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組織開発の考察。人をどういう存在として見るかの 「人間観」 をベースに、自律を促しモチベーションを高める組織マネジメント


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魅力的な組織を創るリーダーのための 「自律」 と 「モチベーション」 の教科書 という本から、自律とモチベーションを高めるにはどうすればよいかを考えます。



エントリー内容です。

  • 人間観があってこそのマネジメント手法
  • 自律とモチベーション
  • 相手が 「良い選択」 をできる支援をする


人間観があってこそのマネジメント手法


本書の考え方でユニークなのは、人の捉え方やマネジメントを OS とアプリケーションに分けていることです。


OS は人間観


ここでの OS とは 「人間観」 です。人をどういう存在としてみるかです。この本では、異なる2つの OS (人間観) が提示されます。

  • 自分は相手を直接変えることができる。命令や褒美を与えれば強制的にコントロールができる
  • 他人は直接は変えられない。自分ができるのはあくまで相手に対して影響力を与えるまで。同様に自分も他人には直接は変えられない

本書のスタンスは後者です。「人を動かす」 のではなく 「人が動く」 です。

人は自ら選択できること、それを選んだのは自分であり、他人からは直接は変えられないという考えに立っています。


アプリケーションはマネジメント手法


本書で使われるアプリケーションとは、マネジメント手法のことです。

OS とアプリケーションの関係は、まずは OS があってのものです。人に対する捉え方が適切なものであって、初めてマネジメントの手法であるアプリケーションが機能します。

逆に言えば、OS が適切でなかったりバージョンアップしていない古いものであれば、アプリケーションがどんなに良くても効果を発揮しません。


自律とモチベーション



自律


本書でいう自律とは、ものごとに対して自分が選択できること、自分を直接変えられるのは他人ではなく自分であるとわかっていることです。

どんな行動も選んだのは自分であり、いかなる状況でも自分で選択でき、その権利があり、責任は自分にあるという立場をとります。

自分が目指したい理想のイメージを自ら手に入れようとする、自分の内なる欲求に対して自ら行動できます。


モチベーション


モチベーションは、自分の理想とするありたい姿、そうなりたい自分を目指す時に高まります。自分の内側から起こる欲求を満たしたいという気持ちです。

前提にあるのは、自分のありたい姿やこういう社会を創りたいなどのビジョンが明確なことです。ビジョンは自分で考えたものです。人から単に与えられただけのものでは、心の底から実現したいというモチベーションにまでは高まりません。

本書では、モチベーションは5つの基本的欲求を満たしたいと思う時に起こるとします。


基本的欲求


5つの基本的欲求は、以下です。

  • 愛・所属の欲求:愛を受ける・与える、仲間、協調など。5つのうちとりわけ重要 (他の4つに密接に関わる)
  • 力・価値の欲求:自己価値・重要感、達成感、貢献など
  • 自由の欲求:独立、自主、自制、選択など
  • 楽しみの欲求:笑い、学び、好奇心など
  • 生存の欲求:空気・水・食物・防寒・生殖・安全など

本書のキーワードの1つが 「Wants イメージ」 です。Wants イメージとは、基本的欲求を満たせるというイメージです。

自分の欲求が満たせるイメージが鮮明なほど、つまり Wants イメージが強いほど、人はモチベーションが高まります。


相手が 「良い選択」 をできる支援をする


本書のテーマは、自律型人材を創り、モチベーションを高めるためにはどうすればよいかです。


相手を支援する (直接変えようとしない)


前提にあるのは、OS という人間観です。本書での人間観は、人は直接は変えられない存在であると捉えていることです。

相手のことを直接自分は変えることはできない、自分も他人からは直接は変えられない、選択するのはあくまで自分であるという考え方です。

自律型の人材になってもらうためには影響力を発揮します。直接変えようとするのではなく、支援によって相手の内側に働きかけます。

支援とは、本人が主体的に変わるようにすることです。相手が自分自身の選択によって変わっていくことをサポートします。

具体的な支援は、以下です。

  • 相手にとって良い選択ができるように支援すると考える
  • 情報を提供する (そもそも本人が知らないことは選択できない)
  • 相手の基本的欲求を理解する。欲求を満たせる環境や関係をつくる。欲求を満たせるイメージ (Wants イメージ) の明確化を支援する
  • 考える機会を提供する。(答えを与えずに) 質問をすることによって自ら決められるようにする。振り返りの場を設ける


ボスマネジメントとリードマネジメント


外的に他人がコントロールするやり方ではなく、内側から本人の選択によって自ら変わっていくためには、マネジメントスタイルの転換が必要です。

本書には、2つのマネジメントスタイルが提示されます。1つはボスマネジメント、もう1つはリードマネジメントです。

本書では、それぞれ以下のように説明されます。


ボスマネジメント

  • ベースにある人間観は、他人を直接変えられる
  • 外的なコントロールによって、部下を直接変えていく (褒美による強制的なマネジメント)
  • ボスマネジメントでは部下は上司に依存し、自律型社員にはならない


リードマネジメント

  • ベースにある人間観は、他人のことは直接変えることはできない。変わるのは本人の選択から
  • 部下が自分で良い選択をするように支援する
  • 部下の内側にある願望や欲求に関心を持ち、欲求充足をどうすればできるよう働きかける


最後に


今回は、組織開発について書きました。自律型の人間になり、自分の内側から沸き起こるモチベーションをどう高めるかです。

自分は自律できているかどうか、自分のモチベーションは何から生まれるのかも、あらためて考えることができました。

今の自分の状況は自分が選択したからであり、これからも自分で選べること、自分にはそれができる権利と能力があると考えることから、自律が始まります。

自分が目指したいビジョンを描き、鮮明にイメージできればモチベーションは高まっていきます。



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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。