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ファイナンス思考 - 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論 という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容。「PL 思考」 と 「ファイナンス思考」
- ファイナンスとビジネスの本質
- 読んで思ったこと
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
日本に Amazon が生まれない理由は目先の売上・利益にとらわれる 「PL 脳」 にあった!
最善の意思決定をするための頭の使い方とは?
会計は 「過去」 を、ファイナンス思考は 「未来」 をみる。変化の時代に勝てる事業を育てる "ビジネスマインド" の教科書。
「PL 思考」 と 「ファイナンス思考」
本書のキーワードは PL 脳 (PL 思考) とファイアンス思考です。
PL 思考
PL 思考は、目先の売上や利益を最大化することを目的にします。
時間軸は短期です。毎月や四半期ごとの PL (損益計算書) 改善に注力し、大きな構想や成長戦略の長期的なものの考え方や状況判断、決断の根拠は、狭い視野で行われます。
考える時間軸は、四半期などの会計基準からです。必ずしも、自分たちの事業に沿った時間軸ではありません。この意味において、PL 思考は他律的です。
ファイナンス思考
ファイナンス思考は、会社の企業価値を最大化することを目指します。長期的な目線に立ち、事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てます。会社の戦略へのものの考え方です。
将来に稼ぐと期待できるお金の総額を最大化するために、何をするかという発想です。事業に合わせて最適な時間の長さを主体的に設定します。自らの意志を持って設計し、事業戦略と財務戦略に沿って打ち手を繰り出します。
ファイナンス思考とは態度や思考であり、究極的には志であると説明されます。
PL 思考からは、過去と現在を知ります。ファイナンス思考は未来に目が向きます。どこへ向かって (目的) 、どの道を (戦略) 、どうやって行くか (戦術) です。
ファイナンスとビジネスの本質
この本からは、ファイナンスとビジネスの本質は何かを考えさせられました。
ファイナンスとは
本書で、核となるファイナンスのフレームワークをご紹介します。
- 外部からの資金調達:事業に必要なお金を外部から最適なバランスと条件で調達する。増資や融資
- 事業からの資金創出:既存の事業や資産から最大限にお金を創出する
- 資産の最適配分:築いた資産 (お金を含む) を既存事業や新規事業に投資、買収、従業員または株主・債権者への還元に、最適に配分する
- ステークホルダーとのコミュニケーション:資産配分の意志と経緯の合理性をステークホルダーに説明する
ファイナンスとは、外部からと事業から得た資金を循環させ健全にコントロールしながら、段階的により多くのお金を生み出す仕組みを作り出すことです。
ビジネスとは
ビジネスは何かを俯瞰すると、必要な資金を集め投資をし、商品・サービス開発を行ない、顧客に提供し価値の対価を得ます。そして、事業から生み出した資産を、最適配分します。
読んで思ったこと
PL 思考とファイナンス思考で思ったのは、どちらか一方ではなく両方ともが大事だということです。
本書が問題提起をするように、確かに PL 思考だけでは弊害があります。短期的な時間軸で目の前のことに意識が向くあまり、視野が狭く、視点が偏り、適切な状況判断や意思決定ができなくなります。
長期的な時間軸で、価値思考・未来思考であるファイナンス思考が必要な理由です。
PL 思考からは、過去から現在の現状把握ができます。思ったのは、ものごとを考え、決断するためには、複眼的な見方が求められることです。時間軸の短期と長期、過去・現在と未来、直近の売上・利益と将来的な価値です。
注意が必要なのは、意識しないと人はどうしても目の前のことにとらわれてしまうことです。PL 思考になるということです。PL 思考だけになってしまうことは、本書で強調されている弊害があります。
意図的に自分の頭やものの考え方を、ファイナンス思考にもっていくことが大事です。
最後に
本書からは、ファイナンスのテクニックや実践的なノウハウよりも、ファイナンスの考え方を学ぶことができます。
ファイナンスの視点でビジネスを考えるとは、どのようなものの見方をするのかを興味深く読みました。