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ある本に書かれていて興味深いと思った、「広い集中力」 について考えます。
エントリー内容です。
- 広い集中力
- どうすれば広い集中ができるようになるか
広い集中力
サッカーの岡田武史氏と将棋の羽生善治氏の対談本である 勝負哲学 に、「広い集中力」 について書かれていました。
広い集中力とは何か
岡田さんと羽生さんの興味深い議論です。以下は本書からの引用です。
岡田:周囲がよく見える選手というのは 「広い集中力」 をもっているんじゃないでしょうか。
羽生:広い集中力、ですか?
岡田:そう。以前、ライフル射撃の日本代表監督にうかがった話ですが、弾を的に当てるためには、銃の先端についている照準とずっと前方にある標的を一直線で結ばなくてはなりませんよね。
そのとき、照準や標的だけを見ていると銃の先をピタリと停止させることができないんですって。一点に集中しすぎると力が入って銃が静止しないんですね。
どうするかというと、照準や標的の周囲の景色も視野に入れながら集中するんだそうです。つまり 「全体に集中する」 、それが大事なんだそうです。
カメラでいえば、被写体全部にピントを合わせるような話で、私もやってみたら、銃の先が止まるんですよ。
羽生:ああ。感覚的にはわかる気がしますね。広さの把握と深さの把握を同時に行うような感覚じゃないでしょうか。
もしそうなら、それこそ大局観をつかむときはそんな感じですよ。集中力の濃度を保ったまま、集中範囲を拡張するような感じですね。
岡田:虫の目の集中度をもったまま鳥の目で見るということですか。全体を見る目と部分を見る目が同時に働いているような──それなら少し、私もわかる気がしますが。
ともあれ、 ひとつの部分だけに意識が集中するんじゃなくて、全体に意識を行き渡らせる広い集中力に長けている。
それがいい選手の重要な条件のひとつであることはジャンルを問わないことなんでしょうね。
(引用:勝負哲学)
広い集中力とは、「虫の目」 で詳細に集中しながら、同時に 「鳥の目」 で広く見渡しているような状態です。視野を広くとり、低い視座と高い視座の両方からものごとを見ています。
広い集中力への私見
広い集中力について私が思うのは、厳密には鳥の目と虫の目を同時にではなく、高速で切り替えている状態だということです。高い集中力によって、普段よりも早いスピードで、高い視座と低い視座を交互に使い分けているイメージです。
通常の集中力だと、早すぎる切り替えは脳の中の画像などの情報処理が追いつきません。しかし、一定以上の集中力があれば、高速の視座の切り替えを可能にします。
脳の中では、あたかも同時に異なる目で捉えているように感じたことが、「広い集中力」 という表現のような状態になるのではということです。
どうすれば広い集中ができるようになるか
では、広い集中力ができるようになるには、どうすればよいのでしょうか?
3つの 「視」 に分解する
広い集中力ができるために、3つの 「視」 に分解し、それぞれの着眼点を複数で持つとよいです。そして、複数を自在に切り替えられるようにすることです。
- 視点:異なる視点を複数持つ。相手視点や顧客視点、自分でも相手でもない第三者の視点
- 視野:視野が狭くならないように、意識的に広い視野で見る。視野を広げて全体像を大きくとる
- 視座:自分よりも低い視座、高い視座の両方で捉える。虫の目から具体的なことを見て、鳥の目から抽象度の高いものごとの捉え方をする
「できる」 から 「やっている」 に
3つの 「視」 での切り替えを意識的にではなく、無意識にやれる状態を目指します。
意識すれば 「できる」 というレベルから、意識しなくても自在に 「やっている」 というレベルまで引き上げます。「やっている」 までいければ、自分に定着した状態です。
なお、「できる」 から 「やっている」 については、別のエントリーで書いています。よろしければ、ぜひご覧ください。
最後に
今回は、広い集中力とは何か、広い集中をできるようにするためにどうすればよいかを考えました。
広い集中力を発揮するためのポイントは、視点・視野・視座の3つそれぞれマルチに切り替えられるようにすることです。さらに、切り替えのスピードを上げ、意識しなくてもできるようなった状態が、「広い集中力」 が実現している状況です。
これができれば、感覚として 「広さの把握」 と 「深さの把握」 が同時にできているような状態になれます。