
今回は書評です。
ご紹介する本は、見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編 (荒木博行) です。
- どんな本?
- 2つの楽しみ方 (図鑑 + 問いかけ集)
- 前作からの進化の理由
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、
- 書籍 見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編 の内容
- どんな楽しみ方ができる本か
- 前作から進化した理由 (3つ)
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、この本を手に取って読む時の参考にしてみてください。
本書の内容
見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編 は、古今東西の歴史や哲学、サイエンスから名著30冊を、5つのテーマで紹介しています。
5つのテーマ
- 自己理解を深める
- 自分を解放する
- 他者を尊重し愛を与える
- 頭の使い方・ものの見方をアップデートする
- キャリアを考える (今より高い視点で)
興味深く読めるのは、「この本がこのテーマに入っているのか」 という驚きです。
例えば、マキャベリの君主論です。
君主論が 「キャリアを考える」 のテーマに入っているのです。「君主論と自分のキャリアがどうつながるのか」 は考えさせられる読書体験でした。
具体と抽象
本を通じて1つのフレームワークで統一されています。具体と抽象の往復運動です。
具体と抽象の往復運動
- 各本の内容 [具体]
- 私たちに問いかけること (書かれている本質) [抽象]
- 本質から学べること [具体]
この本を一言で表現すれば、名著30冊の 「図鑑 + 問いかけ集」 です。
具体と抽象の往復に当てはめると、
- 最初の具体が 「図鑑」
- その後の抽象と具体が 「問いかけ集」
2つの楽しみ方
この本は 「図鑑」 と 「問いかけ」 であり、この2つが楽しみ方につながります。
[楽しみ方 1] 図鑑として読む
1つ目は図鑑としての楽しみ方です。
名著30冊の内容が、3つのポイントでわかりやすく描かれています。「描かれている」 とあえて表現したように、この本の特徴の1つは著者の荒木さんのイラストです。
例えば1冊目に紹介される insight では、次のようなイラストです。

引用: 『insight』をイラストで理解しよう!〜イラスト No.62|学びデザイン Official Site
30冊のそれぞれで、すでに読んだことのある本は復習になり、まだ読んでない本は自分が読みたいと思えるかどうかに気づくことができます。
[楽しみ方 2] 問いかけ集として読む
この本のおもしろさは、問いかけとしての楽しみ方です。
本書でのキーワードは 「誤読」 です。
ここで言う誤読とは、本の内容について自分なりの自由な理解や解釈です。「自由な」 がポイントで、著者の書いた意図とは違ってよく、自分が何を感じたか、どう考えたかを大切にします。
誤読の視点では良い本とは、読み手の解釈、着想や発想が広がる 「余白」 がある本です。
この本のフレームは 「具体 - 抽象 - 具体」 です。
30冊それぞれで、2つ目の抽象から具体は荒木さんご自身の 「誤読」 です。ここからさらに、読み手自身がどんな誤読をできるかで本書の楽しみが何倍にもなります。
読了して内容理解は 「五合目」
本の 「誤読」 を経験すると、読書体験が奥深いものになります。
一般的な本の読み方は、書かれている内容を理解して読了になります。誤読をする読書は、むしろここからがスタートです。
著者との対話、自分との対話から、時には書かれている内容を実践してみることによって、いくらでも誤読ができます。この意味で、本の内容理解は登山での 「五合目」 です。箱根駅伝で言えば往路にすぎません。
五合目の景色もきれいですが、本当に美しい世界が見えるのは頂上まで登った時です。
誤読というキーワードに支えられた本書には、「自由な誤読」 という読書の楽しみ方も体験できる価値があります。
前作からの進化の理由
本書は、前作からのシリーズ2冊目です。
前作は、見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 です。
私は両方を読みましたが、読んで思ったのは今回の 「教養編」 は単なる2冊目ではありません。前作から進化しています。
一言で言えば、前作は図鑑、今回は 「図鑑 + 問いかけ集」 です。問いかけ集は、誤読集とも表現できます。
個人的に興味深いと思ったのは、前作からの進化の理由です。
前作の発売は2018年11月でした。今回は2020年1月発売です。私が思う前作からの進化の理由は、この間の著者・荒木さんの3つの変化です。
前作からの進化の理由
- Voicy 荒木博行の book cafe を開始 (1日も欠かさず400日以上配信)
- flier COO に就任。ブックラボなどのコミュニティ活性化に従事
- 書籍 “世界 「倒産」 図鑑” を執筆
補足をすると、1つ目の Voicy では取り上げる本や対談で日々誤読を積み重ね、flier COO としても社内外で誤読をされています。
そして3つ目の、書籍 世界 「倒産」 図鑑 - 波乱万丈25社でわかる失敗の理由 では、25社の 「具体 - 抽象 - 具体」 のフレームで、失敗の本質と私たちが学べることが掘り下げて書かれています。
以上の3つの理由が、今回の進化につながったというのが私なりの 「誤読」 です。
まとめ
今回は、見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編 をご紹介しました。
最後に今回の記事のまとめです。
この本を一言で表現すれば、名著30冊の 「図鑑 + 問いかけ集」 。具体と抽象の往復運動というフレームで、図鑑としての楽しみ、問いかけ集としての楽しみ方の2つができる。
図鑑としての楽しみ方は、名著30冊の内容がイラストも交え3つのポイントでわかりやすく理解できる。
この本のおもしろさは、問いかけとしての楽しみ方。キーワードは 「誤読」 。自分なりの自由な理解や解釈。読み手の誤読で、本書の楽しみが何倍にもなる。
一般的な本の読み方は内容を理解して読了。誤読の読書はここからがスタート。
本書は、「自由な誤読」 という読書の楽しみ方を体験できる価値がある。
見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 これからの教養編 (荒木博行)