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ビジネスでのプロダクト開発についてです。
アーリーアダプターなどを分類したキャズム理論から、プロダクト開発の進め方を書いています。
エントリー内容です。
- プロダクトマネージャーの3つの役割
- キャズム理論 (顧客の5つの分類)
- アーリーアダプターなどの顧客との向き合い方
プロダクトマネージャーの3つの役割
プロダクト開発で、開発を主導するプロダクトマネージャーの役割は、以下の3つです。
- プロダクトの市場性を見極める (Product market fit)
- 開発するプロダクトを定義する
- 顧客やユーザーからフィードバックを得る仕組みをつくる。フィードバックをプロダクト開発に活かす
新しいプロダクトやサービスの開発で大事なのは、初期顧客として誰に使ってもらうかです。ポイントは、開発初期の段階で顧客と一緒に、同じ仲間のように開発に協力してもらえるような関係ができるかです。
キャズム理論 (顧客の5つの分類)
プロダクトの開発フェーズごとに、適切なパートナーを探し組めるかが大事です。そのために、キャズム理論の顧客区分が参考になります。
キャズム理論は、顧客を5つに分類します。
- イノベーター
- アーリーアダプター
- アーリーマジョリティ
- レイトマジョリティ
- ラガード
すぐに未来予測ができるようになる62の法則 という本に書かれているそれぞれの特徴は、次の通りです。() 内のパーセントの数値は、キャズム理論で言われている人数比です。
イノベーター (2.5%)
- 常に新しいことに挑戦し、まだ誰もやっていないことをあえてやる。独創的なことを楽しむ
- 自分が少数派であることを気にしない
- 交際範囲は狭い。同じイノベーター、またはせいぜいアーリーアダプターまで
アーリーアダプター (13.5%)
- 好む言葉は 「社会的尊敬」 。オピニオンリーダーを目指し、社会的評価を求める。自分にみんなが付いてきてほしい
- 交際範囲は広い。情報をいち早く収集している。イノベーターの観察に力を注ぐ
- イノベーターが注目する新商品には即座に飛びつかない。他の人が自分に付いてくるかどうかを判断してから
アーリーマジョリティ (34%)
- 特徴づける言葉は 「コンセンサス」 。無難が第一
- 新しいものを採用する最初の人にはならない (実績を気にする) 、一方、最後であってはならない (自分だけが取り残されたくない)
- 注意して眺めているのはオピニオンリーダー (アーリーアダプター)
レイトマジョリティ (34%)
- 特徴づける言葉は 「慎重熟慮」 。より一層の無難を良しとする
- 変化に対しては鈍感。自分が変化の当事者になることは避ける
- 新しいものへの対応は、長所や利便性を判断するよりも、普及率に左右される (まわりのみんなが使っているか)
ラガード (16%)
- 特徴づける言葉は 「伝統」 。変化には無関心、新奇なものは軽蔑しがち
- ラガードが採用することは、もはや流行ではなく社会に広く定着したもの
アーリーアダプターなどの顧客との向き合い方
プロダクト開発において重要なのは、市場性を見極め、顧客からのフィードバックをいかに得るかです。
キャズム理論の5つの分類を参考にするにあたって、考えると良い視点は以下です。
- 最終的に開発するプロダクトやサービスは、どこまでの普及を目指すのか (例: アーリーアダプターまでか、レイトマジョリティまでのシェアを狙うのか)
- 広げる順番を間違えない。イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティの順に進める
- 今の開発フェーズで自分たちが向き合う顧客は、5つの分類のうちどれに当てはまるかを見極める
- 特定の区分の顧客ニーズや要望に最適化しすぎない (例: 開発初期においてイノベーターのニーズや要望を取り入れすぎない)
最後の顧客ニーズに最適化しすぎることへの補足です。
キャズム理論の5つの分類で見たように、顧客が求めることや何に価値を感じるかは、5つのそれぞれで異なります。
- イノベーター:新しい技術そのものに魅力を感じる
- アーリーアダプター:新しいことの意味を理解し、利便性や自分が採用することによって評価が得られるかを意識する
- アーリーマジョリティ:新しいことを取り入れるにあたって、すでに実績があるか、先行事例から判断する。新しいものを取り入れずに自分が置いていかれることを恐れつつ、自分が先頭に立って変化をすることは好まない
区分ごとに異なる顧客ニーズがあります。特定の区分のニーズや要望に応え過ぎることは、他の区分の顧客ニーズを満たせなくなるリスクがあります。
広げる順番を間違えないこと、今はどの区分の顧客層に向き合うのか、ニーズの満たし方のアプローチを見誤らないことが大事です。
ちなみに、私の経験から、新しいプロダクトや商品を紹介した際に、他社事例や実績を真っ先に聞いてくるかどうかが、アーリーアダプターかアーリーマジョリティかを判断する目安の1つです。
最後に
今回は、プロダクト開発について、キャズム理論の観点からどのように新規開発を進めるかを考えました。
キャズムとは、「溝」 という意味です。イノベーターからアーリーアダプター、アーリーアダプターからアーリーマジョリティへは決してスムーズに購入や利用が移っていくわけではありません。まるで大きな溝があるように、それぞれの間には断絶があるのです。
プロダクト開発では、顧客やユーザーからどれだけフィードバックを得るか、そして、開発に反映できるかです。
5つの区分の人たちは、それぞれ求めるニーズが異なります。求めるものが違うことを念頭に、フィードバックのコミュニケーションアプローチも変えながら、プロダクト開発のフェーズを進めます。
最後に、関連エントリーのご紹介です。キャズム理論について書かれた本の書評です。
よろしければ、ぜひご覧ください。