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1130回目のブログ更新です。今回は、企業の経営理念についてです。
- 経営理念とは具体的にどういうもの?
- 会社の文化をつくる 「価値基準」 とは?
- 価値基準のつくり方と浸透方法
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事で書いているのは、経営理念とは何か、経営理念の1つである 「価値基準」 についてです。
メルカリの経営理念を例にして、価値基準のつくり方や浸透方法を解説します。ぜひ、最後まで読んでみてください。
以下は、記事の内容です。
- 経営理念とは
- 良い価値基準の条件
- 価値基準のつくり方と浸透方法
経営理念とは
いきなりですが、経営理念と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?
経営理念には、以下の要素があります。
経営理念の要素
- ビジョン
- ミッション
- 価値基準 (バリュー)
それぞれの意味合いは、次の通りです。
ビジョン・ミッション・価値基準の意味
- ビジョン:自分たちが理想だと思う創りたい世界観。または、理想とする自分たちがありたい姿
- ミッション:ビジョンを実現するために自分たちの使命としてやること
- 価値基準:ミッションを成し遂げるために大切にしたい価値観。具体的な判断基準
このように、ビジョン・ミッション・価値基準の3つはつながっています。
メルカリの経営理念
経営理念の例として、メルカリのミッションと価値基準 (バリュー) は、以下となっています (2019年1月現在) 。
ミッション
- 新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る (Create value in a global marketplace where anyone can buy & sell)
バリュー
- Go Bold - 大胆にやろう
- All for One - 全ては成功のために
- Be Professional - プロフェッショナルであれ
参照:About|株式会社メルカリ
ビジョンは明確に掲げていませんが、想像するにミッションである 「新たな価値ある世界的なマーケットプレイスを創る」 という先にある世界がビジョンです。人々がメルカリのマーケットプレイスを利用し、どんな世の中になっているかが、メルカリの描く目指したい世界観でしょう。
理想の世界観を描き、実現するために使命として成し遂げるミッションがあり、ミッションを達成するために3つの価値基準 (バリュー) があるのです。
良い価値基準の条件
ここからは、価値基準について考えます。
私が良い価値基準だと思う条件は、以下があります。
良い価値基準の条件
- ミッションにつながっている
- 共感される
- 理解しやすく判断の拠り所になる
それぞれの補足です。
[良い価値基準 1] ミッションにつながっている
- 価値基準はミッションを成し遂げるためにある
- 価値基準に沿った判断や行動をすれば、ミッションの達成につながると思えるものがよい
[良い価値基準 2] 共感される
- 組織メンバーから共感され、大切にしたい価値観だと思える。自分たちらしさがある
- 価値基準として掲げることに誇りに思え、価値基準を体現する人になりたいと思える
[良い価値基準 3] 理解しやすく判断の拠り所になる
- 抽象的すぎず具体的すぎることもなく、内容を理解しやすい
- 難しい意思決定や困難な状況においてこそ、判断の拠り所になる
- 価値基準の数が多すぎると覚えきれないので、3~5つ程度がよい (7つ以上だと覚えられない)
価値基準のつくり方
では、価値基準はどのようにつくっていくとよいのでしょうか?
価値基準のつくり方は、トップダウンとボトムダウンから、または両方からの大きく3つのアプローチがあります。
トップダウンからの価値基準のつくり方
- 創業者や経営層が、自分たちが大切にしたい価値観や判断基準を広く出していく [発散]
- 洗い出した内容を一つ一つ吟味し、同じものをくくるなどで抽象化していく [収束]
- 抽象化した内容を一言で表現し、価値基準に昇華させる [言語化]
現場からのボトムアップからの価値基準のつくり方
- メンバーの一人ひとりが大切にする価値観を内省し言語化する (内容だけではなく、自分はなぜそう思うかの理由も含めて)
- 価値基準を作成するタスクフォースチームや経営層が、得られた内容を精査し価値基準に仕上げる
- 候補となった価値基準に対して、メンバーとの対話や現場からのフィードバックを加味し、価値基準を決める
ボトムアップの良さは、価値基準の作成プロセスにおいて現場の各メンバーが参加できることです。価値基準を自分たちがつくっている実感が持てれば、できあがった価値基準を自分ごと化できます。
一方、ボトムアップのデメリットは合意形成に時間がかかることです。
価値基準の浸透方法
価値基準はつくって終わりではありません。そこからがスタートでいかに組織に浸透させ、日々の活動の拠り所にできるかです。
浸透には大きくは2つのフェーズがあります。
浸透のフェーズ
- 認知から理解と共感へ
- 日々の行動から実践へ
以下、それぞれについての補足です。
[価値基準の浸透 1] 認知から理解と共感へ
組織で合意形成をした価値基準は、飾り物ではありません。何度も伝え呼びかけることによって認知を上げることが第一です。
組織の規模にもよりますが、例えば価値基準が表示されているグッズを作って配るのもよいでしょう。マグカップや T シャツなどです。
価値基準を知っているだけではなく、重要なのは個々人にとってどういう意味があるのかまで理解が落とし込まれていることです。
理解を通じて共感されていることも大事です。
[価値基準の浸透 2]日々の行動から実践へ
ものごとは 「知っている」 と 「できる」 、さらには 「できる」 と 「やっている」 では、それぞれに違いがあります。知っているからと言ってできるとは限らず、意識してできる状態と自然とやっている状態でも異なります。
価値基準も同様です。理解し共感を得られても、実際の日々の判断基準や行動として伴わなければ価値基準は役割を果たしていません。
価値基準が日々の行動に反映され実践されている状態になるためには、2つの方法があります。
1つは、自分自身で日々、自分の行動が価値基準を体現しているかを振り返りことです。例えば、日報のような方法で毎日の終わりに一日で具体的にどんな判断や行動が価値基準に沿ったものだったかを書くことです。
もう1つのやり方は、自分以外のメンバーの振る舞いや行動を価値基準に沿って観察・評価をすることです。これを相互に行います。
例えば、身近なメンバーや一緒に働いている人で価値基準を体現していると思えば、その人に 「価値基準カード」 を送るという仕組みです。
会社によっては 「Thank you カード」 のような、サポートや助けてもらったことをお互いに評価し、カードで感謝の気持ちを送り合う制度があります。これと同じ仕組みを価値基準に当てはめます。
価値基準カードを多く集めた人を表彰する、その人の具体的な行動の中から価値基準のベストプラクティスを選び皆で共有するなど、相互評価を通して価値基準への行動インセンティブをつくります。
まとめ
今回は、経営理念について特に価値基準 (バリュー) について考えました。
最後に今回の記事のまとめです。
- 経営理念とは3つの要素がある
- ビジョン:理想とする自分たちが創りたい世界観、または、自分たちのありたい姿
- ミッション:ビジョンを実現するために行う自分たちの使命
- 価値基準:ミッションを成し遂げるために大切にしたい価値観。具体的な判断基準
- 良い価値基準の条件は、
- ミッションにつながっている
- 共感される
- 理解しやすく判断の拠り所になる
- 価値基準のつくり方は、トップダウンとボトムダウンから、または両方からの大きく3つのアプローチがある。
価値基準はつくって終わりではない。そこからがスタートでいかに組織に浸透させ、日々の活動の拠り所にできるか。
浸透のフェーズは大きくは2つ。
- 認知から理解と共感へ
- 日々の行動から実践へ