
今回は、企業の戦略についてです。事業戦略と全社戦略を取り上げます。
- 全社戦略とは?
- 「事業戦略」 と 「全社戦略」 の違いは?
- 事業戦略と全社戦略をつくる時のポイントは?
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、企業の戦略についてです。
事業戦略と全社戦略を取り上げ、
- 全社戦略とは何か
- 「事業戦略」 と 「全社戦略」 の違い
- 戦略をつくる時のそれぞれのポイント
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
全社戦略とは
いきなりですが、全社戦略と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
事業戦略と比べると、あまり馴染みのないものかもしれません。
全社戦略は、経営者や経営企画の立場から、企業の複数の事業を俯瞰してつくる戦略です。
全社戦略をつくる時のポイントは後ほど解説していますが、全社戦略は、個々の事業の事業戦略をつくる時とは頭の使い方、見るべき視点が異なります。
以前の私は、事業戦略と全社戦略の違いを十分に理解しないまま、全社戦略をつくろうとしていた頃がありました。
具体的には、各事業戦略を積み上げていけば全社戦略ができ、事業の戦略と実行を見るのと同じように全社戦略を考えていればよいと思っていました。
しかし、これは間違いでした。
事業戦略という個別最適の足し算が、全社戦略という全体最適には必ずしもならないのです。
事業戦略と全社戦略の違い
この2つ、事業戦略と全社戦略の違いを、もう少し詳しくご説明します。
それぞれの戦略をつくる論点を比べてみましょう。
まずは事業戦略からです。以下は、事業戦略をつくる時の論点です。
事業戦略の論点
- 事業をする市場環境の把握
- 顧客設定と理解
- 競合分析
- 顧客への提供価値、提供の仕組み (事業ケイパビリティ)
- 収益モデル
これに対して、全社戦略をつくっていく時の論点は、以下のようになります。
全社戦略の論点
- どの事業がキャッシュを生み、どれに投資が必要か (リソース移転の判断)
- 事業が参入している各市場の成長性の相対理解
- 各市場における事業の相対的な強さ
- 事業ごとのシナジー
- 撤退の判断
- 企業ビジョンやミッションと各事業の合致度合い
- 自社のコアコンピテンシーとの活用度合い
この中でも特に以下については、経営者や経営企画の事業よりもさらに高い視座の立場でしかできないことです。
経営者が判断すべきもの (事業長ではなく)
- 事業間のリソース移転 (キャッシュや人員)
- シナジーを生み出せる事業の組み合わせ
- 事業の撤退判断
- 全社ビジョンやミッションとの整合性
全社戦略をつくるための深い理解
ここまで、全社戦略と事業戦略では、つくる時の頭の使い方や着眼点が異なるという話をしてきました。
全社戦略をつくるにあたって、経営者の視座からだけでは足りません。各事業のビジネスモデルや PL の状況、現場の実態も含めた事業の具体も深く理解していなければいけません。
これは、私が全社戦略をつくる仕事をしての経験から学んだことです。
事業戦略と全社戦略の違い (頭の切り替え) 、そして、経営者の立場と事業長の立場の両方から事業についての理解があって、はじめて全社戦略をつくっていく態勢になれるのです。
ここに、全社戦略をつくっていく時の、事業戦略の立案とは違った難しさがあり、同時におもしろさがあります。
まとめ
今回は、事業戦略と全社戦略を取り上げました。いかがだったでしょうか?
全社戦略に直接関わることはないかもしれませんが、事業長の視点、経営者視点で見るための参考になればと思います。
最後に今回の記事のまとめです。
全社戦略は、経営者や経営企画の立場から、企業の複数の事業を俯瞰してつくる戦略。
全社戦略は、個々の事業の事業戦略をつくる時とは頭の使い方、見るべき視点が異なる。事業戦略という個別最適の足し算が、全社戦略という全体最適には必ずしもならない。
事業戦略の論点
- 事業をする市場環境の把握
- 顧客設定と理解
- 競合分析
- 顧客への提供価値、提供の仕組み (事業ケイパビリティ)
- 収益モデル
全社戦略の論点
- どの事業がキャッシュを生み、どれに投資が必要か (リソース移転の判断)
- 事業が参入している各市場の成長性の相対理解
- 各市場における事業の相対的な強さ
- 事業ごとのシナジー
- 撤退の判断
- 企業ビジョンやミッションと各事業の合致度合い
- 自社のコアコンピタンスとの活用度合い
全社戦略をつくるには、各事業のビジネスモデルや PL の状況、現場の実態と、事業の具体も深く理解する。
事業戦略と全社戦略の違い、経営者の立場と事業長の立場の両方から事業についての理解があり、はじめて全社戦略をつくる態勢になれる。