択肢があったかどうかです。自社スマートウォッチの直接の競合は、1台めのメインのスマートウォッチかもしれませんし、スマートフォンの可能性もあります。この場合も、利用の競合にはユーザーの頭に浮かぶ他の選択肢を含めるようにします。
4. 自社商品の提供価値は、社内の何によって実現しているか (提供価値の源泉は何か)
自社スマートウォッチがユーザーに提供できている価値は、何によって実現しているかです。
例えば、値段のわりに性能が良いのであれば、整った生産設備があり低コストで製造ができているからなのかです。高性能なスマートウォッチで他社商品にはできない価値があるのは、自社が持つ高い技術や優秀な人材によってなのかです。
提供価値の 「源泉」 は何か、源泉は他社には簡単には真似されず、希少性があるのかを見極めます。真似されない源泉から実現できている提供価値 (= 選ばれる理由) であれば、持続的な優位が築けます。
5. 提供価値を伝えるために、どんなメッセージを打ち出すか
消費者に自社スマートウォッチの興味を持ってもらい、頭の中の選択肢に入り、選ばれ買ってもらえるか、そして、買った後も、選ばれ利用されるかです。
マーケティング戦略の最後の5つめは、選ばれるために、つまり提供価値を伝えるためにどのようなメッセージを打ち出すかです。
1つめで設定したベネフィットセグメントに入る消費者に対して、他の選択肢よりも自社スマートウォッチを選んでもらえるよう、源泉によってもたらされている提供価値を、いかに適切に、魅力的に伝えるかです。
戦略からマーケティング施策へ
以上の5つについて、それぞれで連動し、戦略に一貫性と具体性をもたせます。
戦略が立てられれば、何をやって何をやらないかが決まります。戦略に沿って、マーケティング施策という戦術に落とし込みます。フレームは 4P がよいでしょう。
4つの P に対してそれぞれ KPI を設定し、実行します。KPI で、実行の何が機能し、何がうまくいかなかったのかを評価します。うまく機能しなかった失敗から学び、次に活かします。
まとめ
今回は、マーケティング戦略について、自分はどう考えるかをご紹介しました。スマートウォッチという架空のケースでしたが、知人に伝えたことの本質は同じです。
最後にまとめとして、戦略を立てるための5つの要素です。
- 現在のユーザーは誰か
- ユーザーが自社商品を選んだ理由は何か
- 選んだ時に、他の選択候補は何があったか
- 自社商品の提供価値は、社内の何によって実現しているか (提供価値の源泉は何か)
- 提供価値を伝えるために、どんなメッセージを打ち出すか