
今回は、プロダクトリリースなどの PR をするかどうかの判断軸です。
この記事でわかること
- PR 実施の判断軸
- 具体例でご紹介
記事は大きく二部構成です。前半は商品・サービスリリースの PR をするかどうかの判断軸をご紹介します。
後半は架空のケースですが、具体例に当てはめて判断軸を見ていきます。
ぜひ最後まで記事を読んでいただき、お仕事での参考になれば嬉しいです。
PR 実施の判断軸
前提として想定しているのは、企業規模は大きくないベンチャー企業です。具体的には社員数が20-100人、年間売上が10億-30億円の規模感です。
社内リソースが十分ではないものの、PR によって自社開発プロダクトの情報を PR 発信するかどうかの判断軸です。
判断軸は大きくは、次のようになります。
PR 実施の判断軸
- 目的
- 伝える相手 (PR ターゲット)
- 媒体
- メッセージ
- その他の重要項目
ではそれぞれについて、順番に見ていきましょう。
[判断軸 1] 目的
まず最初にやることで最も大事なのは、PR をする目的の明確化です。
そもそも何のために、どんなビジネスへの貢献を想定して PR するのかの言語化です。
[判断軸 2] 伝える相手 (PR ターゲット)
最終的に誰に向けて PR メッセージを打ち出すかを決めます。マーケティングで言うターゲット顧客の定義に当たります。
PR によって自分たちから影響を与えたいと思う相手です。
[判断軸 3] 媒体
PR ターゲットが決まれば、どのメディアを選ぶかを考えます。
ここまで見てきた目的、PR ターゲットと連動して最もふさわしいと思えるメディアを選びます。
ケースバイケースで、自社サイトへの掲載、Facebook や note などのプラットフォーム、あるいは PR 専用媒体や業界専門媒体です。
媒体が決まれば、媒体の立場で考えます。自分たちが伝えたいと思うメッセージは媒体から見ても魅力的なものになるかどうか、媒体が主体的に伝えたいと思えるかどうかを見極めます。
[判断軸 4] メッセージ
PR によって伝えるメッセージを具体的に落とし込みます。
二つ要素があります。自分たちが伝えたいと思う内容、そして受け手である PR ターゲットと媒体が知りたいと思えること両方を満たす内容にします。
メッセージをつくるために、以下のような要素分解から考えるといいです。
メッセージの因数分解
- 一言で (シンプルに)
- 新規性
- 優位性
- 社会性 (意義)
- 具体性
- 信頼性
- 物語性
[判断軸 5] その他の重要項目
ここまでをまとめると、目的を明確にし、次に PR のターゲットを設定します。そこから媒体を選び、伝えるメッセージに落とし込みます。
これ以外に重要な PR 実施の判断基準は以下です。
その他の重要項目
- パートナー企業の PR 許諾
- PR をするタイミング
- PR 成功条件 (KGI と KPI)
- PR による想定リスク
ここまで PR をするかどうかの判断軸を見てきました。
イメージを膨らませるために、架空のケースですが、具体例に当てはめて判断軸を見ていきましょう。
PR 判断軸の具体例
例として、プロダクト (CRM ソリューション) が、大手企業のマーケティング施策に採用されたケースで考えます。
先ほどまで見てきた、PR 実施の判断軸に当てはめてみましょう。
PR 実施の判断軸
- 目的
- 伝える相手 (PR ターゲット)
- 媒体
- メッセージ
- その他の重要項目
[判断軸 1] 目的
大手企業への採用実績を広く伝え、自社の信頼性と権威性を高める。PR 情報をプロダクトのマーケティングや営業に活かす。
[判断軸 2] 伝える相手 (PR ターゲット)
採用企業と同じようなマーケティング課題を抱えている会社。
具体的にはマーケティングコミュニケーションにおいて、CRM 基盤が整っておらず、顧客情報を有効に活用できていない会社。
[判断軸 3] 媒体
- 自社サイトでのリリース
- PR 専用媒体
- デジタルマーケティング情報に強いビジネス媒体
[判断軸 4] メッセージ
メッセージの一言:
CRM ツール導入からの大手企業マーケティング成功例を、クライアントを主語に CRM 観点で伝える。
新規性と優位性:
クライアント企業にとっては、本格的な外部ツール導入は初。
顧客管理だけではなく、マーケティング戦略 (STP) 、実行、振り返りを一気通貫でできる。
社会性:
CRM 導入により、クライアント企業は顧客に適切なメッセージを適切な人に、適切なタイミングで訴求できるようになった。自社だけではなく、顧客にとっても満足の高いコミュニケーションシステムができ上がった。
具体性:
導入背景や目的、プロセス、結果の成功事例をクライアント企業から語ってもらう。
信頼性:
成功事例をクライアント企業から具体的な数字とともに、担当者が実名で語ってもらう。
物語性:
導入・背景・プロセスでの苦労話を、クライアント企業の担当者に自分の言葉で語ってもらう。
[判断軸 5] その他の重要項目
許諾:
クライアント企業からの許諾は担当者から口頭ではもらっているが、正式に書面でもらう必要がある。
タイミング:
許諾が取れ、準備ができ次第。遅くとも翌月末までには PR をする。
成功条件:
自社サイト・PR 専用媒体・ビジネス媒体でのアクセス (PV, 滞在時間, 読了率) 。
自社 CRM サービスへの問い合わせ数。
想定リスク:
リソースのある競合大手他社が類似プロダクトを開発し、自分たちの顧客を奪われてしまう可能性。
クライアント企業のマーケティング手法が競合他社に知られてしまう。
まとめ
今回は、PR を実施するかどうかの判断軸を具体例とともにご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめとして、PR 実施の判断項目です。
PR 実施の判断軸
- 目的 (PR がどうビジネスに貢献するか)
- 伝える相手 (PR ターゲット)
- 媒体 (目的と PR ターゲットから選定)
- メッセージ (一言, 新規性, 優位性, 社会性, 具体性, 信頼性, 物語性)
- その他の重要項目 (許諾, タイミング, 成功条件, 想定リスク)