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1173回目のブログ更新です。
流星ワゴン (重松清) という小説をご紹介します。
このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。
- 本書の内容と考えさせられたこと
- 人生における後悔
- 現実への人間の弱さと強さ
本書の内容、考えさせられたこと
主人公の永田一雄は、会社からリストラをされ、妻からは離婚を求められ、一人息子は中学受験失敗で引きこもりをしています。
父親は末期がんです。地元の地方で入院している父親を見舞に行き、もらえる交通費から余った分で何とか暮らしています。
父親の見舞いの帰りという状況から、本書のストーリーは始まります。
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
死んじゃってもいいかなあ、もう……。
38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。
やり直しは、叶えられるのか――?
「本の雑誌」 年間ベスト1に輝いた傑作。
一雄が最初の人生の分岐点として降り立ったのは、仕事の途中で妻を見かけた日でした。そこに、一人の男が目の前に現れました。今の自分と同い年、38歳の時の父親です。
この本から考えさせられたのは、死とは何か、人生における後悔、人生の岐路、自分の運命、人間の弱さとどんな現実でも受け入れる強さ、父と子の関係と、多くありました。
人生における後悔
考えさせられた中から、ここでは 「人生における後悔」 について掘り下げます。
読みながら考えさせられたのは、自分の人生を後悔をしないためには、どうすればよいのか、そもそも後悔のない人生にすることはできるのかでした。
今の結論は後悔のない人生はないということです。
人生は大小の選択の連続です。
どんな選択をしても、全く後悔をしないということは難しいです。特に後から振り返った時に人生の岐路となった場面では、選ばなかったほうがもっと良かったのではと考えてしまうでしょう。一方で、選択しなかったほうに進んでいたとしても、それはそれで別の後悔をしているはずです。
後悔を減らす方法
後悔はしてしまうという前提で、それでも後悔をなくす、少なくとも減らすためにはどうすればよいのでしょうか?
私が思うのは、以下の2つです。
- 自分で判断する
- 過去ではなく 「今」 と 「未来」 に目を向ける
1つめの自分で判断するとは、人生の岐路での選択だけではなく、日頃から自分で決めることを意識し、実際にそのように行動することです。逆に言えば、他人に自分の人生を決めさせないことです。
たとえ人から言われたり指示であっても、自分のこととして捉えて最後は自分が決めるという姿勢を持つことです。
2つめの過去ではなく 「今」 と 「未来」 に目を向けるとは、未来志向になることです。
後悔をするとは、要するに過去にとらわれてしまっている状態です。過去の出来事自体は変えられません。変えられるのは、起こった出来事の解釈や意味合いです。
大事なのは、過去の自分の選択や行動がつながっている 「今」 をどう捉えるかです。目の前の現在を受け入れ、今何をし、どんな自分の未来をつくっていくかです。
過去よりも今と未来に目を向けることによって、後悔を減らしていきます。
現実への人間の弱さと強さ
本書から考えさせられたことでもう1つ取り上げたいのは、「現実を受け入れる」 ということについてです。
どうすれば現実から目を背けずに、自分にとっては不都合な真実でも受け入れられるかです。
主人公や登場人物の振る舞いから考えさせられたのは、現実を他人のせいにせずに、自分のこととして引き受ける姿勢です。必ずしも自分には非がない場合で自分は直接は関与していなくても、自分ごととして引き受けるのです。
現実から目を背け逃げる様子に人間の弱さがあり、一方で逃げたくなるような現実であっても、自分のこととして受け入れる姿に人間の強さを見ました。
現実を正面から受けとめ、その上で自分はどうするかです。自分のあり方、ものの見方、振る舞い、行動をどのように変えるかです。
本質的には他人は直接は変えられず、変えられるのは自分自身です。
自分が変わり、それに影響を受けたまわりが次第に変わっていきます。変えられるもの、変えられないものは何かを本書から考えさせられました。
最後に
今回ご紹介した 流星ワゴン は、久しぶりに読んだ小説でした。
小説はストーリーそのものに加え、ビジネス書とは違った 「要するに自分にとって何を意味するのか」 を考えるきっかけになります。本書は、人生においても深いテーマである 「死生観」 「人間関係」 「人生の岐路」 を考えさせられました。
一気に読め、おすすめの一冊です。
流星ワゴン (重松清)