今回は、マーケティングについてです。
- プロダクトアウトとマーケットインの違いは?
- マーケットインがうまく機能しないケース
- プロダクトアウトを成功させる方法 (Google のマーケティングからのヒント)
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、プロダクトアウトとマーケットインについてです。
具体的には、
- 2つの違いは何か
- マーケットインが良いと言われるが、本当か?
- プロダクトアウトの重要性と成功させる方法
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
プロダクトアウトとマーケットイン
マーケティングには、プロダクトアウトとマーケットインという考え方があります。
この2つは何が違うと思いますか?
それぞれを簡単にご説明すると、次のようになります。
プロダクトアウト
- 自分たちがつくりたい・つくれるものを基準に商品開発をする
- つくったものを売る
- 能動的
マーケットイン
- 顧客の声やニーズから商品開発をする
- 売れそうなものをつくる
- 受動的
一般的には、プロダクトアウトよりも顧客が欲しいものからつくっていくマーケットインが良いとされます。
しかし、この考え方は本当でしょうか?
マーケットインが機能しない時
確かに、マーケットインのやり方は顧客のニーズを汲み取って商品をつくるので、理に適っているように見えます。
しかし、マーケットインは常にうまくいくとは限りません。では、どういう時にマーケットインは機能しないのでしょうか?
具体的には、顧客が自分のニーズを明確にわかっていない場合です。これまでの過去の延長ではなく、全く新しい商品・サービス、それによる今までになかったユーザー体験が提供されるケースです。
こういう状況では顧客に聞いても本当に知りたいニーズは出てきません。
例を1つご紹介します。
携帯電話への価値観の変化
携帯電話へのニーズ・要望は、顧客の声だけをそのまま取り入れていたとしたら、今のようなスマートフォンへの進化はなかったでしょう。
こんなツイートを見かけました。
社会の価値観はたった10年でこんなに変わるのだよ… pic.twitter.com/j57Rspwokh— iWorks (@x68user) December 13, 2019
街頭インタビューでは、次のような声 (不満やニーズ) がありました。
- 携帯はボタンがあるほうが使いやすい
- 画面に指紋がつく。タッチパネルは絶対いらない
- iPod があるのでスマホは不要
- スマホにはワンセグがない
携帯電話への価値観だけでも、時代とともに変わっていくのです。
プロダクトアウトと 「未来の当たり前」
過去の延長上にはないユーザー体験を提供するには、プロダクトアウトが適しています。
消費者や顧客には見えていなくても、つくり手の側には見えている 「未来の当たり前」 を先回りして提示できるからです。
先ほどの携帯電話で当てはめると、人々が携帯電話で映像コンテンツを見るために 「ワンセグ」 というニーズに応えるのではありません。YouTube や TikTok の動画を電車内でも当たり前のように見ている世界です。
さらに未来になると、スマホのような端末を手に持って見るのではなく、グラス型のウェアラブル端末で見るようになるユーザー体験になるでしょう。
5G 回線が普及すれば通信量制限がなくなるはずで (いわゆる 「ギガが足りない」 が起こらない) 、今よりももっと動画や音声コンテンツが当たり前になります。
それでは、どうすればプロダクトアウトからのアプローチを成功させられるでしょうか?
プロダクトアウトを成功させる方法
プロダクトアウトで誤解しないようにしたいのは、ユーザーのニーズを全く無視していいわけではないことです。
最初はプロダクトアウトから入っても、どこかでマーケットインの発想が必要になります。プロダクトアウトを成功させるために大事なのは、プロダクトとマーケット (消費者や顧客) をつなげる存在です。
ヒントになるのは、私の前職である Google のマーケティングの考え方です。
Google のマーケティング
Google のマーケティングの考え方に、”Knowing the user, knowing the magic, and connecting the two.” というものがあります。
マーケティングとは、「knowing the user と knowing the magic の2つをつなげるものである」 と。
Knowing the user
生活者やユーザーの理解です。
何を望んでいるのか、理解する過程で得られた発見やインサイトは何か、そして、彼ら彼女らに対して自分たちがどう役に立つかを理解します。
Knowing the magic
生活者やユーザーに提供する自分たちのサービスや商品を深く知ります。
単に商品やサービスのことを知るだけではありません。商品やサービスをつくる人たちの思いまで理解します。なぜその商品やサービスがつくられたかまでです。
Connecting the two
2つをつなげるとは、生活者と商品・サービスを結びつけることです。
この意味で、マーケターとは2つの間を取り持つ仲人のような存在です。顧客を知り、提供する商品・サービスの特性や作り手の思いまで深く理解した上で、両者をつなげるのです。
プロダクトアウトも、マーケットインも
そろそろ、今回の記事の結論に入りましょう。
ここまで考えてきた内容をまとめると、
- マーケットインはいつも正しいわけではない (機能しないケースがある)
- プロダクトアウトがうまくいく場合
- どうすればプロダクトアウトを成功させられるか
言いたいことは、マーケットインとプロダクトアウトの両方が重要ということです。
どちらか一方ではなく、2つの視点を持ちます。そして大事なのはプロダクトとマーケットをつなげることです。
プロダクトアウトから入っても、マーケットインから始めても、最後は両方のアプローチを入れ 「Connecting the two」 を実現するのです。
まとめ
今回は、マーケティングの話でした。プロダクトアウトとマーケットインについて掘り下げたことを書きました。
最後に今回の記事のまとめです。
プロダクトアウトとマーケットイン
- プロダクトアウト: 自分たちがつくりたいものを基準に商品開発をする
- マーケットイン: 顧客の声やニーズから商品開発をする
マーケットインが機能しないのは、顧客が自分のニーズを明確にわかっていない場合。過去の延長ではなく、全く新しい商品・サービス、今までになかったユーザー体験が提供されるケース。
過去の延長上にはないユーザー体験を提供するには、プロダクトアウトが適している。消費者や顧客には見えていなくても、つくり手の側には見えている 「未来の当たり前」 を先回りして提示できるから。
プロダクトアウトかマーケットインのどちらで始めても、最後は両方のアプローチを入れる。提供する商品・サービスの特性や作り手の思いまで深く理解し、顧客を知り、両者をつなげる。